データ分析は、マーケッター視点で:第12回 ブランド評価と目指すべき分析の方向性①
- 編集部の見解や意向と異なる内容の場合があります
- 編集部は内容について正確性を保証できません
- 画像が表示されない場合、編集部では対応できません
- 内容の追加・修正も編集部では対応できません
(1)ブランド評価
今回は、現在および今後のマーケティングで最も重要であると考える「ブランド」の評価について、そして、これまで考察してきた分析全体として、今後どのような方向を目指していけば良いのか?を考察してみました。
これまで「顧客」「コミュニケーション」「施策」の各分析についてお話してきたのですが、最後は現在および今後も最も重要であると考える「ブランド」について、“どう評価されていくべきか?”お話します。
これまでは「自分達の活動を、自分達で分析する」という、いわゆる自己評価の観点だったわけですが、今回は「自分達のブランドが、社会や顧客から“どう評価されるべきか”」という他者評価の観点になる事がポイントです。
世の中には色々なブランド分析や調査があり、定期的に実施されることで、時系列的な傾向や各社比較が、同じ評価軸を使って行われているワケですが、今後はそれだけでは充分とはいえないのではないか?と考えています。
自社が他社と同じ調査・同じ評価軸で比較されると、相対的な参考にはなるのですが、その評価軸の内容は、非常に一般的な用語であり、汎用性も高いです。(例えば「信頼出来る」とか「高機能」とか)
しかし、モノや情報が氾濫し、経済や消費の仕方も大きな変革期にきており、社会における企業の存在意義の問われ方も強くなってきている中、企業にとって大事なのは、「自分達の企業ブランドは、どのような社会的価値を目指し、どのように思ってもらいたいか?」という意識を持つことが、非常に重要ではないでしょうか?
となると、そこには企業独自の個性が必要であり、一般的且つ汎用的な評価軸では、的確な評価に繫がらないのではないか?と思うのです。
つまり、一般的な調査を相対的比較として参考にしつつ、これに加え、自社独自の評価軸を使った評価をしてみる事が、非常に有効ではないかと思います。
分かりやすく言うと、「自社の企業ブランドにとって、最も重要な評価軸を決める」、「実際にそう評価されているかどうかを調べる」という事です。
そして、その評価軸とは、「=企業ブランドのメッセージ」に近い事がベストです。
例えば、
アップルならブランドのメッセージは「Think Different」。評価軸は、“他社とは違うことを考えているブランドか?“
コカコーラならブランドメッセージは「open happiness」。評価軸は、“幸せをもたらすブランドか?”
という具合です。
かつて、P&Gの元グローバルマーケティングの責任者であったジム・ステンゲルが著書「GROW(本当のブランド理念について語ろう ~「志の高さ」を成長に変えた世界のトップ企業50~)」で、「ブランドと収益の相関」について、以下の図のように記しています。
また、以前ニールセンが、「ブランドエクイティとシェアは相関する」という調査結果を発表しました。
昨今の、日本におけるマーケティングコミュニケーションは、“短期視点の販売促進”に比重を置きすぎていると懸念していますが、本来のマーケティングコミュニケーションは、「好きになってもらう」→「買ってもらう」という手順が必須です。
長期的視点のブランディングは、企業の持続的成長に繫がるはずで、そのブランドを「どう評価してもらいたいか?」
「実際、どう評価されているか?」が、分析全体の中の基盤になるという事は、必ず押さえておくべきと思います。
そして企業のマーケティングコミュ二ケーション活動としては、
・その評価軸を上げる事が最重要になる
・評価と事業成績の相関を長期に測る
という事が大事になると思いますので、分析においても是非「ブランド評価」を最重要テーマとして頂きたいと思います。
今後、時代が更に複雑化していくほど、長期的・本質的には、企業の「ブランド評価」と「事業成績」は必ず相関していくでしょう。
次回は最終回となります、「目指すべき分析の方向性」についてです
本件に関するお問い合わせはこちら。
連載記事一覧
データ分析は、マーケッター視点で
第1回 デジタル&データの潮流① - ビジネス変革:デジタル・イノベーターの台頭
第2回 デジタル&データの潮流②
- データの多様化:接点の実績が全てデータ化されていく
第5回 顧客分析のポイント③ - 商品ファンから企業ファンへ
第6回 コミュニケーション設計① - コミュニケーションの全体設計
第7回 コミュニケーション設計② - コミュニケーション分析
第8回 コミュニケーション設計③ - マーケッターとサイエンティストの連携
第9回 施策効果① - MMM(マーケティング・ミックス・モデル)
【筆者紹介】
山崎 浩人
広告会社でマス広告、コールセンターでCRMを手がけ、携帯事業者でキャリアレップCEO、電通・CCI出資のクロスメディア事業CEOを勤めた。
その後、外資広告社で企業のブランド戦略やグローバル戦略を支援。現在も戦略系コンサルを担う。
・2012年 日本広告主協会Web広告研究会「Web人 of the year」受賞
・講演例:「反グローバリズム時代の企業成長とブランド理念」
https://www.is-assoc.co.jp/seminar20160120/
ソーシャルもやってます!