海外カンファレンスに参加! 準備から帰国までの完全ガイドをまとめてみた(アメリカ出張の場合)
Web担の読者の中には、仕事で海外に行く機会がある人もいるだろう。海外出張はテンションが上がるものだが、同時に「何を準備すればいいんだっけ?」という疑問がよぎるのではないだろうか。
YouTubeコンサルタントである筆者は、YouTubeを中心にSNSやWebマーケティングの一次情報を収集するために年に数回、アメリカのカンファレンスに参加している。その経験をもとに、”海外出張の準備のコツ”をまとめてみた。
渡航前→現地滞在→帰国までを網羅的にカバーしたので、近い将来に海外出張のチャンスがある方には、きっと役に立つはずである。※今回はアメリカに絞って話を進める。
渡航前
パスポートとESTAの準備
パスポートは言わずもがなとして、アメリカへの旅行に際してビザを免除される、一部の国の国民が利用できるプログラムの「ESTA」も必要だ。観光やビジネス、乗り継ぎなどの短期滞在(90日以内)のためにアメリカを訪れる際に使うのだが、渡航前に申請しておく必要がある。
申請が通っていれば、空港で改めて提示を求められることはないが、印刷しておくと手続きがスムーズになることもあるので、筆者はそのようにしている。
有効期間は申請から2年間。パスポートより短く、忘れたころに再申請のタイミングがやってくるのが注意点である。
加えて、ESTAは申請者のパスポート番号に紐付けられており、パスポートが更新されると、そのパスポート番号も変わるため、新しいパスポートには新たにESTAを申請する必要がある。
つまり、ESTAの有効期限は2年間なのだが、パスポートの有効期限のほうが先に来れば、たとえESTAの有効期限内であっても、新しいパスポート番号でESTAを再申請することになることを付記しておく。
通信手段の確保
国際ローミング、現地SIMカード、ポケットWi-Fiなどいろんな手段があるが、筆者はスマホを国際ローミングで使う派。契約するキャリアによってサービスメニューや料金はバラバラなので、事前に確認し、申込は済ませておこう。
ただし、国際ローミングはキャリアによっては高額になることも。最も安価なのは、現地国のSIMである。
なお、パソコンはホテルやカンファレンス会場にWi-Fiがあるのでそれで対応する。
荷造りのコツ
リュックと小型キャリーケース
海外出張だと4~5日から1週間ほど滞在することになるので、荷物は増えがちになるが、旅の荷物は少ないに越したことはない。
基本はリュックと機内持ち込みできるキャリーケースに収める。リュックにはパソコン、タブレット、筆記用具、書類、電源、モバイルバッテリー類を。キャリーケースには着替えや日用品などのかさばるアイテムが入る。
モバイルバッテリーについては、機内に持ち込むには電力量が160Wh以下のモノである必要がある。現在出回っている大半のモバイルバッテリーは機内持ち込みが可能なので基本的に心配はないが、国際線では機内持ち込みに関するルールが国内線よりも少し厳しくなる。
容量100Wh以下でも、国際線では個数制限が設けられている場合があるので、航空会社のルールをチェックしておくといいだろう。まあ、1~2個であれば、ほぼ問題ない。
帰国時は荷物が増えるものなので、パンパンには詰めず、1〜2割ほどスペースを空けておくのが望ましい。
貴重品
リュックとキャリーケースに加え、体にフィットするショルダーバッグも持つ。ここには財布、パスポート、航空券、スマホの貴重品を入れ、肌身放さず常に視野に置く。機内でも身に着けたままが基本。
マイナンバーカードや運転免許証、各種会員カード類は持つ意味がないし、海外で紛失したらほぼ100%返ってこないので家に置いておく。ただ、健康保険証は念のため持っている。
電子機器
日本の電子機器のプラグは、アメリカでもそのまま使用できる。日本のコンセントとアメリカのコンセントの一部の形状はほとんど同じなため、変換アダプターは使用する必要はない。
ちなみに、英国やドイツ、オーストラリア、シンガポールなど多くの国はプラグの形状が異なるので渡航前に必ず調べて対応する変換プラグを準備しておく。グローバルで対応できる組み合わせ式の変換プラグもある。
