2014年版スマホサイト最適化ガイド: サイトの対応5パターンと集客の4つのポイント
スマホ向けの集客とコンバージョン向上は、Web担当者にとって最優先課題だ。しかし、その柱となるスマホサイト最適化は、かかるコストや手間からなかなか踏み出せないケースも多いだろう。
そこで今回は主に、「簡易的な対応」から「理想的な最適化」まで、パターン別にスマホサイト最適化の方法を紹介する。加えて、集客面の対応として広告サービスのスマホ対応機能も紹介する。
スマホサイト最適化の大原則
スマホ対応は「サイトの最適化」と「集客の最適化」の両方から
これは、本誌が過去に伝えてきた「スマホ対応」の鉄則だ。以下は2年前(2012年6月)の記事だが、スマホからの検索が急増していることをふまえ、その対応を示した内容になっている。
- スマホ対応は“サイト最適化”&“集客の最適化”の両側面で:そのポイントとは?(Web担当者Forum
鉄則自体は現在でも通じるが、しかしわれわれを取り巻く状況は2年前と大きく変わった。
この2年間でユーザー行動はスマホ中心に
広告サービスもスマホ対応が進む
サイト最適化に関するトレンドやノウハウは刻々と変化しており、支援サービスも登場している。ほんの2年ほど前は、PCが中心でスマホは「追加で対応する」という状況だったが、いまではスマホ対応が当然になっている。
ユーザーはスマホで情報を探すようになり、スマホ向けサービスや対応サイトも増えた。
また、集客方法の柱となる広告サービスでも、スマホ対応が進んだ。スマホに配信するだけでなく、スマホの台頭で変化したインターネット利用環境やユーザー行動を踏まえた機能改善が行われている。
したがって、2014年の「スマホ対応」は、次のポイントが大切になる。
- すでに「対応しておく」ではなく「必須」
- サイトと広告の両面から進める
- スマホ対応を行っている各広告サービスの特徴を把握して進める
スマホサイト最適化2014年版
サイト対応に取り組む前に“スマホのニーズ”をチェック
スマホ対応が必要であることは理解しても、実行するのはそう簡単ではない。既存のWebサイトを完全リニューアルしたり、スマホ専用サイトを用意できれば理想だが、当然コストもかかる。
そこで、まずは「どれくらい力をかけて対応すべきか」を見極めることから始めよう。具体的には、以下のように「現在どれだけスマホから利用されているか」を把握することだ。
- アクセス解析をしてスマホからのアクセス数やコンバージョン数を把握する
- アクセス解析をしてスマホユーザーのサイト内行動を把握する
- スマホユーザーにターゲティングした広告で集客とコンバージョン状況を把握する
その際、スマホからのアクセスが少なかったとしても、それで「スマホ対応の必要なし」と判断するのは早計だ。スマホユーザーを集客できる広告を使って、ユーザーの自社商品・商材に対するニーズの有無を確認しておこう。
スマホサイト最適化5パターン ―― コスト・手間・効果で判断
スマホサイト最適化を5つのパターンで示し、それぞれのコストや手間、効果について説明する。
実際には、単純に5パターンに分けられるわけではなく、さらに細かいパターンが存在する。どれが適しているかは、Webサイトの位置付けや目的、どのような手段で集客するかによって異なる。これから対応する場合は、比較的導入のハードルが低いパターン1や2あたりを試してみて、その効果を検証しながら次のステップを考えるのが妥当だろう。
ここでは、選択肢がいくつもあるということを理解してほしい。
- パターン1 スマホサイトへの変換サービスで対応
スマホの台頭とともに登場した変換サービスは、コストや作業量の面で導入のハードルが低いため、これから対応を考える場合はおすすめ。種類が多いので、どの変換サービスが適しているかどうかを判断する必要がある。既存サイトにスマホからのアクセスがあったら、変換サービスで用意したページにリダイレクトする方法がほとんど。既存のサイト全体をスマホ対応させたり、一部のページだけを対応させたり、さまざまなやり方がある。この方法も、広告施策と組み合わせたスマホのランディングページ最適化(LPO)として導入しやすい。具体的なサービスとしては、Yahoo! JAPANが提供している「スマホサイトビルダー」などがある。
- パターン2 サイト内の一部のページだけ対応
全体的にスマホ対応すべきかどうか判断しにくいときや、スマホからの利用ページが限定的なときは、優先度の高いページだけスマホ対応するという方法もある。アクセス解析などによって優先度を判断することで、予算に合わせた対応が可能となる。ハードルが低くて現実的な選択肢といえる。広告施策と組み合わせて、スマホのランディングページやコンバージョンページだけ最適化するという戦略にも利用できる。
- パターン3 デバイスを区別せず柔軟なページ設計で対応
表示の対応に的を絞って、デバイスごとの画面サイズに合わせて柔軟に変化するようにページを設計する方法。レスポンシブデザインとも呼ばれる。このページ設計にするとデザインや機能はシンプルなものになるが、管理コストは少なくて済む。ただし、現在のページ設計やCMSの使用状況によるが、既存サイトから作り変えるとなると、リニューアルのコストがかかる。
