急成長の理由は「選択と集中」にあり~ECサイトから大手ポータルまで手掛けるリスティング広告代理店の地域戦略
「リスティング広告売上が半年間で倍増」
「沖縄のリスティング広告は
あの会社に任せておけばいい」
好調な業績に加えて、沖縄県内のEC企業やウェブ制作会社からの厚い信頼も寄せられているYahoo!リスティング広告代理店が、株式会社アイエヌジーアットマーク沖縄だ。
JTB沖縄といった大型案件も任されるほどだが、社内のリスティング広告運用担当者は3人だけ。しかも2年前まではウェブ制作会社だったという。
リスティング広告へと注力し、成功した理由は何だったのだろうか。
市場の変化を感じてウェブ制作から
ウェブマーケティングへと路線変更
沖縄県浦添市に拠点を置くアイエヌジーアットマーク沖縄は、Yahoo!リスティング広告正規代理店の1つ。ウェブ制作会社として2000年にスタートし、データセンターやレンタルサーバー事業も手掛けてきた。しかし、現在はウェブ制作を止め、代わりにリスティング広告を柱としたウェブマーケティング事業へとシフトしている。
同社の代表取締役社長である仲宗根功氏は、ウェブ制作を止めた理由を「限界を感じると同時に、リスティング広告の可能性を感じたから
」と説明する。
「ウェブ制作のみでは、ビジネスとしての将来性に限界を感じていました。お客さまのほとんどは県内の中小規模。ウェブサイトにそれほどコストをかけられないので、ウェブ制作会社としては数をこなすことでしか事業の拡大が見込めません
」(仲宗根氏)
そんな中、2005年頃からはウェブ制作に加え、リスティング広告の提案もするようになり、その将来性を感じたことで代理店制度に関心を持った。そして、2008年には仲宗根氏自らYahoo!リスティング広告に問い合わせ、正規代理店制度に申し込んだという。
当時、リスティング広告の担当は社内で仲宗根氏1人だけ。しかし、可能性は感じていた。事業転換のきっかけとなったのが、ECストアを対象にしたウェブマーケティング勉強会への参加だった。
「この勉強会は、地方の企業がECで成功するためのノウハウを学ぶ場として、ECでの地域の活性化を目的に全国展開されています。沖縄でも、定期的に開催されるのですが、そこで弊社もイベント運営や講演者として積極的に参加しました。それがきっかけでリスティング広告の依頼も増えて、これからはウェブ制作だけに特化しないウェブマーケティングの時代だと感じました。それで思い切ってウェブ制作を止めました
」(仲宗根氏)
ターゲット顧客を「これからウェブサイトを作る企業」から
「持っているウェブサイトに人を呼びたい企業」に変更
それまでもウェブ制作の延長として、SEOを中心とした“お金のかからない集客施策”には取り組んでいた。「これからウェブサイトを作りましょう」という段階の企業では、広告に予算を割く余裕はないから当然だ。ただし、リスティング広告に十分な予算を投入できるのは、遥か遠い先の話だった。
「勉強会に参加している企業は、ECストアとして運営が軌道に乗り、売上規模も数百万円のところが多く、リスティング広告にもそれなりの予算をかけられる状態です。そういった企業にリスティング広告の運用を任せてもらうためには、ウェブ制作の“ついで”ではなく、リスティング広告のきちんとしたノウハウを身に付けて対応しなければいけないと思いました。そこで、Yahoo!リスティング広告の正規代理店になろうと思ったのです
」(仲宗根氏)
「ウェブ制作を中途半端に続けるつもりはなかった
」という仲宗根氏。その選択と集中が功を奏して、現在では25社のリスティング広告を任されている。9割は沖縄県内の企業だが、勉強会を通じて知り合った県外企業からも声がかかるようになった。
会社の事業としても、ウェブマーケティングの収益は半分を占めるほどにまで成長した。もう1つの柱であるデータセンター事業も、東北の震災後に需要が増えて好調だが、将来的にはウェブマーケティング事業が中心になると見ている。
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