Googleアナリティクスの導入から、運用、活用まで、正式なサポートがない初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
Googleアナリティクスとは/衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座直帰率の高いページから改善効果の高そうなページを抽出するには?
直帰率の高いページから改善効果の高そうなページを抽出するには?
前のページで解説したように、直帰率の高いページは改善の余地がある可能性が高いので、直帰率で降順にソートして問題のページを抽出してみよう。「直帰率」の指標部分の文字(図6赤枠部分上部)をクリックすると、直帰率の降順にソートされる(図6赤枠部分)。
しかし上位を見ると、閲覧開始数が「1」となっていて、そもそものボリュームが少ない(図6青枠部分)。これらのページの直帰率を改善したとしても、全体に対する効果はほとんど期待できない。
もう少し意義のありそうなデータだけを抽出したい。そこで、「並び替えの種類」のプルダウンをクリックしよう(図6緑枠部分)。
「デフォルト」の他に、「加重」(図7青枠部分)が選択できるのがわかる。「加重」を選択すると、閲覧開始数の重みづけをした上で、直帰率の高いページを抽出できる。この「加重」をクリックしたのが、図8だ。
こうすることで、直帰率で並べ替える際に閲覧開始数で重み付けされる(図8赤枠部分)。つまり改善効果の高い順に並べられるといってよいだろう。
実際のページをリンク(図8青枠部分)から確認し、前回の記事と同様で各ページ(図8緑枠部分)をクリックして絞り込んでから、セカンダリディメンション(図8黒枠部分)で参照元と組み合わせてみてみることで、ユーザー行動を実体験して、ページに問題があるかを考えてみよう。
「離脱率」の並べ替えでは「加重」が使えない
直帰率と同様のアプローチができれば、離脱率に関しても問題のページを抽出するのが容易にできそうだが、離脱率でソート(図9赤枠部分)した場合に、並び替えの種類(図9青枠部分)に「加重」の選択はできないので、残念ながら同じアプローチは取れない。
「ページの価値」を比較する際の注意点
最後に解説する指標は「ページの価値」だ(図10赤枠部分)。「ページの価値」の指標についての詳細は、以下の記事を参照してほしいが、わかりやすく一言で言えば、該当ページへの1訪問の価値を表す指標ということになる。
成果を生み出しているページを探すときに役に立つわけだが、気を付けなければいけないのは、この指標の計算の特性上、目標達成に近いページになるほど、「ページの価値」の値は高くなるということだ。
たとえばeコマースサイトであれば、「ページの価値」の値は、購入完了ページが最も高く、次に高くなるのは購入プロセスであるショッピングカートのページなどだ。そのため、目標達成までが遠い「トップページ」とカート周りのページを比較しても意味はない。
すなわち、「ページの価値」を比較するときは、同じレベル(階層)のコンテンツや同種のコンテンツ間で、目標達成に対する相対的な評価をするのが正しい。
前回の「ディレクトリ」のレポートではこの指標が表示されないので、同じ階層や同じディレクトリ内のページ間での比較などが簡単にできないのは残念だ。この「すべてのページ」のレポートを一括でファイルに出力するなどして、この成果の軸からページを評価してみて、問題と思われるページがないかを探してみよう。
具体的には、
- 力を入れているコンテンツなのに相対的に評価が低いページがないか?
- 想像した以上に価値が高いページの理由は何なのか?
といったところから問題意識を発展させてみてはどうだろう。
「ページの価値」は短期的な評価指標
ただ気を付けたいのは、「ページの価値」は、時間を掛けて醸成されるブランディング効果などを測る指標としては適切ではないということだ。
「ページの価値」が低いということは、短期的な(レポート対象となった期間の訪問時の)目標達成には効果がなかったということを表している。しかし、だからといって、そのページやコンテンツやコンテンツ群に意味がないなどと短絡的に判断すべきではない。あくまでも、そのページやコンテンツの特性と合わせて考えるべきだ。
しかしながら、ユーザーの過去からの閲覧ページの経緯を見たうえで各ページの長期的な価値を算出する指標は用意されていないので、今のところ簡単に長期スパンでの各ページが生み出している価値を判断するのは容易ではないことも付け加えておこう。
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