世界29か国の中小企業リーダーの景況感、「楽観的」の数値で日本は最下位【太陽グラントソントン調べ・2020下半期】

2020年7~12月期の平均景況感は、前回調査比14ポイント増と大幅な上昇。

太陽グラントソントンは、2020年下半期(7~12月期)を対象とした「中堅企業経営者『景況感』意識調査」の結果を発表した。

この調査では、対象期間について「非常に楽観的」または「やや楽観的」と回答した社数の割合を「景況感」として算出している。世界29か国・約10,000名の中堅企業ビジネスリーダーまたは経営トップが回答。日本からは、従業員数100名以上1,000名未満の企業227社の経営層が回答した。

世界:日本の景況感は29か国中最下位。1位は中国

それによると、2020年下半期の世界平均の景況感は、前回(2020年上半期)の33%から14ポイント上昇し57%を記録した。国ごとでは、マイナスに落ち込んだ多くの国がプラスに復活しており、約8割(22か国)がプラスとなった。2桁ポイント増を記録した国も多い。

国別で順位を見ると、中国が、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を上回る83%まで回復し1位となった。そのほかアジア太平洋地域では、2位インドネシア、3位インドがランクインしており、全体的に上昇している。政権交代を迎えた米国は、前回調査では2桁ポイントの激しい下落をみせたが、今回69%とV字回復を遂げ4位となった。

一方、欧州地域の国々は、ロックダウン・移動規制などのコロナ拡大防止措置がとられたことで、低い景況感を示した。

日本は、前回の6%から9ポイント増加し15%だったが、ふたたび最下位の位置に留まった。韓国(17%)、ロシア(21%)も低い。

日本、米国、中国、英国、世界平均の推移

日本:売上高や営業利益の悪影響は軽減されたが、人材確保で苦戦

対象を日本に絞り、「新型コロナウイルスが自社の売上高・営業利益・コストに与えた影響」をそれぞれ聞くと、売上高については前回から引き続き約6割の企業が「減少した」という認識だった。「30%以上減少」という企業は20%から11%に減少した一方で「10%減少」とした企業は25%から37%に増加しており、減少ダメージ自体は軽くなっているようだ。営業利益に対する印象においても、おおむね売上高と同様の傾向を示した。コストについては、ほぼ変化はない。

「現時点で大きく影響を受けている点」を聞くと、「渡航および移動制限による出張や営業活動への影響」55%が最多ながら、前回よりポイントは減少。全体的にどの項目もポイントは減少しているが、唯一「人材の確保」のみポイントが増加した。ただし「今後の経営面での影響」では、「国内消費の低迷」がさらに増加し54%で、「人材採用および確保の難しさ」40%を上回っている。

なお日本で収益増加を見込んだ企業は12.3%、減少を見込んだ企業は69.2%で、いずれも全調査対象国のうち最低だった。「今後の市場回復に備えた計画」では、海外は「組織の復旧に向けたテクノロジーの活用」「組織の復旧に向けたテクノロジーの活用」をあげる声が多かったが、日本はいずれも消極的な数値だった。

日本、米国、中国、英国、世界平均の比較

調査概要

  • 【調査対象】29か国の中堅企業ビジネスリーダーまたは経営トップ
    アジア太平洋地域:日本、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、韓国、ベトナム
    EU加盟国:フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、スペイン、スウェーデン
    北中南米:米国、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ
    アフリカ:南アフリカ、ナイジェリア
    その他:英国、トルコ、ロシア、アラブ首長国連邦
  • 【調査方法】各国の全回答数のうち「非常に楽観的」または「やや楽観的」と回答した社数の割合を当該国の
  • 景況感とした
  • 【対象期間】2020年7月~12月(前回対象期間:2020年1~6月)
  • 【調査時期】2020年10月~12月(前回調査時期:2020年5~6月)
  • 【有効回答数】約10,000名(日本は、従業員数100名以上1,000名未満の企業227社の経営層が回答)
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