ネットマーケ手法を9つに分類して周辺要素をまとめてみた(前編)
友人のアーロン・カーロウ氏が、オレゴン州ポートランドで開かれたイベント「オンラインマーケティングサミット」で興味深い質問を投げかけた。
もしクライアントが君のところに来て、1億円を1つのインターネットマーケティングチャンネルだけに投資したいと言ったら、君は何を選ぶ?
(これ以上の詳細情報が与えられないとすれば)明らかにこの質問はちょっとばかげているけれど、これは難しい局面に対する「臨機応変」な対応を答えさせることが狙いなんだ。答えはもちろん「場合による」だ。そして、そこに厄介な問題がある。具体的にどんな条件に左右されるのだろうか?
今回の投稿で答を出したいのは、そこだ。僕の目標は個別のキャンペーンにおける問題を解決することではなく、戦略的なレベルから問題を考えることだ。たとえば「会社は現在どんな位置にいて、どこに向かおうとしているのか?」といった質問を投げかけ、その答をマーケティング戦術の選択に反映させる。では最初に、チャンネル自体を大局的な観点から定義してから、どのように適切な結論に至るのかを検討してみよう。
インターネットのマーケティングチャンネル
- ディスプレイ広告
ブランド認知とトラフィック増大の一方または双方を目的として、サードパーティのWebサイトに広告を掲載する手法。
例:バナー広告、ビデオ広告、双方向広告、オーバーレイ広告、インタースティシャル広告(ページ遷移時に表示する挿入広告ページ)など
- Eメールマーケティング
潜在的見込み客からメールアドレスを収集し、メール配信でマーケティングを行う手法。
例:ニュースレターの送信、ブランド構築メール、コンバージョンに狙いを絞ったメールなど
- クリック課金(PPC)広告
関連性のあるキーワードに入札し、(大手またはニッチ分野の)検索エンジンでそのキーワードが検索されたら、検索結果に広告を表示して露出およびトラフィックを得る手法。
例:グーグルのアドワーズ広告、オーバーチュアのスポンサードサーチ(Yahoo! Search Marketing)、Business.comの広告など
- ネットPR
オンラインを中心とするPRメディアを利用してブランド力とトラフィックを高める手法
PRNewswire、PRWeb、インターネットメディアに特化したPR会社など
- 検索エンジン最適化(SEO)
大手検索エンジン(グーグル、ヤフー、Bing)の「オーガニックな」検索結果で高い順位を取ろうとする手法。
例:キーワード調査、ページ内最適化、リンク構築など
- アフィリエイトマーケティング
他のサイトやブログで自分の商品を宣伝してもらうのと引き替えに、そのサイト経由で得た売上の一部を報酬として支払う手法。
例:Commission Junction、社内アフィリエイトプログラムなど
- ソーシャルメディアマーケティング(SMM)
ソーシャルメディアプラットフォーム(中小、大手)を利用して露出とトラフィックを増やす手法。
例:Facebookのグループページ、Twitterでのマーケティング、Diggへのコンテンツ投稿など
- バイラルコンテンツキャンペーン
独創的なコンテンツを作り、その力でブランド構築やマーケティングのためのメッセージを広めてトラフィックを増やす手法。
例:リンクベイトの作成、バイラルビデオ、ゲリラマーケティングなど
- コンバージョン率最適化(CRO)
サイト訪問から購買(コンバージョン)に至る過程を改善し、見込み客、登録申込者、顧客を増やす手法。
例:スプリットテスト、マルチバリエイトテスト、クリック率改善、購入手続きの簡素化など
これらの中には重複する部分もあるけど(たとえば、バイラルキャンペーンは検索エンジン最適化を行うための手段として行うこともある)、それぞれ本質が異なるし、実施する目的も異なるから、区別することにした。
選択の際に考えるべき重要な変動要素
意思決定のためには他の要素も考慮しなければならないが、選択の幅を狭めるには次の3つが非常に役立つ。
企業のビジネス目標――会社が達成すべき第一の目標は何か?
- ブランド認知――ブランドに対する親近感や信頼感が今の市場になく、ビジター、エンゲージメント、購買客が獲得できていない。
- 啓蒙――扱う商品やサービスの「市場」を作る必要がある。潜在顧客はまだ、解決するために君を必要とするような問題に気付いていない。
- 生のトラフィック――ビジネスモデルが広告収益型で、トラフィックとページビューを増やす必要がある。
- 売上――ウェブ上には事業に対するはっきりとした市場需要があり、サイトにそれを引き入れて見込み客の獲得や売上につなげる必要がある。
予算――マーケティングに割ける予算はどれくらいか?
- 非常に多額:1億円超
- 多額:1,000万円~1億円
- 中程度:250万円~1,000万円
- 少額:50万円~250万円
- 僅少:50万円未満
使える人材――社内で自由に使える人材や、信頼できる外注先はあるか?
- 強力な開発リソース――マーケティング目標の達成に役立つようなサイトの変更を実施できる技術スタッフがいる。
- 強力なクリエイティブリソース――いつでも動けるライター、アーティスト、ブレーンがいる。
- 強力な検索リソース――検索順位争いを繰り広げられる検索マーケティングに通じた人材がいる。
- 強力なソーシャルメディアリソース――Twitter、Facebook、Digg、Sphereなどに取り組める強力なオンラインネットワーカーがいる。
この記事は2回に分けてお届けしている。後編では、9つの手法を費用対効果やコストごとにランク分けして、さらに、ビジネス目標と予算ごとにどの手法が適しているかを整理してお伝えする。→後編を読む
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