2017年、日本のインターネット広告費は1.5兆円。総広告費の1/4に迫る【電通調べ】
電通は2月22日、日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「2017年 日本の広告費」を発表した。総広告費は前年比1.6%増の6兆3,907億円、うちインターネット広告費は前年比15.2%増の1兆5,094億円となった。以下、特にインターネット関連の動向を紹介する。
インターネット広告費は4年連続の2ケタ成長。モバイルが牽引
インターネット広告費(媒体費+制作費)は、特にモバイルにおける運用型広告、動画広告の拡大により4年連続での2ケタ成長を遂げた。総広告費に占める媒体構成比も23.6%と前年から2.8ポイント上昇し、全体の1/4に迫っている。
インターネット広告媒体費: 運用型広告が全体の77%に
インターネット広告媒体費は前年比17.6%増の1兆2,206億円。メディア側において予約型広告から運用型広告へのシフトがさらに進んだ結果、運用型広告費は9,400億円(前年比27.3%増)となり、インターネット広告媒体費に占める運用型広告の構成比は4分の3を超えた。
フォーマット別では、動画広告が前年にひきつづいて拡大。生活者のモバイルシフトが進み、メディアやプラットフォーマー側で動画広告メニューの拡充が行われた結果、市場が順調に拡大した。特に、運用型広告領域においては、モバイル向け動画広告が活況を呈し、成長をけん引した。
また、運用型広告をブランディング目的で活用する動きが活発化した。ナショナルクライアントによるデジタル・トランスフォーメーションが加速し、従来、予約型広告利用が主だった自動車や通信などの業種で、運用型広告の活用が進んでいる。また、これまでマスコミ四媒体広告の利用率が高かった食品や飲料といった業種においても、インターネット広告の活用が進みつつある。
2017年のインターネット広告を巡る大きなトピックとなったブランドセーフティの問題に関しては、広告価値毀損への関心が高まったことを受けて、各メディアやプラットフォーマー側でその対応策が進み、広告主側においてもアドベリフィケーション計測のためのベンダー活用が進んだ。
インターネット広告制作費: 前年比6%増と堅調に推移
インターネット広告制作費は前年比6.1%増の2,888億円となり、堅調に推移した。企業が進めるマーケティング活動のデジタル・トランスフォーメーションの一環として、今後もこの傾向が続くとしている。
プロモーション(販促)ページの制作費が増加すると同時に、ソーシャルメディアのための広告制作費・制作関連(システム運用)費も増加。コンテンツの制作トレンドは、オウンドメディア完結型からソーシャルメディアなどプラットフォームとの連携型にシフトしている。
動画広告の制作費は、動画広告元年といわれた前年からほぼ横ばいで推移。バナー広告の制作費は久々に増加した。
マス4媒体でもデジタル対応が進む
従来からのマス4媒体においても、インターネット/デジタルへの取り組みが進められている。関連する箇所を以下に抜粋する。
- 新聞: 新聞各社によるデジタル施策の取り組みが急速に進む中、PMP(プライベート・マーケットプレイス)などの運用領域や、コンテンツマーケティングの新聞社扱い案件が伸長した。また、デジタルと連動した紙面企画をはじめ、他媒体との協働も加速している。
- 雑誌: 前年に続き、出版社によるデジタルメディアのローンチが活発化。電子雑誌での広告事業が開始されるなど、出版コンテンツとデジタルメディアの協業が急速に深化している。
- ラジオ: 「radiko.jp(ラジコ)」は、認知の向上とともにプレミアム会員数が堅調に増加。2017年にラジコ搭載のスマートスピーカーが発売されたことに伴い、利用者が増加しており、今後も接触者数の増加が期待される。
- テレビ: キャッチアップ広告をはじめ動画配信型広告が増加するなど、「テレビ×デジタル」の取り組みが加速している。
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