ノートパソコンやタブレットなどでは、交流電力(AC)を低電圧の直流(DC)に変換してから内部に誘導しているのでそのまま使える。電圧が異なる(日本は100V、アメリカは120Vか200V)ため、パソコン類以外の電気機器を使うには変圧器を用意しなければならないケースはあるが、出張ではほぼ影響はないはずだ。
忘れてならないのは、電源、モバイルバッテリー、予備のケーブル類(LightningとかType-A,B,C)。移動中はかなりスマホを使うことになる。ショルダーバッグに常備させておくといいだろう。
服と靴
昼夜の寒暖差が激しい場所もあるので、現地の気候と気温チェックも忘れずに。重ね着できる服装がオススメである。
ちなみに、筆者は1週間の出張なら1週間分の下着を持って行き、ホテルのソファにズラッと並べ、端から使っていく。洗濯の時間はもったいないので、脱いだらビニールに詰める(or 捨てる)。よって、あえてぼろいモノを持っていく。
靴は歩きやすいモノが鉄則。靴紐なしのスリッポン式だと機内で脱ぎやすくて快適だ。それとは別にジョギングシューズも持参する。宿の周辺を走ったり、ホテル併設のジムで使うためである。
日用品
歯ブラシ、歯磨き粉、コンタクト用品、糸ようじ、常備薬は持参しよう。現地で買えばいいと思っていても、ドラッグストアは都合よく見つからないものだし、あったとしても品質が低い。
日本のホテルではありえないが、シャンプー、石鹸、ティッシュ、歯ブラシ、歯磨き粉が用意されていない(さすがにタオルはある)こともある。アメニティの有無はホテル公式サイトで確認しておくとよい。
土足のまま室内を歩きたくなければ、スリッパも持っておくといい。スリッパが用意されているのはグレードの高いホテルのみである。
現金とクレジットカード
クレジットカードが使える場所がほとんどだが、チップも払うし、キャッシュも必要だ。空港で換金するとレートが悪いので、時間が許せば外貨両替のカレンシーショップなどで換金している。
それ以外の便利なアイテム
- ビニール袋:洗濯物、ゴミ袋として
- フリーザーバッグ:食べ物を湿気から守る、現金の分散保管にも
- 割り箸、フォーク、スプーン:コンビニではもらえない
- アミノバイタルなどのスポーツサプリメント:疲労回復を早める
宿泊先の選び方
第一条件は「カンファレンス会場に徒歩で行ける距離」であること。1~1.5km以内にしておくのがいいだろう。会場隣接のホテルはたいてい高級で、早めに埋まる印象である。
筆者は会場から1.5km以内のホテルから選ぶ。シンプルに安いからだ。Google マップとストリートビューで、飲食店、カフェ、ドラッグストア、スーパーの有無、大通りか否か、住宅街かオフィス街か…などの周辺環境をチェックしておく。
めぼしい店があれば、Googleマップにpinを立てておく。ちなみに日本ほどコンビニはなく、あっても品揃えは悪いことが多い。
なお、いくら宿代が安くても、周辺環境に危険なサインを感じたら選ばない勇気を持とう。
旅行保険
病気やケガ等に備え、旅行保険にも入るのはマスト。1週間で1万円前後である。クレジットカードによっては、付帯保険が付いている。その場合は、別途加入する必要はない。
空港への移動と手荷物預け
国際線なら、出発の2時間前には空港に到着する。「早く着きすぎた」くらいでちょうどよい。
ごくまれに「羽田発なのに成田空港へ向かってしまう」ケースがあるので、くれぐれもご注意を(逆ケースもある)。加えて、国内線と国際線のターミナルの間違いもあるあるだ。空港までのルートと所要時間はくどいほど再確認されたし。
なお、現地のベルトコンベアの前で待つ時間がもったいないのと、万が一ロストしたらお手上げなので、キャリーケースは機内に持ち込む派である。
飛行機内での快適な過ごし方
水筒は必須
個人的にはサーモス一択だ。空港ならたいてい給水機もある。
服装はラクなものを
パーカー&スウェットのようなラフなものがよい。意外に機内は冷えるので、羽織れるモノを1枚持つと安心だ。
行動食
