衣袋宏美のデータハックス

タブブラウザでは、ページ滞在時間をタブ別に集計しているのか? [アクセス解析Q&A]

IEやFirefox、Chromeなどのタブブラウザは、ページ滞在時間をタブごとに集計している?
衣袋宏美のデータハックス

質問:IEやFirefox、Chromeといったタブブラウザで、同じサイトを複数のタブで並行して閲覧した場合は、ページ滞在時間はタブごとに別々に集計されているのでしょうか?

答え多くのアクセス解析ツールではタブ別に集計せず、単純にリクエストのあったページと閲覧開始時間を並べて、リクエストがあった時間の差を測ってページ滞在時間を計算しているだけだと思われます。

解説滞在時間を高い精度で計測することは、技術的には可能です。しかし、一般的にはあまり複雑な仕組みで計測することは少ないようです。

純粋に技術的に可能かどうかという点からいえば、「どのタブがアクティブなのか」はもちろん、「ブラウザがアクティブのアプリケーションになっているのか」や、そもそも「PCがアクティブなのか」をマウスポインタなどの動きから判定して、より精度の高い閲覧行動の把握をすることは可能だと思われます。しかし、現実的には技術の進歩の方が激しいため、何を標準的な計測方法とすべきかというガイドラインの統一見解は、業界団体などでも出すことは困難でしょう。

各ツールが独自の計算方法を次々と編み出していくのも不都合ですので、ツールでの計測や集計というのは、標準では単純な設定にされていることがほとんどです。ただ、各ツールによってどのように計算しているかは、きちんとベンダーに問い合わせしてみることをお勧めします。当たり前の指標が実は全然想像もしなかった集計をしているといったことも現実にはあるからです。

たとえば、同じサイトを2つのタブを使って次のような閲覧をした場合で考えてみましょう。

閲覧開始時間タブAタブB
10:00page01.html 
10:02 page11.html
10:03page02.html 
10:06 page12.html
以降はアクセス記録なし

もしタブごとに閲覧ページを分け、その閲覧間隔(閲覧開始時間の差)で判定するとすれば、結果は次のようになります。

タブAのページ滞在時間
閲覧ページ閲覧開始時間ページ滞在時間
page01.html10:003分
page02.html10:03不明
以降はアクセス記録なし
タブBのページ滞在時間
閲覧ページ閲覧開始時間ページ滞在時間
page11.html10:024分
page12.html10:06不明
以降はアクセス記録なし

しかし単純にリクエスト時間を並べて、その差をみる場合は、また違ってきます。

閲覧ページ閲覧開始時間ページ滞在時間
page01.html10:002分
page11.html10:021分
page02.html10:033分
page12.html10:06不明
以降はアクセス記録なし

では、タブAとBでそれぞれ別のサイトを見ていた場合はどうでしょう。

どのアクセス解析ツールでも、異なるサイトの計測はそれぞれ個別に行われます。本質的には、タブAを見ている時間はタブBのサイトの閲覧時間に含めるべきではありません。つまり、各タブがアクティブだった時間がわからないことには、各サイトの正確な閲覧時間は計測できないということになります。

しかし、多くのツールでは仕組みを難しくしてまで滞在時間の計測精度を高めることはしていないと考えられます。

使う側の心構えとして、サイト滞在時間という指標は、せいぜいこの程度の精度の数字なのだということを理解して使うことです。絶対値の精度は必ずしも高くないのですから、「1分は少なすぎる」「5分だから良い」といった見方ではなく、中期的なトレンドを見て、上昇傾向なのか下降傾向なのかといった見方が必要になります。

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

ERP
Enterprise Resource Planningの略。「ERP」(企業資 ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]