企業がユーザーとのWEBコミュニケーションに向き合い始めた理由
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かつて企業サイトはコーポレート・アイデンティティを発信する場、いわば会社案内・パンフレットに代わるツールとして位置づけられ、発展してきました。そこで行われていたコミュニケーションは既存メディアに倣って、企業がいわば「一方的に」情報を発信するスタイルが主流でした。
一方で、掲示板からブログ~SNSと個人が情報を配信するツールが続々登場し、ユーザー同士のコミュニケーションが活発化するインターネットの世界において、コーポレート・コミュニケーションも従来のスタイルから大きく軌道修正に迫られることになりました。
商品やサービスに漂う「付加情報」
商品やサービスの購入に際しては、その「実体」だけでなく、口コミやブランドイメージ、スタッフの対応といった周辺を取り巻くさまざまなファクターが影響します。
これらの実体の周辺に漂う付加情報はWebが一般化する前から存在し、だからこそ企業は広告やCMで情緒的に訴え(「シズル感」といった言葉は象徴的ですね)、スタッフ教育やアフターサービスを充実させることで商品やサービスに付加価値を与えることに注力してきました。
もちろん、口コミや有識者による評価、販売店スタッフのウンチクなど、第3者による情報もありましたが、店頭へ出向く必要があったり、タイムリーに得ることはできませんでした。
ところがWebではこれらの付加情報について、ユーザーが欲しいタイミングで、自由に得ることができるようになってきています。特に口コミやブログ記事などユーザーによる情報が溢れ、ユーザーの購買パターンが大きく変化しているのは周知の通りです。
企業のサイト運営においてこれまでの長い間、Web施策は
<広告+連動するランディングページや特設サイトへ誘導>
あるいは
<SEO対策で検索順位を上げる>
といった手法が中心でしたが、目的が「企業が見せたい情報を提供する」ことにおいてこれまでの企業コミュニケーションと変わるものではありませんでした。
オウンドメディアに代表されるコミュニケーションの変化
昨今、オウンドメディアやコンテンツマーケティングといった言葉がWeb業界を賑わせていますが、その根底には「ユーザーのベネフィットを優先する」という考え方があります。
口コミやSNSを通じてユーザーのニーズがより具体的に顕在化するにつれ、その課題を解決したりベネフィットを実現することでユーザーの信頼を得ることができることに多くの企業が気づき始めたのです。
上図で説明した「付加情報」についても、その重要度や課題はユーザーによって千差万別ですが、マス広告とは異なりコンテンツを蓄積し、いつでも閲覧可能なWebにおいて、多種多様なユーザーのニーズに応えるコンテンツを用意しておくことが可能です。
それはオウンドメディアやコンテンツマーケティングといった手法に限らず、例えばFAQコンテンツを充実させることでユーザーの課題解決につながることもあるでしょうし、パッケージやカタログには記載しきれない仕様や成分などの情報が実はユーザーにとって付加価値の高い情報だったりするのです。
ユーザーの課題に真摯に向き合う、誠実なコミュニケーション
これらユーザーのニーズについては、これまでは店頭スタッフや営業マンが個別に汲み取り、解決してきた課題であり、その一部を肩代わりすると考えるとわかりやすいかもしれません。
コンテンツ化することで企業内の情報共有にもつながりますし、もちろん培われたノウハウやナレッジをユーザーへ還元することはベネフィットの実現することになります。
かつて店頭スタッフや営業マンが積み重ねてきた努力と工夫と同様に、ユーザーの課題に真摯に向き合い、誠実にコミュニケーションしていくことが企業のWebサイト運営には求められているのです。
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