移動日はかなり歩くし(1日で10kmはザラ)、カロリーも消費する。そのため、行動食があるとよい。「機内食があるじゃないか」と思うかもしれないが、なぜかお腹が空いていないタイミングや、眠いタイミングで配られることもあって、ちゃんと食べられないことも少なくない。
ナッツ、クラッカー、柿の種などの塩気のあるもの、チョコ、キャンデーなどの糖分があるもの、両方あると飽きない。ただし、生鮮食品や肉製品、果物などは持ち込み制限されることが多い。
飛行機内での食品の持ち込みは一般的に許可されているが、目的地の国の輸入規制、アレルギー対策、量の制限など、条件や制限があることも。渡航前に航空会社の規定や目的地の国の輸入規制について確認しておくとよい。
スルメなどの乾き物は匂うし、国外では奇異のまなざしで見られるので、避けておこう。
時計を現地時刻に合わせる
機内に入ると同時に時計を現地時刻に合わせ、リズムを現地に寄せていく。
基本は、移動中は暇さえあれば休息と睡眠に充てる。とにかく寝よう。眠れなくても、眼を閉じよう。
快眠アイテム
長時間同じ姿勢だと腰が痛い。空気を入れて使う腰痛防止パッドだけでもずいぶん違う。
アイマスクと耳栓もあるといいだろう。耳栓がなければ、ノイズキャンセリングヘッドフォンをONにしておくと、静かで寝やすくなる。
エンタメアイテム
機内と空港でストレスなく過ごせるかどうか…が現地での体調にも影響する。トランジットで10時間以上待たされることもあるので、その間どう時間を活用するかは重要な問題だ。
空港では仕事をすればいい気もするが、ざわざわした環境は深く思考する作業には向かず、せいぜいslackを返す、メッセをチェックする…くらいしかできないものだ。
機内の映像コンテンツはどれも「微妙につまらない」のがほとんどなので、アテにできない。書籍やKindle Paperwhiteを用意することをオススメする。「こんなにダウンロードしても読めないだろう」と思う以上に持っていこう。なぜなら読み切ってしまうからだ。動画配信サービスを契約しているなら、映画やTVドラマをダウンロードしておくのもいいだろう。
目が疲れたとき用に、音声コンテンツ(PodcastやVoicy)もあるとよい。真面目なビジネス系だけでは集中力が持たないので、ライトなエンタメ系も混ぜておこう。
コンタクトレンズは外す
機内は乾燥していて眼が乾くので、搭乗前に外してメガネにしておく。目薬やリップクリームがあると助かる。
現地にて
空港から宿泊先までの移動
公共交通機関はあまりアテにならない。深夜に便が到着したら、そもそも電車もバスも動いていないこともある。よって、タクシー、Uber、Lyftなどがよいだろう。割高になっても、ケチらないほうがいい。
出発前にアプリはダウンロードし、支払い設定なども済ませておく。
多くの空港では、配車サービスの乗車場所が決められているので、案内板(「Ride Share」のサイン)を探そう。
現地での交通機関
土地勘のない場所のバスと地下鉄はやや不安なので、基本的には使わないか、使うにしても日中のみ。
昼間はなんでもない駅でも、夜に一気に不穏な雰囲気に変わることがある。土地勘がないと判断は難しいので、危険は犯さないほうがいい。常にUberなどのオプションも考えておきたい。
街中を歩くとき
ダウンタウンを歩くときは「キョロキョロしない」がマイルール。あと、早歩きが基本。
なるべく観光者に見えないよう、現地に溶け込むような”なんの変哲もない服装”を心がける。
メッセージ性のある文字が書かれた服は「外人です」と言ってるようなものなので、避ける。筆者は、無地のパーカー、ジーンズ、安物スニーカー、安物腕時計しか身に着けない。
ボーッとしていると、ホームレスの人に話しかけられ、カネの無心をされやすい。「ヘイ、ブラザー!」と笑顔で近づいてきて、気を許した瞬間にグループで囲んで逃げ道を塞いでくることもある。
話しかけられても足を止めず、スッと立ち去ろう。筆者は常にサングラスをして、誰とも目線を合わせないようにしている。
買い物や食事は明るい時間帯に済ませ、夜はなるべく出歩かないでおく。やむを得ないときは、(危機の察知が遅れがちな)ヘッドフォンはしないように。
