先週読んだ中でお気に入りの記事を引用しよう。
現在メディアで働いていて1999年から2000年のドットコムバブルを経験した者はだれもが、これからまったく同じことが起こり、まったく同じ結果――破綻――がやってくることを予感している。デジャビュが繰り返されるのだ。来るべき破綻の後、ドットコムバブルはまさに前兆だったと誰もが考えるに違いない。
僕はDvorak氏が言わんとするところに反対の立場を取る陣営に与する人間だけど(Marshallのようにね)、今回は同調してみようと思う。
バブルが弾けるまであと1~2年だとしたとき、その仮説的世界はどのような状態になるのだろうか。
段階1:投資家がインターネット銘柄から逃げ出す
たいていはここから始まる。Yahoo!やGoogle、Microsoft、IACそれにAmazonから数週間の間に揃って悪いニュースが出てきて、株式トレーダーはもはやこれまでと株を損切りし始める。株式市場のメカニズムを忘れないこと―― 誰も、自分が適正だと考える株価で株を購入しようとするわけではないし、また他人が適正だと考えるだろうと自分が思う株価で株を購入しようとするわけでもない。株式市場における価格は、投資家が、ほかの投資家の考えていることを予想し合う中で決まっていく(やあ、こんな書き方でわかるだろうか?)。つまり、他人の見方についての見方がすべて、だからランダムウォーク理論なわけだ。
段階2:個人投資家とベンチャーキャピタルが臆病になる
株式公開で大きな利益を取れる可能性が小さくなると、個人資金は撤退して手元に置かれるようになる。そうすると、ウォール街での損失とあいまって……。
段階3:投資、マーケティング、研究開発および全体的な成長に急ブレーキがかかる
外部資金が枯渇し始めると、あらゆる業界の企業は出費を控え、レイオフと開発プロジェクトの凍結に手を付ける。前回のドットコムバブル崩壊のときは、不合理な出費切り詰めが後を絶たなかった。投資対効果がプラスになるものまで切り詰められた。ただ単に、経営陣が絶望的な「インターネット分野」とかかわるのを望まないからという理由で。
段階4:みんなビジネスから退場する
僕の嫌いな段階だ。大小の企業が大きな損失を出したことを発表し、連邦破産法に基づく再建手続きを相次いで申請する。なぜか。研究開発したものも提供する製品やサービスも買う企業がいなくなって、突然利益が出なくなるからだ。皮肉にも、株式市場の投資家と個人投資家は、こうした会社の倒産と閉鎖を、自分たちの資金の撤退(段階1と2)が賢い判断だった証拠だとする。実際には彼らこそがその元凶だったのであって、自らが吹聴するような占い師ではないのに。
段階5:起業家は一からやり直す
根性があり頭もいい、失業したプログラマや事業開発のリーダーたちは、数か月の間ふくれっ面をしながら最終的には仕事を見つける。たいていは資金のほとんどないベンチャー企業だ。やがて彼らが次のGoogle/YouTube/Facebookを生み出すと、投資家が群をなして戻ってきて、好況のサイクルが再び始まる。
一方、このプロセスの中で起こらないこともある。
- インターネットのユーザーは製品、サービスおよび情報を探すウェブ検索を止めない。
- そうしたユーザーは検索広告のクリックを止めない。
- ユーザーに対するインターネット上のブランディングの効果はなくならない。
- 購買は継続する(マクロ経済が同時に悪化しない限りは。またその場合でも、多くの人は購買を続ける)。
32代アメリカ合衆国大統領のフランクリン・ルーズベルトが「我々が恐れるべきは、恐れそのものだけではないか?」と言ったことを思い出そう。まったくその通りで、株式市場の暴落に加えドットコムバブルの崩壊にも当てはまる話だ。ただ、投資家の悲観論に歯止めをかけることはできないとしても、私たちとしては少なくともそこから利益を得ることはできる。
では、これから起こることがわかったところで、どうやったらそれを逆に活かせるのかを見ていこう。
まさかのときの投資資金を作っておく
大変な時期を乗り越えるための現金をいくらか蓄えておく必要はある。でも、他人が節約しなければいけないときにお金を使えると、とてもカッコいい。資産は多角的に運用する
コンサルティングは好況時にはおいしい仕事だが、不況に入ると不合理な支出抑制が相次ぐ。そこで、自分で投資できるビジネスのアイデアをいくつかあらかじめ温めておくようにする。不況に強い業界を選ぶ
オフライン経済でいえば、たとえば酒造業界や葬儀屋は景気の波に強いビジネスだといえる。オンラインの世界にもそうした分野はたくさんある。電子商取引(投資家がインターネット銘柄はだめだと考えたからといって、人々がオンラインで買わなくなるわけではない)や、アダルトコンテンツ、ニュース、高級品などは、ウェブが経済的にどう認識されるかとほとんど関係なく、消費が続く。ほかが不振のときこそお金を使う
ウェブ広告市場が(前回の破綻のときのように)急に干上がった場合は、さっそうと登場してうまみの大きい広告をずっと低い市場価格で入手することができ、大きな投資対費用効果が得られる。上向きのニュースを流す
メディアはしばらくは不況のさまを好んで繰り返し報道するけど、よいニュースでそれを和らげもする。だから、沈滞期にビジネスで目立ったことができれば、メディアに取り上げられる大きなチャンスになる。競争力のある企業を買収する
記憶が正しければ、2002年当時、インターネット関連企業を買収するのは赤子の手をひねるも同然だった。その再来に備えておこう。本当に価値のある企業やサイトで、膨らみすぎているかもしれないが、落ちて再び上がってくる可能性を秘めた企業に今から目を光らせておくんだ。
不況の市場で成功するヒントはほかにもまだまだあるだろうから、ぜひ紹介してほしい。Dvorak氏の言うことが正しい場合も、少なくとも僕らは、シリコンバレーのパーティーの終了時に何をすべきかを知っておくんだ。
p.s. 休みから帰ってきて、来週のSan JoseでのSESに向けて準備している。処理しなきゃなんないメールが山ほど……。ウップ。Brian、すばらしいリンクのまとめをありがとう。
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