検索エンジンの関係者たちは、みんなそれぞれがかなり前から自分のサイトでウェブスパムについて声を張り上げてきた。
Yahoo!のTim Converse氏もよくやってたし、GoogleのMatt Cutts氏だって、何度となく繰り返していたっけ。最近は、Google検索品質グループのBrian White氏がウェブスパムの話を書いている。ウェブスパムに言及することには、いくつか固有の目的があるんだと僕は考える。
この分野のウェブやブログに精通したオピニオンリーダーら(検索エンジン関係者のブログすべてに注目している人たち)に対し、ウェブスパムを捕らえられるほど利口なんだと示すため。
検索エンジン関係者らに歯向かうことで受ける報復を示すことにより、スパム行為に手を染めるのは怖いことだという意識を植え付けるため。
自分の生活のため、そして情報を共有したいという気持ちのため。
ほとんどのウェブマスターたちは、3番目よりも最初の2つの動機を重要視していると思う。でも、もし大工さんのブログを読むんだったら、そんなことよりも、ハンマーの良し悪しやお奨めのブランドについて書いてあることを期待するだろう。僕らは、検索エンジン関係者らを不当に判断しているんじゃないだろうか? ……おそらく多少はそうだろう。
だけどそれでいいんだ。彼らは矢面に立つことで(非常にまとまった額の)お金を稼いでおり、もし直接彼らと話をする機会があれば、作り出されたドラマの中で彼らが少し楽しんでさえいることに気づくだろうと思う。
僕が検索エンジン最適化(SEO)業界に参加して以来、長い間スパムとして除外されなかった慣例がある。その慣例は、卑劣な悪玉SEOのためと同じくらい、正真正銘の善玉SEOのためにも役立った確固たる存在だったという、興味深いものだ。
スパムの問題はSEOにおける善対悪の世界なのだから、みんながもっと協力しあうべきだと思う。こうした考え方(そしてその基となる慣例)が、現在でも生き残っているのかは不明だ。ウェブマスター業界に深く関わる人たちや、単に検索結果を閲覧しているときにスパムを見つけて、それを排除したがっている多くの人々のどちらにも、スパムを報告する仲間たちは大勢いると僕は思っている。
そしてSEOmozでは、発見したスパムの99%を報告してない。その理由を挙げてみよう。
報告していたら、丸一日費やしかねないから。たとえば「texas hold'em site:edu」で検索してみれば、そのことはあまりにも明らか。
有料リンクらしきものでライバルを通報するよりも、サイトの最適化、コンテンツの作成、リンクの獲得、広報とマーケティングといった生産的な作業に時間を費やす方が、はるかに見返りが大きいから。
もう以前に行われたから。検索エンジンの関係者と話をしたり、検索の世界についてオンラインで読んでみると、少なくとも明白なスパムの大部分について、検索エンジンは認知しているという印象を受けるだろう。検索エンジンは、こうしたスパムサイトを個別に手作業で削除しようとはしていないが、大規模にスパムを排除できるパターンを見つけるために、アルゴリズムの開発に取り組んでいる。
僕たちは残りの1%のスパムを報告するんだが、その理由はブログで取り上げるからだ。この操作的な業界にあって非常に興味深いものが見つかれば、みんなと共有したくなるものだ。僕らがブログで取り上げる理由は、検索エンジンの関係者がそのスパムを捕まえるからだけじゃなく、社内で僕らが使用できる技術の知識や、合法的にランクを上げるため、ブログの読者が採用できる戦略をもたらすことも多いからだ。
僕がスパムの世界に魅了されているといったって、あぶく銭を得たいなんて考えたことは一度もない。それは、未知のものに対する不安や経験不足といった側面もあるけれど、冷静に考えれば、僕はその世界にのめり込まないってことだ。その理由は、僕がスパムを悪事や倫理的に間違ったことと見なしているからじゃない。僕の倫理的な観点からして、自分のお金をできるだけ多く手元に残すため、税法の抜け穴を利用することに似ているし、スパムの世界と関わることで同じレベルの「悪」を持つことになると思うからだ。そして、本当に僕をスパムから遠ざけている理由とは、それが、収入や評判を得たり、ビジネス構築したりといった問題に関しては、短期的な解決手段に過ぎないからなんだ。
スパムに関するEarl Grey氏との議論(彼がまだそこにコメントを書いてくれていたらいいのに)を覚えている人にとっては、長期的な視野と短期的な視野の問題に帰結すると理解してもらえるだろう。現在僕は27歳の若者で、残りの人生において持続可能な価値のある事業を構築するために、今から3年ないし5年の時間がある。もし僕が40代で、子供の大学の学費や家のローンの支払い、義母の住む場所の購入を考えなくちゃいけないとしたら、将来の展望はかなり違ったものになるだろう。
1日に10時間から12時間を仕事に費やし、その仕事を熱烈に愛している人間として、私が求めているのは、ブランドの構築や会社の成長といった、単に利益を上げるシステム以上の何かであり、そして何百万人もの人々に到達し、彼らを助けるものなのだ。
SEOmozが、完全に利他的なものだと言っているわけじゃない。この会社で僕が目指す最大の目標の1つは、確かにお金を稼ぐことだ。しかし、今スパムに手を出して、将来的な利益を損なうのも構わずに毎月2万5000ドルを稼ぐ9割の確率に賭けるよりも、すばらしいアイデアと確かな実行力、そして長期的なモデルによって、今後5年から10年の間に5000万ドルを稼ぐ1割の確率に賭けたいところだ。
ちょっと話が脱線しちゃったかな。最初のポイントに戻ろう。
僕の意見としては、検索エンジンの関係者たちは、発見したスパムについてもっと多く公表したらいいと思う。
あらゆる邪なネットワークを示し、特定の有料リンクやリンクブローカー、スパムネットワーク、あるいは乗っ取られたページの中で、検索エンジンから閉め出したものをウェブマスター達に知らせることは正しいことだ。スパム行為に手をつけるのは怖いこと、という意識を植え付ける目標に適うだけでなく(検索エンジン関係者のみんなはスパムを見つけるのが上手だから、賢いウェブマスター達は別の手法に走るだろう)、合法的なマーケティング屋さんに検索エンジンの能力と業務の見本を示すことにもなる。これは悪いことじゃない。
GoogleのMatt Cutts氏が躊躇せずにGoogleのアルゴリズムの概要を公表すれば、おそらくスパム業者らに利することはまったくなく(少なくともすべてのウェブサイトにとって役立つ以上には)、Googleのインデックスの質を向上させたり、正当なウェブマスターやサイトが最適化を行うのに役立つだろうと思う。もちろん、Yahoo!やMSNやAskにとっても、ちょっとくらいは役に立つ(笑)。
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