「2016年 日本の広告費」発表、運用型広告費が7,383億円(前年比118%)と好調
電通は2月23日、2016年1月~12月の日本の総広告費を推定した「2016年 日本の広告費」を発表した。日本の総広告費は6兆2,880億円(前年比101.9%)となり、5年連続で前年実績を上回った。
運用型広告が大きく成長、ネット広告市場の牽引役はPCからモバイルへ
媒体別の広告費をみると、インターネット広告費(媒体費+広告制作費)は1兆3,100億円(前年比113.0%)。媒体費単独では1兆378億円となり、制作費を除いて初めて1兆円を超えた。
インターネット広告のなかでも、運用型広告費が7,383億円(前年比118.6%)と好調だった。データやテクノロジーを活用する広告主が増えたこと、高機能化によってブランディングやリーチの役割を担うようになったことが成長を後押しした。デバイス別ではスマートフォンが引き続き成長、モバイルシフトが進んだことで、市場の牽引役がPCからモバイル中心型のメディアに移りつつある。
また、ネット広告市場全体では動画領域のニーズが継続して拡大。特にスマートフォンのインフィード広告が成長領域となったことで、運用型ディスプレイ広告の競争が激化した。その他、プライベートマーケットプレイスの活用、ジオターゲティングなどに取り組む動きが増加している。
新たな需要の創出、デジタルとの融合が進む4マス媒体
マスコミ4媒体の広告費(衛星メディア関連を含む)は、2兆8,596億円(前年比99.6%)。1~3月期は前年比100.9%だったが、4月以降は前年を下回り微減となった。
新聞広告費は、5,431億円(前年比95.6%)。長期的な購読部数の減少、夏場の天候不順などの影響を受けて前年に引き続き減少したが、インターネットテレビやゲームメーカーなど、これまでにない広告主の需要が生まれている。
雑誌広告費は、2,223億円(前年比91.0%)。業界的に厳しい環境が続くなか、定額制読み放題サービスなどの電子雑誌市場は前年比127.1%(出版月報2017年1月号より)と成長している。また、出版コンテンツとデジタルメディアの融合が加速しており、出版社のデジタル広告売上が2桁成長する例もあるという。
ラジオ広告費は、1,285億円(前年比102.5%)と年間を通して好調に推移し、シェアの高い「外食・各種サービス」が11年連続で増加。また、「radiko.jp」のプレミアム会員数が前年に引き続き成長、過去の放送が聴けるタイムフリーサービスの開始が利用を促進した。
地上波と衛星メディア関連を含めたテレビメディア広告費は、1兆9,657億円(前年比101.7%)。リオ五輪、2018 FIFAワールドカップのアジア最終予選などが推進力となり、前年を上回った。
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