上司の「クラウドってどう思う?」の問いに、サッと答えるクラウド処方箋

クラウドベンダー選び7つのチェックポイント+クラウディアが答えるベンダー選びQ&A | 最終回

実際にクラウドを導入するときには、どんな視点でベンダーを選べばいいのかポイントを伝えます。
上司の「クラウドってどう思う?」の問いに、サッと答える。そんな、デキるWeb担になるためのクラウド処方箋。

これまで、クラウドの内容やサービスの種類に触れてきました。最終回は実際にクラウドを導入するとなったときのために、クラウドサービスを選ぶためのポイントを紹介します。クラウドベンダー選びのQ&Aや選び方のコツを通じて、サービスごとの違いなどをチェックしてみましょう。

今回の効能
  • 自身が手掛けるプロジェクトのコストや工期など、各タスクと照らし合わせながら、現状の把握や課題のあぶり出しができる
  • クラウド導入(ベンダーの選択)により、業務改善ができるかもしれないという気づきになる

クラウドベンダー7つの比較・選択ポイント

  1. ビジネスの規模や現有IT資産との兼ね合いを把握する

    社内の情報システム関連をすべてクラウドに移行するやり方もあれば、既存の環境を活用しながら、Webまわりや追加のストレージだけクラウドを利用する方法もあります。できるだけ予算や時間的にムダのない範囲での導入をおすすめします。試験的に使いながら、コスト感などを把握するのも賢い取り入れ方だといえるでしょう。

  2. コストならびに初期費用・ランニングコストの試算

    クラウドを導入することで、導入から運用までにどれくらいのコストがかかり、導入後にどこまでコストカットできるのかを試算します。クラウドは利用した分を支払う従量課金です。従来システムとの対照表などを作って検討するのもいいでしょう。

  3. 工期の確認

    導入からサービス利用開始までにどれくらいの期間がかかるのかを把握し、サービスを選びましょう。

  4. アウトソーシングの内容(社内SE、制作会社との意思疎通)

    業務に関連した内外のスタッフとシステム環境の変更点やタスクの振り分けを想定するなど、意思疎通を図ったうえでサービスを絞り込みましょう。

  5. 決済方法(請求書決済、クレジットカード決済の存在を知る)

    海外の事業者によるクラウドサービスはクレジットカード決済が基本です。自社では法人カードでの決済が可能かどうか、また日本の商習慣に即した決済サービスの有無など、事前の確認が必要です。

  6. オプションサービスの確認

    セキュリティ機能や導入サポート、データの移行など、クラウドをより有効に活用するためのオプションサービスが多数存在します。用途に適したオプションがないか、いろいろ調べてみましょう。

  7. 有償サービスの必然性の見極め

    利用したいサービスや機能はフル活用したい。しかし、なかには有料サービスもあるため予算オーバーというケースもあるでしょう。無理のない範囲でサービスを取り入れ、無料サービスなども賢く活用しながら、コスト削減を目指しましょう。

導入前にクラウドベンダーを要チェック!
クラウディア答えるベンダー選びの7つの質問

クラウディア窓辺

解説役:クラウディア窓辺
マイクロソフトのクラウド プラットフォーム、Microsoft Windows Azureの技術解説漫画「クラウド ガール -窓と雲と碧い空-」に登場する、マイクロソフト公式のキャラクター。

Q1IaaSとPaaSへの切り替えではどちらが早いですか?

サイトの規模にもよるけれど、導入期間のスピードではPaaSに軍配が上がるわネ。といってもIaaSも常に進化しているので工期とサービス内容をしっかりチェックしてネ

Q2マイクロソフト、グーグル、アマゾンと、クラウドにはメジャーなサービスがありますが、一番いいサービスはどれ?

前回の記事でご紹介したとおり、主要なクラウドサービスにはそれぞれの個性があって、その違いは決してサービスの優劣ではないノ。「どれがいいサービスなのか」は、「使う企業や人のニーズにどう当てはまるのか」に置き換えるのがいいと思うワ。

Q3クラウドベンダーは製品から選ぶものですか? もしくはブランドで?

それぞれに好みがあると思うけれド、前回ご紹介した「クラウドマッチングチャート」のとおり、クラウドを利用する人のビジネス形態や用途によって、タイプが異なるので、それぞれのサービスの特長をきちんと把握して選ぶのがベストな方法ネ。つまり、製品でもブランドでもなく、目的から選ぶのが大切ということヨ。

Q4自分たちに合わないクラウドベンダーを選んでしまわないようにするためにはどうすればいいですか?

やはり、しっかりとしたリサーチ。クラウドベンダーに問い合わせをして、自分たちが利用したいサービスが本当に受けられるのかを確認することネ。予算や納期も含め、納得できるサービスを選ぶことが大切ヨ。7つのチェックポイントが役立つはずネ。

Q5インフラエンジニアが社内にいない場合、運用がしやすいのはどこのベンダーですか?

インフラの存在をまったく意識せずにクラウドを利用したいのであれば、利用できるサービスは限られるけどSaaSがいいかもしれないわネ。サーバーなどのインフラ機能をある程度管理下に置いて、かつストレスなく利用したいのであれば、PaaSがおすすめネ。Windows Azureなら、サーバーの状態が自動的に最新に保たれるし、管理画面が日本語で難しい言葉がないので直観的な操作ができるわヨ。

Q6グーグルだったら何をどれだけ使ってもタダですか?

私はグーグルの人間じゃないから無責任なことは言えないケド、有料のサービスも存在するし、ストレージなどの利用ボリュームによっては追加料金が発生すると思うワ。商用での利用なら特にネ!

逆に考えると、安心や信頼がほしいときにはそういった有料プランのほうが企業向けだとも。無料の裏にはリスクあり、よく確認することネ。

Q7ショッピングサイトを運営している会社は、やはりアマゾンを利用すべきですか?

そう思うわよネ! でも、業態よりも取り扱うデータの種類や内容によって選ぶといいわヨ! 顧客管理など、フクザツなデータの取り扱いがある場合は、アマゾンやWindows AzureのようなIaaS型のクラウドでインフラ基盤からしっかりと構築するのがいいと思うワ。

あまりフクザツではない、基本的なサイトの運営やソフトウェアだけ使いたいといった場合にはPaaSやSaaSもおススメだと思うワ

クラウドの効能は無限大

連載を通じてクラウドサービスのさまざまな効能をお伝えしてきましたが、いかがでしたか。なんとなく目の前でモクモクとしていたクラウドの印象は変わったでしょうか。これからWeb担当者として、新しい企画やキャンペーンに携わる機会もあるかもしれません。

もしそこで、「予算がない」「時間がない」と、ないないづくしになってしまったときには、ぜひこの連載を思い出してみてください。知恵と工夫、情報を駆使して、ネットワークの向こう側にあるリソースを自由に活用することで、これまでにない新しい表現ができるかもしれません。

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