SEO業者が心すべき12の注意事項
僕はガイ・カワサキ氏の業績に全面的に心酔してるってわけじゃあないけれど、「起業家が心すべき12の注意事項」(A Dozen Don'ts for Entrepreneurs)というOPEN Forumへの投稿はとても楽しく読んだ。そこで僕もカワサキ氏に倣って、僕らの業界の人々に向けて僕がいちばん警告したいことを、12項目にまとめてみようと思う。
君が企業内のSEO担当者だったら、各項目に出てくる「クライアント」は、「マーケティング・マネージャ」や「経営陣」に置き換えてもいい。
- 過大な期待を抱かせない
クライアントも他の人たちと同じだ。期待を上回る結果を示せば、君の評価は上がる。失望させれば怒る。不必要な窮地に陥らないよう、風呂敷は広げすぎないように。抜きん出た成果を上げる自信があっても、少し控えめに言っておいて、後で驚かせるほうがいい。競争入札のような場合は特に実行するのが難しいことだが、それでも、謙虚さの陰に隠れた努力というのは、プレゼンテーションににじみ出ることが多いもので、良いクライアントは見抜いてきちんと評価してくれる。
- 解析データを無視しない
アクセス解析による訪問者のトラフィック分析でも、サードパーティの評価指標でも、解析データというのはSEOの重要な部分だ。順調に進んでいるときは、ベストプラクティスに従っていないとしても、データと傾向を付き合わせて何が真の違いをもたらしたかを把握しておくほうがよいだろう。SEOプロジェクトに着手するのは、少なくとも基本的なデータポイントを把握してからのことにしよう(こうしておくと、変更を施したあとで効果が現れ始めた場合にも都合がいい)。
- クライアントの言うことを鵜呑みにしない
多数のクライアントと話をしていても、検索エンジンスパムを仕掛けたり、リンクを購入したり、あるいは、うっかりグーグルボットに対してクローキングしたり、隠しテキストを設定したりしたことがある人には出会わないものだけど、統計データを見るとそういった人はある一定数は存在している。クライアントが嘘をついていると決めつけてはいけないが、相手が気づいていない(あるいは問題だと認識していない)可能性のある行動に、常に注意しなければならない。これはホワイトハットかブラックハットかという問題だけじゃないんだ。昔のクライアントの話だが、本人は20ほどのアクティブなドメイン名を持っているつもりだったのに、実際には100近くもあったという例もある。正規化だけでも大きなプロジェクトになったし、費用もかなりかかってしまった。
- 好きになれない人とはプロジェクトを組まない
クライアントに「微妙な感覚」を抱いたなら、できれば退散しよう。とにかくウマが合わないという人もいるものだ。人間的な付き合いがうまく行かなければ、プロジェクトも成功しないことが多い。何かが起きてからよりも起きる前に立ち去る方がいいに決まっている。
- 絶対に正しいという確信がある場合以外、「絶対」という言葉は使わない
最近のSEOmozを読んだり、カンファレンスで僕のスピーチを聞いたりした人なら、僕のアドバイスに以前よりもたくさんの注意事項がついているのに気づいているよね。厳しい教訓から学んだことなんだが、SEO分野では「そっちよりもこっちの方が常に優れている」ということなんてまずない。例外だらけなんだから、言い方に気をつけなければいけないってことだ。
- SEOと営業を混同しない
クライアントがSEOによって売上を向上させたいと求めている場合、実際に売り上げを向上を達成するには、複数の要因が関係してくるためSEOだけで達成できるとは限らないことを、必ずはっきりと認識してもらおう。確かにSEOによって、売上につながるいちばん良いタイミングで、ターゲットを絞った上質なトラフィックを大量に呼び込むことはできる。だからといって、こういったトラフィックを収益につなげるのは、SEOの役割ではない。Webサイトのせいでせっかく訪問者を見込み客に変えることができていないのなら、やるべきなのは、SEOの前にCRO(コンバージョン率最適化)を実施するようクライアントに勧めることだ。
- 現在の栄光に満足しない
SEOの世界から、たとえほんの数週間でも目を離していると、大きな変化を見逃しかねない。6月を見てくれ! グーグルがnofollow属性とJavaScriptによるリンクの地位を逆転させ、マイクロソフトが新ブランドと新アルゴリズムを引っ提げて新しい検索エンジンを登場させ、検索結果ページにリッチテキスト・フォーマットが導入され、h1タグが僕らが思っているほどの価値がないかもしれないことが示され、alt属性がランキングと大いに関連していることを示すデータが明らかになった。常に先を進み、業界のニュースにリソースを割こう。クライアントのためにも自分自身のためにもその責任がある。
- 自分の仕事を過小評価しない
SEOは大変な仕事だ。1時間のコンサルティング業務のために、何日も調査し、テストし、資料を読み、ウェブサーフィンし、実験しなければならない。仕事を安売りしたり、自分のすることが大きな価値を生み出さないなんて言い分を受け入れたりしないようにしよう。現在正当な評価を受けていないのならば、SEOが実際どれほど正確に追跡検証できるかを考え、データを示そう。そうすればたいていの場合、君の有利な方向に働くものだ。
- 読んだことをそのまま信じない
そう、このSEOmozの記事でもだよ! SEOを扱う多くのすばらしいサイトはどこもそうだが、僕らだって上質で正確な情報を提供しようとベストを尽くしているのは間違いない。だが、誰だっていつも100%正しいわけではないし、もっと重要なのは、すべてのアドバイスがあらゆる事業のあらゆる状況に当てはまるとは限らないないってことなんだ。
- 開発者たちの貢献を軽んじない
僕は最近、「SEOに対する最大の障害は何か」との質問を受けたのだが、マイクロソフトのCEO、スティーブ・バルマー氏の「開発者! 開発者! 開発者!」という悪名高い叫びが思い浮かぶのに、10秒もかからなかった。SEOプロジェクトにかけられる時間が限られているなら、賢明な使い方をしよう。開発者たちがSEOに関する重大なエラーを犯したとしても、性急に批判してはいけない。敵を作るうえに、自分の偽善的行為に後ろめたい思いをすることが多い。謙虚に振る舞い、大局を優先し、トラフィックの増大を約束するのはリソースがあることを確認してからにしよう。
- 自分の影響力や能力を誇張しない
グーグルやヤフー、Facebookなどで要職にあるような人々と話ができるからといって、そんな大組織を変えられるほどの影響力が行使できるというわけではない。検索エンジニアに送ったメールに返事が来たぐらいのことで、検索エンジンにペナルティを解除させるとか、特別な計らいをさせるとかいったことを約束するSEO業者たちが実際にどんな仕事をできたかについて、そういった連中に仕事を依頼したことのある企業からさまざまは実例を耳にする。この項目は、自分で管理できず実現もできないような約束はするな、と言い換えた方がいいかもしれない。
- 他のマーケティングチャンネルを否定するような自信過剰に陥ってはいけない
うん、確かにSEOは最高だ。とはいえ、Eメール、PPC広告、CRO、アフィリエイト、さらにはディスプレイ広告までも含めた他のマーケティング活動が、適切なシナリオにとってどれだけ役立つかを忘れてはいけない。SEOというハンマーを見つけたら、あらゆる問題を釘に見立てるのは簡単だ。これに関して、僕も確かに人のことは言えない。この誘惑に打ち勝って、総体的に物事を考え、(戦術的レベルではなく)戦略的レベルで最善の答えを提供できるなら、君はクライアントにとってさらに有能で価値ある人間になれるはずだ。
ソーシャルもやってます!