マスマーケティングからデジタルマーケティングへとマーケティングの主流が変化していますが、そのデジタルマーケティングの潮流やトレンドが目まぐるしく変わっている昨今、「なかなか変化についていけていない」と感じている人は多いのではないでしょうか。そのような担当者のために、最近のデジタルマーケティングのなかでも特に伸びている、インフルエンサーマーケティングについて解説します。
C Channel 代表取締役社長 森川 亮 氏
EC事業にインフルエンサーマーケティングは不可欠
「インフルエンサーマーケティング」というとどのようなものを想像しますか。人気のインフルエンサーが面白おかしく商品を紹介し、動画の再生数は多いけど、モノはそこまで売れないのでコスパが悪い――というイメージを持っている人もいると思います。
確かに従前は、一口に「インフルエンサー」といっても芸人やタレントに近い方々も多かったため、検索広告やターゲティング広告のように高い精度でPDCAをまわすようなことはでませんでした。むしろ、そのようなことをやろうとするとインフルエンサーに嫌われてモノを紹介してもらえないということまで起こっていました。
しかし、時代は変わっています。今では、EC事業を運用するうえでインフルエンサーマーケティングは不可欠といってもおかしくないくらいインフルエンサーの活用が重要になっています。
本場中国ではインフルエンサー経由の売り上げがECシェアの20%
インフルエンサーマーケティングの潮流は中国から起こっています。ご存じの通り、中国はSNS大国であり、インフルエンサー大国でもあります。
いわゆる人気インフルエンサーの「KOL」(Key Opinion Leader)から、SNSの口コミで影響力を持つ「KOC」(Key Opinion Consumer)、そして現在は商品を売ることに特化したインフルエンサー(ライブコマーサー)まで進化しているのです。
商品を売るインフルエンサーというと、アフィリエイターをイメージする人は思います。両者の立ち位置は似ていますが、インフルエンサーはどちらかというテレビショッピングに近いイメージです。ライブコマースをしてモノを売っています。
販売額が大きい中国のインフルエンサーは、1日で最大、数百億円売る人もいるほど市場が大きくなっています。今では、この売り上げが中国EC市場全体の約20%を占めています。この流れは中国から東南アジア、そして韓国、台湾まで来ています。ここ数年で日本にも流れが来ると言われています。
国内でインフルエンサーマーケティングを成功させるコツ
人気者よりも、専門性が高い人を起用
消費者が商品を買うプロセスは①新しく商品を知る ②興味を持つ ③店頭に行って購入する――という流れです。これをインフルエンサーマーケティングに当てはめると、「知る」段階でのアプローチでは、人気インフルエンサーを起用することも良いですが、より専門性の高いインフルエンサーがモノを紹介することが大事です。
消費者の目線に立つと、興味を持った商品について知識がない場合、調べたりして知ることはできますが、商品のことを本当に理解し「ほしい」という気持ちに行き着くことは難しいと言えます。
特に日本の消費者は「失敗したくない」と考える人が多いので、商品の良さがしっかり理解できないと行動に移らない場合が多いのです。
口コミの活用で購入をさらに後押し
消費者は、商品を知ってからいきなり店頭に行くのではなく、SNSの口コミを調べます。当然のことですが、良い口コミがあればあるほど安心して物を買う後押しになります。商品がいくらメディアで話題になっていても、SNS上に口コミが少ない、もしくは最近口コミが減ったという状況では、消費者は不安で買うことをためらうことになります。
SNSの口コミを生かすマーケティングは、マイクロインフルエンサーの活用が効果的です。マイクロインフルエンサーの選び方においても、専門性が大事です。たとえば、大ざっぱに「化粧品全般に詳しい」というより、「韓国コスメに詳しい」「スキンケアに詳しい」という粒度で日頃から投稿している方。このような方に、エンゲージメントが高い方数百人に対して投稿してもらうことをお薦めします。
ECの売上アップをめざすには、
- 商品を訴求する投稿を依頼したインフルエンサーのうち、バズったインフルエンサーのアカウントから広告配信する
- 投稿素材(UGC素材)を活用しLPやECの商品ページに配置する
というアクションをすることで、トラフィックやコンバージョンを効果的に上げることが可能になります。
インフルエンサーがSNSに投稿した素材をLPやECの商品ページに配置したところ、顧客の獲得に良い効果をもたらした例
EC売上を成長させるインフルエンサーを自社に集め、育てる
今後、モノを売ることに特化したインフルエンサーが増えてくると、彼らに商品を預けて売ってもらう――つまりは店員さんのような役割も担ってもらえるようになります。
EC事業者は、どのようにしてこういう人達を集め、育てるかも、事業を成功に導くための1つの鍵になります。
中国ではいまや「デジタル広告はインフルエンサーマーケティングかECサイト内広告だけ」と言われており、国内でも今後ますます、インフルエンサーマーケティングはEC売上アップにあたって不可欠になります。
ECサイト内で、インフルエンサーによるSNS投稿を表示する例
本連載では、これから何回かに分けてインフルエンサー活用事例、中国の最新のECとインフルエンサーマーケティング事情などを紹介していきます。
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次回は、国内事業者がEC売上をアップさせるためのインフルエンサーマーケティングについて、事例を交えてさらに詳しく解説します。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:C Channel森川代表が解説、インフルエンサーマーケティングのイロハ+成功のコツ | EC成長に効果的なインフルエンサーマーケティングの全ぼう
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