Web制作者の自己満足デザインなんて企業サイトには無意味なのさ!~Web担/日経BP/MarkeZine連動コラム
このコラムは、Web担当者Forumと「日経ネットマーケティング」「Markezine」各誌の編集長が、毎回共通のテーマでネットマーケティングを語るコーナーです。
第5回のテーマは「優れたWebデザインとは?」です。
他誌編集長のコラムも同時に公開されていますので、併せてご覧ください。
- 求められる、時代に応じた“つくり”「出会い」や「発見」の演出が重要になってきた(日経ネットマーケティング)
- デザインに取りかかる前に読み返したい言葉(Markezine)
- Web制作者の自己満足デザインなんて企業サイトには無意味なのさ!(Web担当者Forum)(この記事)
職業柄、「制作会社ってどこがいいですか?」とか「いいレンタルサーバーを教えてください」なんて聞かれることがあります。これって、意外と答えにくい質問なんですよ。というのも、予算とか期間とか用途とかにもよりますし、そもそも達成したい目的が何なのかによって、「いい」の判断基準が変わってしまうんですよ。
Webサイト制作会社を例にとると、ECに強いところ、サービスに強いところ、動画に強いところ、多国語展開に強いところ、モバイルに強いところなどいろいろあります。頼みたい領域も、根本的な戦略のコンサルなのか、大規模なCMS導入なのか、コンテンツ面まで任せたいのかによって適切なところが変わってきます。
お題の「優れたWebデザイン」も、これと同じなんですよね。だれにとって、どういう観点で「優れている」のかによって、正解は変わってきます。
たとえば、こんな条件が付いた場合、それぞれの「優れたデザイン」は、まったく違うものになってきますよね。
- 広告賞をとれるようなデザイン
- 映画ファンを惹き付けるティーザーサイトのデザイン
- 小学生が楽しめるデザイン
- ビジネスマンが効率よく情報収集できるデザイン
- 主婦が家事をしながらレシピを手早く探せるデザイン
- 学者が求める情報に的確にたどり着けるデザイン
でも「優れたWebデザインなんて状況による」なんて言っちゃうと元も子もないので、共通の答を出してみると、優れたWebデザインとは、責任者の求めるビジネス目的を、想定したユーザーが適切に達成できるデザインとなります。逆に言うと、ほとんどの企業サイトでは、デザインとはビジネス目的を達成するための手段なのです。
編集部に若いWebデザインのスタッフが入ったときに、私はこんなことを彼女に言いました。
デザインを頼まれたときには、何のためにデザインするのかを確認してください。広告をクリックしてほしいのか、文章を読んでほしいのか、高機能な印象を与えたいのか、いろいろありますが、すべてのデザインはその目的に向かって考えてください。
うちのデザインでは、あなたが「好き」か「格好良いと思う」かは関係ないことを理解しておいてください。どれだけ綺麗なページでも、要求されている目的を達成できなかったら、それは失敗ですから。
もちろん、ビジネス目的のためのデザインをできるようになったら、そのうえで自分のテイストを追加していくのは大歓迎です。
良いデザイナーさんは、色1つ、文字サイズ1つをとっても、こちらが「これはどういった意図でこうしているのですか?」と聞くと、デザインの意図を説明してくれます。逆に言うと、そうした質問に「それが良いと思って」や「なんとなく」としか答えられないのならば、そのデザインは目的を達成するために行われていないということがわかります。
仕事をお願いしたときに、達成したいビジネス目的や対象となるユーザー像をしっかりと確認するデザイナーさんは、「優れたWebデザイン」への道にいる人ですね。
そうしたデザイナーさんに対して、しっかりと調査してコンセンサスをとった答を、ブレない形で提供できれば、あなたのサイトにとって「優れたWebデザイン」にたどり着けるのではないでしょうか。
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