- パターン4 CMSの変換機能で対応
共通のコンテンツ(画像やテキスト)を、CMS側でPC向け、スマホ向け、タブレット向けに調整して表示する。最近のCMSには標準機能として備わっていることが多い。画面サイズや操作方法を考慮して表示することで、デバイスの違いからくる使いづらさや見づらさはない。ただし、表示されるテキストの量やサイトの構造は共通なので、PC向けを基準にしているとスマホユーザーにメッセージが伝わらないおそれもある(たとえば、PC向けのボリュームだとテキストが長すぎて最後まで読まれないなど)。高機能なCMSでは、PC向けとスマホ向けで、異なるコンテンツを用意して出し分けられる製品もある。
- パターン5 スマホ専用サイトを用意
スマホユーザーに絞った専用サイトで、使用感はもっとも高くユーザーにとっては理想的だが、構築と運用コストが大きい点が課題となる。
無料で使える変換サービス「スマホサイトビルダー」
「スマホサイトビルダー」は、Yahoo!プロモーション広告を利用する広告主向けにYahoo! JAPANが提供しているスマホ変換サービスだ。
「スマホサイト最適化5パターン」で紹介したパターン1に当たるもので、あらかじめ用意されたデザインテンプレートなどを使って簡単に導入できる。
一定条件※を満たしていれば無料で利用できるので、Yahoo!プロモーション広告を利用しているなら検討してみよう。
- スマホサイトビルダーで「スマホ最適化」を実現!(Yahoo! JAPAN)
※スマホサイトビルダーの利用条件
1. アカウントにおいて一定金額のご利用が必要です。
提供開始条件:月初にご利用実績が1か月10,000円以上あるアカウントにツールのご提供を開始いたします。
ご利用実績とはスポンサードサーチまたはYDNアカウントの前月1か月分のご利用金額です。
2. Yahoo!ビジネスマネージャーの「ツール管理者、登録更新権限者」権限が必要です。
上記に該当するアカウントにおいてYahoo! JAPANビジネスIDをお持ちの「ツール管理者、登録更新権限者」の方がスマホサイトビルダーにアクセスできます。
スマホ集客に効くYahoo!プロモーション広告4つのポイント
集客面のスマホ対応としては、さまざまな広告サービスがあるが、ここでは特にYahoo!プロモーション広告に絞って紹介する。
Yahoo!プロモーション広告では、PC、スマホ、タブレットに対して広告を配信できるが、特にスマホを意識した機能には次のようなものがある。
- スポンサードサーチ
- 電話番号オプション(広告表示オプション)
広告にリンクとともに電話番号も表示し、広告をタップすると電話をかけられる。「電話をかける」というスマホならではの利点を活かした機能。
- スマートフォン入札価格調整率
「スマートフォン入札価格調整率」は、同じキーワードで入札の競合が発生した場合に、自動的に指定範囲内で価格を増減することで広告表示の機会を増やすための機能。スマホ向けの入札価格調整率を設定できる。
- 電話番号オプション(広告表示オプション)
- Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)
- デバイスの指定
広告の配信先デバイスとして「PC」「スマートフォン」「タブレット」を指定できる。「スマートフォン」と「タブレット」の場合は、OSの種類やWebかアプリかを指定できる。
- サーチターゲティング
インターネットユーザーの検索履歴にもとに、別の機会にYDNが配信されるWebページを訪れた際に、過去の検索キーワードに関連したテキスト広告やディスプレイ広告を表示する機能。複数デバイスをまたいでインターネットを利用するという状況に対応した広告だといえる。
- デバイスの指定
2013年5月から段階的に実施されたスポンサードサーチの一連の機能変更も、スマホの普及によるインターネット利用動向の変化に対応したものだ。
以前は、「PCだけでなくスマホから集客も意識しよう」という感覚だったが、それが「スマホのことを考えることは当然。問題はどういうバランスにするべきか」に変わった。これからの広告施策は、スマホ対応が重要になるというわけだ。
今回は、スマホの利用動向を踏まえつつ、サイトと広告のスマホ対応について整理した。
繰り返しになるが、どのパターンで対応すべきかはサイトの位置付けや目的によって異なる。スマホの利用が増えても、PC向けサイトを優先すべき商材もあるので、自社のビジネスと照らし合わせて個別に判断する必要がある。
ただし、全体としてインターネットを利用する環境が、PCからスマホやタブレットに移りつつあることは確実だ。新たなサービスを企画したり、ターゲット顧客を設定したりする際は、この点を念頭に置くようにしよう。
※この記事の内容は、2014年8月現在の情報に基づいています。
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