Yahoo!とGoogleの流入割合に黄金比はあるのか?——流入分析(3) [アクセス解析tips]
参照元の多くを占める検索エンジン
多くのサイトでは検索エンジンからの流入が多くを占める。つまり検索結果で上位表示されることが多くの流入を誘引しているのが現実だ。そのため、
- 検索結果上位になるための施策としてのSEO
- 検索結果で広告表示して誘導する検索連動型広告(PPC)
の2つが、集客戦略で非常に重要だということになる。この2つを合わせて検索エンジンマーケティング(SEM)と呼ぶ。
流入分析の最初の項で話したとおり、比較的歴史の浅いサイトならば、検索エンジンの認知がまだまだであったり、コンテンツが充実していなかったりといった理由で、まだまだ検索エンジンからの流入割合が低いかもしれない。しかし、ある程度の規模と歴史のあるサイトであるにもかかわらず検索エンジンからの流入割合が低い場合は、SEO対策が十分でないことを疑うべきかもしれない。この場合、まずはYahoo!やGoogleで、来てほしい検索キーワードで実際に検索してみて、自分のサイトが何位に表示されているのかを確認するといいだろう。
また当然のことながら、検索連動型広告を実施しているのであれば、まず自然検索結果からの流入と検索連動型広告からの流入を分けて見るということが大前提であることは言うまでもない。
Yahoo!とGoogleの黄金比はあるか?
次に検索エンジンのレポートで見る点としては、主要な検索エンジンのシェアだ。ここでは自然検索結果からの流入に絞って話をする。各サイトばらばらなので、どの状態が適正かを一概にはいえないが、Yahoo!とGoogleで検索エンジンからのアクセス全体の9割を占め、比率は3:2から2:1くらいが目安だろう。
一昔前はGoogle利用者と言えば、コンピュータに詳しい男性で技術者といった典型的なプロフィールで語られることも多かったが、最近はそれほど極端なイメージはなくなっている。とは言っても、やはりGoogle利用者は、すこし専門家やIT寄りの印象はまだ残っている。そういうサイトはGoogleの方がシェアが高いということも珍しくはないので、自分のサイト利用者のユーザー属性と合っているかどうかの目安にはなるだろう。
上図のグラフは、老若男女さまざまな人が見るような普通のサイトで、このサイトでは約60%がYahoo!、35%がGoogle、その他が数%というシェアの構造だ。
それに対して、上図のグラフはIT関係の情報サイトで、Googleが約90%、Yahoo!が10%と非常に偏っていた。このサイトでは、GoogleとYahoo!のキーワードの上位表示がそれほど偏っていないので、明らかにGoogleで検索する人の偏りが高いのが原因と考えられる。
検索エンジン別のキーワード・キーフレーズ
検索エンジンごとの流入シェアを確認したら、次は検索エンジンごとに検索キーワードと検索キーフレーズの流入数を確認していくことになる。検索エンジンにはそれぞれクセがあり、Yahoo!とGoogleで同じキーワードでも一方は上位表示され、一方は上位表示されないことがある。なので、検索語の分析は基本的には検索エンジン別に見ないと意味がない。少なくともYahoo!とGoogleを別にして、キーフレーズあるいはキーワード別の流入数を把握することが重要だ。
検索連動型広告を行っているのであれば、当然こちらのデータも見ておく必要がある。Yahoo!ならばスポンサードサーチの広告効果測定ツールの画面、GoogleならばAdWords広告のツールの画面とも一緒にあわせて評価をすべきだ。
キーワードとキーフレーズの違いを理解しているか?
アクセス解析ツールの検索語に関するレポートを見る場合は、少し注意が必要だ。多くのツールで、「検索キーワード」というレポートは、実際には「検索キーフレーズ」をレポートしていることが多いのだ。
「キーフレーズ」というのは、検索エンジンに入力した言葉そのもので、複数のキーワードで検索した場合にはすべてのキーワードが空白で区切られて含まれている。「キーワード」とは、キーフレーズを単語単位に分割したものを表す。
具体例で話をしよう。検索エンジンンで「アクセス解析ツール」という入力パターンが3件、「アクセス解析 ツール」という入力パターンが2件あったとしよう。
この場合入力パターンをそのままカウントするのがキーフレーズなので、「キーフレーズ」のレポート表示は下記のようになる。
キーフレーズ | 検索件数 |
---|---|
アクセス解析ツール | 3件 |
アクセス解析 ツール | 2件 |
これに対して、「キーワード」は空白が入っているものを前後で分割する訳なので、「アクセス解析ツール」はそのままで、「アクセス解析 ツール」は「アクセス解析」と「ツール」に分解されることになる。意味のある単語で分けるということではないので、「アクセス解析ツール」が、「アクセス解析」「ツール」あるいは「アクセス」「解析」「ツール」に分解される訳ではない。英語と違って日本語の場合、単語と単語の間に空白はないので、空白のない場合にコンピュータが自動的に正確に区切ることはできない。だから明らかにブランクがある「アクセス解析 ツール」だけが分解されるのだ。よって「キーワード」レポートの表示は下記のようになる。
キーワード | 検索件数 |
---|---|
アクセス解析ツール | 3件 |
アクセス解析 | 2件 |
ツール | 2件 |
キーワードとキーフレーズは、どう分けて分析するのがいいのだろうか。もう少しイメージしやすい例で考えてみよう。
レシピ名を取り上げてみる。「ジャガイモ 簡単 レシピ」といったキーフレーズがあったとしよう。この場合のユーザーの頭の中では、「食材」+「用途」+「レシピ」という言葉で絞り込んだと考えられる。
「簡単」というキーワードを今回は「用途」というカテゴリ表現をしてみたが、このカテゴリに属する他のキーワードとしては、「お弁当」とか「運動会」などのバリエーションがあると考えてみる。また「レシピ」の言い換えとしては「料理」などがある。これだけの複合語になると、それぞれが個々のキーフレーズであるパターンは非常に拡散したものになることが容易に想像できる。
そこで「食材」をキーワードでまとめてみると、その食材でどれだけのニーズにマッチして流入があるのかの総量がわかる。キーワードとキーフレーズの両方のパターンがあることで、格段にわかりやすくなるのだ。
上で示した例でいうと、検索フレーズの解析で、
- 「ジャガイモ 簡単 レシピ」が2件
- 「ジャガイモ お弁当 レシピ」が4件
- 「ジャガイモ 運動会 レシピ」が3件
- 「大根 煮物 レシピ」が7件
だったとする。この場合、単純にキーフレーズで見ると「大根」が7件と最も多いが、キーワードに分けてみると「ジャガイモ」が9件、「大根」が7件となるのだ。
もちろん万能ではない。単語間に空白を入れないで続けて「ジャガイモ簡単レシピ」というキーフレーズで入力した場合には、前述したとおり自動的に形態素解析をして最適な単語に分解するようなことはしてくれない。こういったことを理解したうえで、アクセス解析の検索キーワード分析を活用してみよう。
まとめ
- 検索エンジンは参照元の多くを占めている
- Yahoo!とGoogleの黄金比は3:2から2:1
- 検索エンジンごとにキーワードとキーフレーズの流入数を確認する
- キーワードとキーフレーズの違いを理解しておこう
ソーシャルもやってます!