橋本大也の“帰ってきた”アクセス向上委員会 #004 ~Twitter:アウェアネスコミュニケーション
橋本大也の“帰ってきた”アクセス向上委員会 #004
毎回、視点を変えてアクセス向上を考えるコラム、今回のキーワードは「Twitter」。
アウェアネスコミュニケーションの時代、CGMを誘発する”ゆるい”つながりを考える。
橋本大也
いま何してる?のTwitter
いま私の周りのITエンジニアたちの間でTwitter(トゥイッター)が爆発的に流行っている(図1)。Twitter上でユーザーたちは、自分がいま何をしているか、どんなことを考えているかを気軽にメモする。そのメモを友人知人でリアルタイムに共有する。プラグインを使ってブラウザのサイドバーに、チャットのように表示させると使いやすい(図2)。チャットのようだが、必ずしも対話する必要はないし、話すにしても非同期が基本だ。
仕事の合間に情報をアップデートしてお互いの労をねぎらったり、「誰かこれから飲みにいかない?」に反応して突発オフ会に参加したりする。何を買ったとか、おもしろいサイトを見つけたとか、お気に入りを紹介している人も多い。発言しなくても友人知人の最新の状況がめまぐるしく変わる様子を見ているのは楽しい。疑問やトラブルを抱えた人がいると、つい話しかけたくなる。ブログ上に自分の状況を表示させることも可能だ。
ユーザー同士のコミュニケーショログがCGM時代の人気コンテンツであるならば、Twitterは、そうしたコミュニケーションを誘発する入り口として機能し始めている。書き込まれるのは友人たちの“近況”というより“今況”報告であり、ネットのほかのどこにもない情報がここに集まる。これはmixi、YouTube、SecondLifeに次ぐ大きなトレンドになるかもしれない。
“空気”を共有するアプリケーション
Twitterの魅力はゆるいつながりである。プルとプッシュの中間だ。情報発信というほど発信していないが完全に受け身でもない。同じ部屋、隣の机に友人たちがいるかのように、“空気”を共有しているのだ。こうした空気情報は、「アウェアネス情報」と呼ばれる。
mixiの人気の秘密に「あしあと」機能がある。自分の誰が訪問したかの記録が残る。人間はただのあしあとから多様な意味を読み取れる。彼(彼女)は生きている、まだ起きている、私に興味を持ったらしい、mixiをやるくらいは暇のようだ、私との対話に心を閉ざしてはいない、など。何よりその友人の存在を、あしあとは想起させる。
昔、ネット電話ソフトのSkypeが出た頃、私の周りでは用もないのに数人でSkypeを常時接続しておくのが流行った。こうすると仲間のつぶやき、ためいき、環境音までが聞こえてくる。誰かの携帯電話の音が鳴ったのをSkype越しに聞いて「お、電話か、誰から?」なんてお話中の仲間に話しかけるのが楽しかった。
あしあと機能がある「もごもご」
早くもTwitterライクなサービスが幾つか登場している。私が使っているのは国産の「もごもご」。Twitterにはない、あしあと機能があり、デザインのカスタマイズも簡単だ。何より私の友人知人がなぜかここに多くて、ノイズが少ない。
Timelogには、よかったことやうれしかったこと、新しい気づきや発見を登録するGood&Newというコーナーがあって、アウェアネス情報が整理できる。
ライブドアの新サービス「Nowa」もTwitter機能をSNSやブログ機能と一緒に提供を始める。当面は主要なサービスが“Twitter的”な機能を追加することになるのだろう。
- もごもご http://mogo2.jp/top
- Timelog http://timelog.jp/
- Nowa http://nowa.jp/
今、Twitter的な機能は、Web 2.0サービスの何と組み合わせたら効果的なのかの実験が行われている。アウェネス情報の共有は場の空気を読むことで、無用なトラブルを回避し、共同作業を促進する。ビジネスコミュニケーションにも応用が広がりそうである。
Twitterへの最適化、名付けて「TWO」がアクセス向上の秘訣になる時代も近いか。久々に大きな可能性を感じるトレンドだ。
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