企業のプライバシーガバナンス、もっとも優先されているアクションは「責任者の設置」【総務省・経産省調べ】

消費者が評価するのは「運用ルールの策定」で、企業側の取り組みとすれ違いあり?

経済産業省、総務省、日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は、「プライバシーガバナンス」に関するアンケートの結果(速報版)を発表した。一般消費者314人、および291社(IoT推進コンソーシアム会員企業)が回答している。

企業倫理観の透明性・公正性を確保する仕組み「コーポレートガバナンス」(企業統治)は一般的になったが、そのなかでも顧客の個人情報やプライバシー保護に目を向けた「プライバシーガバナンス」が改めて注目されている。

経営者が積極的にプライバシー問題にコミットするとともに、組織全体で取り組む体制の構築などを目指すが、その助けとなるべく経済産業省と総務省は2021年7月、「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.1」を公表している。

消費者:情報提供に7割以上が慎重姿勢

まず消費者を対象に、プライバシー保護(個人情報、個人情報に限定されない個人の行動・状態に関するデータ、プライバシー性の高い情報などの適切な取り扱い)に、どの程度関心を持っているかを聞くと、「非常に関心がある」17.2%、「やや関心がある」56.4%と、7割以上が関心を示した。

同時に、そうした情報を提供することについても、「不安があるので最小限に留める」32.2%、「金銭的利益やポイントの付与があっても、慎重に行う」38.2%と、慎重派が7割を占めている。

さらに、似たようなサービス・製品から1つを選択する際に、「各企業のプライバシーへの取り組みをどの程度評価するか」では、「非常に考慮する」19.1%、「考慮する」37.9%、「やや考慮する」31.5%で、9割近くが考慮していることが判明した。

サービス・製品の選択について年齢別で見ると、29歳以下の若者層は「非常に考慮する」が32.4%に達しており特に高い。SNS利用なども多い層だけに、プライバシーの扱いに敏感なようだ。

企業:消費者の評価と企業が優先するアクションに乖離

続いて企業側に、プライバシー保護への取り組みを聞いた。まず企業姿勢の考え方として「プライバシーへの取り組み状況を情報発信することで、顧客の消費行動に影響を与えられるか」と聞くと、「できる」と考えていた企業は58.7%に留まった(できると思う+多少できると思うの合計)。

そこで、プライバシーガバナンスガイドブックで推奨している様々なアクションについて、「実際に取り組んでいるか」を聞くと、「プライバシーに関する姿勢の明文化」「保護責任者の設置」「保護組織の構築」には、5割以上が取り組んでいた。一方、「外部の有識者などの第三者に意見を聞く」「運用ルールの策定」「社内研修」は4割未満であまり進んでいない。しかしこれらのアクションに対する「消費者の評価」では、むしろルール策定や意見収集を重視している。そういう点では消費者の評価と企業が優先するアクションに乖離が見られる。

なお「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブック」については、企業の65.3%が存在を知っていたが、内容まで把握していたのは全体の27.1%に留まっていた。

調査概要

  • 【調査対象】
    ・企業向け:IoT推進コンソーシアム会員企業等(大企業~中小企業・スタートアップ)
    ・消費者向け:調査会社登録モニター
  • 【調査方法】インターネット調査
  • 【調査時期】企業向け:2021年9月、消費者向け:2021年8月
  • 【有効回答数】企業向け291社、消費者向け314名
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