あと、気休めかもしれないが、筆者は渡航1ヶ月前からあごヒゲを生やしている。日本人は年相応に見られず舐められやすいので、せめてもの「男らしさ」演出のつもりである。
カンファレンス会場での過ごし方
イベントのトンマナにもよるが、IT、Web、SNS系なら基本ラフ(ジーンズ&Tシャツ、パーカー)で問題ない。スーツでバチっと決めている人はほぼ皆無である。
ただ、アメリカのカンファレンス会場は冷房がキンキンのこともあるので、外は暑くても羽織るものを一着準備しておくとよい。
会場にも水筒は持参しよう。無料コーヒーは用意されているが、それ以外は選択肢がないことがほとんど。
セッションの様子をもれなくメモしたいのなら、ノートパソコンより紙とペンのほうが断然やりやすい。スライドの撮影もしたいのなら、なるべく前に陣取ろう。
ランチは、それなりの規模のカンファレンスなら、フードワゴンがずらりと並んでいるので難民になることはない。とはいえ長蛇の列になりがちなので、サンドイッチを道すがら買って持ち込む方が時間のムダはない。
セッションを聞いて疑問があれば、臆せずにスピーカーに質問しよう。どのスピーカーも丁寧に教えてくれる。
宿での過ごし方
部屋もベッドも外国人基準で作られており、総じて大きいため快適である。
長期滞在ならキッチン付き(冷蔵庫、流し、電子レンジ)の部屋が便利。2Lボトルを買って数日掛けて飲むとか、大きめの食材を買っても腐らせることがない。
シャワーだけだと疲れが残るので、毎日湯船に浸かるのがオススメ。個包装された入浴剤を持っていく人もいると知り、ナイスアイデアなので次回からマネようと思った。
ただ、バスタブのないホテルもあるので、公式サイトでチェックしておこう。
トイレ
屋外では、日本のように簡単に見つからないので、行けるときに行っておく!が鉄則。夜間の公衆トイレは物騒なので避け、ホテルやレストランなど、店舗内で済ませるのが安全だ。
朝晩の食事
アメリカの食事はせいぜい2日で飽きてしまう。なのに円安で驚くほど高い。体感レベルで日本の3倍はする。よって、結局タコベルなどのお馴染みチェーンが最強だったりする。
しかし!地元民が集うデリの朝食は最高なので、朝ごはんに限ってはチェーンではないローカルな店に足を運んでみよう。
滞在中に病院の世話にはなりたくないので、お腹を壊す可能性がある生物(ナマモノ)は避けている。大都市だと寿司を出す日本料理店があるが、わざわざ国外で食べる必要もないだろう。
運動
高カロリーな食事が1週間も続けば確実に太る。油断すると2~3kg太る。ホテルにジムがあれば、毎日30分でも運動したい。
なければ朝に宿の周辺を軽く走るとか、公園やビーチがあればそれを目的地にするのもよい。土地勘が無い場所なので、くれぐれもスマホは忘れずに。
フリータイムの活用
せっかく海外まで足を運んでいるのだから、帰国前日などのバッファを利用して観光するのも良いだろう。ウォーキングを兼ねて観光スポットを巡るのも楽しい。
めぼしい観光地がなければ、現地のスーパーマーケット、本屋、ショッピングモールへ行こう。地域特有の商品や珍しい食品を見るだけでも文化の違いが感じられて刺激を受ける。観光地価格ではないので安いし、お土産にしてもよい。
筆者は、味がまったく予想できない菓子を何点か買い、宿で「ひとり答え合わせ大会」を開催して楽しむのが習慣である。
帰国準備
出発同様、空港への移動は早めを心がけ、出発2時間前には到着しておく。
航空会社は出発時刻を直前に変更することもあるので、帰国当日の朝に念のためメールを再チェックしよう。
2時間のトランジットで完璧な時間配分!と計画していたのに、平気で「12時間に変更したよ、ごめんね!」と通知してきて、げんなりすることもしばしば。
出発ロビーの場所が予告なしに変更されることも珍しくないので、搭乗便と行先がズレていないか、確認する癖をつけておこう。
あと、トランジットの待ち時間が長ければ、前日に行動食を仕入れておくとか、kindle Paperwhiteに新しく本を入れたり、Podcastをダウンロードするのも忘れずに。
それでは、皆さんも素敵な海外出張を!
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