失敗しないCMS導入ワークフロー
Phase 3 基本設計
CMS導入の手順
Phase 1 ヒアリング
Phase 2 プランニング
Phase 3 基本設計
Phase 4 詳細設計
Phase 5 プロトタイプ構築
Phase 6 開発
Phase 7 テスト
Phase 8 効果測定
企業と構築会社との間で一番重要なポイントを持つものがこの基本設計だ。基本設計とは、ヒアリングおよびプランニングで定めたCMS構築の方向性や位置づけに対して、コンテンツやページごとにやらなくてはいけないことを設計書としてまとめることだ。
設計書というと難しく感じるが、要はヒアリングなどをもとに、どのコンテンツはどの部署が管理をしており、どういった制限を設けて運用を行っているのかなどをまとめたものだ。このため、設計書といってもITシステム的な技術者にしか理解できないものではなく、基本的なテンプレートに対してどのようにコンテンツが入力されるのかが明確になればいいのだ。
しかし、この基本設計は非常に重要なものとなる。なぜならば、構築会社への指示はこの内容がすべてとなるからだ。CMSの大前提として、“ワンソースマルチユース”という概念がある。これは、1つのコンテンツをさまざまな箇所で利用するというものだ。コンテンツ管理という概念からすれば当たり前のことだが、複数の箇所に表示されるコンテンツをページ単位で設計するという作業は、思ったよりもわかりにくいものになる。
構築会社は、この基本設計書を頼りに、同一コンテンツが表示される場所を把握して、コンテンツの一元管理の仕組みを構築する。
たとえば、ニュースリリースのページを例にとれば、メニューはニュースリリース担当者が決めるものではなくウェブサイト担当者が決めるほうがいいだろう。ニュースリリース担当者が決めるものはニュースリリースが発表される日時やその詳細、要約したものでコンテンツそのものだ。それが表示される場所と仕様は、共同で検討すべきだ。そういったことをコンテンツごとにドキュメント化したものが基本設計書になる。
では、基本設計書がない場合はどのような問題が起きるのだろうか? ヒアリングやプランニングで行ったのは、全体像をどのようにしていくかを確定する作業に過ぎない。ヒアリングなどがこの基本設計のベースになるのは間違いないが、それだけでは不十分だ。基本設計書で、コンテンツごとに、その表示場所と表示形式を明確にしておかないと、たとえば次のような問題が起こる可能性がある(もちろんこれらは、基本設計書を制作してもよく起こるのだが……)。
- 複数の担当者がデータを投入しないと完成しないページやデータ設計になってしまう。
- 定義されていないコンテンツがあり、テンプレートと合致せず、ページが完成しない。
- 1種類のコンテンツを入力するのに複数のデータ入力を行わないと完了しないため、いつになってもコンテンツ表示が行われない。
- 実際のコンテンツの情報と制約条件が合わず、コンテンツを投入できない。
これでは、コンテンツ管理ができる状態にはなく、CMSを導入してもかえって手間が増えることになる。実際に、今コンテンツ管理の仕組みがうまく機能していない背景には、こういった基本設計がないままに構築されている状況があると考えられる。すべての担当者と最終的なコンセンサスを取るためにもこの基本設計書は重要なポイントであり、基本設計書なしには、成功するCMSの導入はないと心してほしい。
基本設計書の例
※この記事は、『Web Master 完全ガイド Vol.2』掲載の記事を元に、未公開の原稿を加えて再構成したものですです。
コメント
記事修正履歴
記事初出時に「基本設計書の例2」と「基本設計書の例3」の解説文が入れ違いになっていたため、公開後に内容を修正しました。