セミナーを実益につなげる事後フォローのポイント/セミナー開催マニュアル4
「セミナー開催マニュアル」では、自社セミナー開催方法を4つのフェーズに分けて解説していく。今回はセミナー開催の最終フェーズ「セミナー事後フォロー編」をお届けする。(セミナーの開催方法をゼロから知りたい読者は第1フェーズ「セミナー企画編」からご覧いただきたい)
セミナーは開催することが目的ではなく、最終的にはそこから実益に結び付けなければコストを回収できず、継続的に運営することもできない。特にB2B企業での見込み客リストに対するフォローが目的のセミナーでは、開催後にどういったアクションをするかが、セミナーそのものよりも重要になる場合もある。
自社セミナーをきっかけとした営業活動は、一般的に下記のような3ステップの流れに沿っている。
- (セミナー前)広告・展示会で見込み客となるデータを獲得
- (セミナー)自社セミナーを開催し見込み客育成・ニーズ確認
- (セミナー後)営業マンが個別に対応し顧客化する
ステップ①で得た見込み客がステップ②に進んだ段階で、営業マンは事前に参加者リストをチェックして担当分担を行う。セミナー終了後には個別相談会を設けるケースが一般的だろう。これはスムーズにステップ③に移行できるようにするためだ。
セミナー会場には、見込み客がわざわざ自分から足を運んできてくれているのだから、この機会を逃す手はない。ただし、その場で成約を結ばせるようなものではなく、あくまでも今後の持続的な活動の接点としてとらえるのがいいだろう。
セミナーの参加人数が多い場合は、当日のフォローは優先度の高い人だけに絞り込み、後日のフォローメールやテレマーケティングで営業活動を続けるのがいい。
お礼メールは遅くても翌日中に
事前の申込情報とセミナー当日に受付でチェックした出席データから、出席者と欠席者に分類してお礼のフォローメールを送付する。当日参加していない人に出席のお礼メールを送ることがないよう細心の注意を払うこと。遅くてもセミナー翌日までには済ませる。
また、上記で説明したように、メールのみではなく、セミナー当日に回収したアンケートを確認して、関心度の高い人から直接電話でフォローをしていく。セミナー参加者は数時間掛けたセミナーで自社のことを理解しているため、比較的コミュニケーションを取りやすいはずだ。記憶が鮮明なうちに「講演や資料の内容に疑問点はなかったか」「どこに関心を持ったか」などセミナーの内容を中心に会話を進めて関係を深めていこう。セミナーで紹介できなかった事例やケーススタディなど、セミナー参加者の課題に近い情報提供を行うこともポイントだ。
欠席者へのフォローで差別化を
出席者へのフォローはどこの会社でも行っている。ライバルと差を付けるには欠席者へのフォローを充実させることがポイントだ。事後フォローの対象は、大きく分けて次の3パターンある(図1も参照)。
- 出席者 ―― 当日会場に参加した人
- 欠席者 ―― 当日連絡なしに欠席した人
- キャンセル者 ―― 事前にキャンセルの連絡があった人
事前にお礼メールのテンプレートを出席者用と欠席者用の2種類用意しておき、欠席者用には急いで作成したセミナーレポートのリンク先情報や当日の開催風景、アンケート結果、セミナー資料など送付すれば、次回のセミナーの集客につなげる。
特に、当日何の連絡もなしに欠席した「欠席者」いわゆるドタキャンの状態で放置しておくことがないように注意する。経験がある人ならわかるかもしれないが、本当は関心があったセミナーだったとしても、ドタキャンしたこによって、もう一度同じセミナーに申し込みにくい心理状態に陥ってしまうものだ。大切な見込み客をこうした状態にしないためにも、セミナー事務局から「ぜひ次回はお越しくださいね」というアプローチをしておくことが大切だ。そうすれば、関係性を良好に保つことができる。
セミナーのフォローはセミナーで
100名以上のセミナーを開催した場合の事後フォローであれば、さらに具体的な内容をテーマにした20名以下のミニセミナーを開催してそちらに誘導することも効果的だ。これは、関心はあるがまだ具体的な商談をするには時期尚早という見込み客には最適なアプローチとなる(図2)。電話でのフォローでアポイントが取れなかったときのリカバリー策として企画しておくと、100名規模で開催したセミナーの事後フォロー(持続的な接点)も漏れなく効率的に行うことができる。
厳しい経済環境が続いており、広告での新規見込み客獲得も高コストになってきているのが実情だ。そこで、すでに獲得した見込み客に対して継続的にアプローチを行い、商談を創出することに注目している企業が増えてきている。コストを掛けず自社の会議室を利用して10~30名の少人数セミナーを毎週開催している企業もある。さらに、10名以下で実際の商品を体験できるセミナーや業種別の導入相談会を開催しているケースも見受けられる。
また、協力企業と一緒にセミナーを共催することで、単独で開催するよりも集客のハードルが下がり、他社のツールとコラボレーションすることで幅広い利用シーンを提案することも考えられるだろう。
今後自社セミナーの開催を考えているのであれば、一度きりの開催ではなく、年間計画を立てて継続的な開催を目指してもらいたい。検討段階の見込み客がいつでもセミナーに参加できる状況をつくりあげることで、商談を創出しやすい場・顧客接点が増えていく。その際のポイントは、相手から手を挙げてもらう仕掛けを用意することだ。小予算で優良顧客を発掘する手段として、ぜひこのセミナーマーケティングを実践していってもらいたい。
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