日本企業のデジタル化は加速するが、世界に約2年の遅れ?【ガートナー調べ】

テクノロジー投資の優先順位についても世界と日本の企業で違いが表れた

ガートナー ジャパン株式会社は、2020年に実施したCIOアジェンダ・サーベイをもとに、日本企業のデジタル化の取り組みは加速しているものの、世界のトレンド・ラインより約2年の後れを取っているとの調査結果を発表した。

日本企業のデジタル化は進んでいるが、世界に約2年の遅れ

調査の結果、デジタル・ビジネス・トランスフォーメーションが「成熟」段階にある割合は、世界の企業では2018年の33%が2020年には48%に増加した。日本企業では2018年の23%が2020年には37%と増加したものの、2018年から2020年にかけて日本企業は世界の企業の成長に対し約10%の遅れをとり続けている形となることが判明した。

また、「デジタル由来の売り上げ」と「デジタル化されたプロセス」の両方の割合を比較したところ、全業界において、現時点での日本企業は、世界のトレンド・ラインより約2年の遅れを取っていることも明らかになった。

 

世界と日本の企業で違いが表れたテクノロジー投資の優先順位

「各テクノロジー領域における投資の増減について」聞いたところ世界の企業のCIOが

  • サイバーセキュリティ/情報セキュリティ(61%)
  • ビジネス・インテリジェンス/データ・アナリティクス(58%)
  • クラウド・サービス/ソリューション(53%)

で投資を増やすと回答したのに対し、日本の企業のCIOは、以下を挙げた。

  • クラウド・サービス/ソリューション(60%)
  • 基幹システムの改良/刷新(59%)
  • サイバーセキュリティ/情報セキュリティ(57%)

また、テクノロジー投資の動向について、日本企業のCIOと世界のCIOには以下のような明らかな違いが見られた。

  • 日本企業のCIOは「基幹システムの改良/刷新」への投資を重視し、日本企業のCIOの59%が「基幹システムの改良/刷新」への投資を増やすとした。一方、世界では「基幹システムの改良/刷新」への投資は意欲は36%だった。
  • 世界の企業のCIOの58%が「ビジネス・インテリジェンス/データ・アナリティクス」への投資を増やすとし、投資増加領域として第2位となっている。一方、日本企業のCIOは48%しか同領域への投資を増やないとし、投資増加領域として第5位にとどまっている。

ガートナーが示す2021年の日本

日本企業のCIOはコロナ禍の2020年にWeb会議やリモートワーク、ペーパーレス化などを実現した実績から社内の経営層内での立ち位置が向上した。ガートナーは、2021年CIOが組織内でのリーダーシップを発揮し、デジタル化の取り組みを積極的に推進して、不確実な時代における企業の競争力をさらに高めるとし、「デジタル・ビジネスの進展、グローバル環境における自社の競争力向上への3アクション」を提言した。

「デジタル・ビジネスの進展、グローバル環境における自社の競争力向上3アクション」

  • 自社の製品/サービスへのフィードバックを継続的に求め、より積極的かつ直接的に社外の顧客に関与する。
  • オペレーションの効率化、新たな収入源の創出、カスタマー・エクスペリエンスの向上を目的としたテクノロジー・ソリューションを提案し、弾力性(レジリエンス)と比較的反脆弱性(アンチフラジリティ)がある状態の達成を支援する。
  • ITのリーダーシップを多様性と組織文化の変革に集中させてデジタル・ビジネス・トランスフォーメーションを加速させ、ポジティブ・フィードバックを提供し、さらに前向きな職場環境をもたらす。

調査概要

  • 【調査対象】Gartnerエグゼクティブ プログラムのメンバー及びメンバー以外のITリーダー(CIO)
  • 【調査方法】オンライン調査
  • 【調査期間】2020年7月14日~8月14日
  • 【有効回答数】世界74カ国のあらゆる主要業種に属する1,877人(うち、147人が日本企業)
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