未来のあなたとWebを変える大人のための学校「WebSig1日学校」レポート
Web担当者Forumをご覧の皆さんはじめまして、WebSig24/7(ウェブシグ・トゥウェンティーフォー・セブン、通称ウェブシグ)代表の和田です。
2010年11月27日、WebSig24/7では活動の1つとして、技術評論社さんと共催で、デジタルハリウッド大学八王子制作スタジオにて「WebSig1日学校~未来のあなたとWebを変える1日~」というイベントを開催しました。ここでは、イベントの報告レポートをお届けします。公式サイトには、当日資料も公開されているのでぜひあわせてご覧ください。
WebSig24/7をご存じない方に簡単にご紹介しておくと、WebSig24/7は、Webサイトに関連するマーケットの健全な発展を促し、人々の生活を豊かにすることを目的とした任意団体です。2004年から、Web制作者やWeb担当者までさまざまな職種の方に向けて、その時の旬なトピックスから企業セミナーではできないであろう一風変わったテーマまで、「参加型」の勉強会やオンラインコミュニティの運営をしてきました。運営はすべてモデレーターという有志のボランタリーメンバーで運営されています。
小学校を貸しきった大人のための1日学校
WebSig24/7では、ご紹介したように一風変わったテーマを扱うことが多かったのですが、「“学校”というシチュエーションを使ってなにかできないか」ということを発端に、明日使えるTIPSではなく、長く使えるモノの見方や考え方につながるということを意識してWebSig1日学校という企画を進めていきました。
3つの変化を問いかける
WebSig1日学校の開催にあたって、インターネットやWebに関わっている皆さんに、3つの変化を本企画の背景として問いかけました。
- 社会・価値観の変化
- インターネット/Webの変化
- 技術・グローバル経済の変化
大量生産、大量消費、大量広告が崩壊しつつある今、Web業界の人間として今後どう進むべきなのか。その問題について、豊かさより幸せを求め始めた社会に見る「社会・価値観の変化」、“作ればいい”から次の段階へと進化する企業Webサイトに見る「インターネット/Webの変化」、Webデザイナーの職業的特殊性が薄れゆく状況から考える「技術・グローバル経済の変化」の3つをポイントに改めて考えてみよう、との想いが含まれています。
WebSig1日学校の中心キーワードは、サブタイトルでもある「未来のあなたとWebを変える1日」です。イベントでは、学校というシチュエーションを活かして3つの変化を考えようと、学校の授業にそった形で授業(セミナー)を進行しました。
デザイナー・エンジニア・マネジメントの3クラスで授業
学校というからには授業ということで、小学校の授業の中から個別授業として「国語」「算数」を。共通授業として「算数・社会の予習」と「社会」2つの授業、課外授業では「ワールドカフェ」という授業構成と「理科展示」という内容でデザイナー、エンジニア、マネジメントの3クラス構成にて実施しました。
各授業の定義をするのは(国語とは? など)なかなか難しい作業でしたが、ただの名前だけということにはしたくなかったので、授業を担当していただく先生とも相談しながら特色を出していきました。
各授業内容をレポートすると膨大な量になってしまうので、詳細に関しては、公式サイトの終了報告レポート(レポート末尾に掲載)をご覧いただければと思います。ここでは、各授業のポイントとユニークな先生陣をご紹介します。
国語
国語では、言語化、ロジカルシンキング、日本語、コミュニケーションといったキーワードで授業を行っていただきました。デザイナークラスでは、カヤックの林 真由美先生、エンジニアクラスでは、リクルート メディアテクノロジーラボの川崎 有亮先生、マネジメントクラスでは、楽天(当時)の清水 誠先生に担当していただきました。
算数・社会の予習
算数・社会の予習では、今どういったことが私たちに起こっていて、どう考えていけばいいかをリアルな数字を交えて授業を行っていただきました。先生は、元IMJ、現パンアジア・パートナーズ荒井 尚英先生に担当していただきました。
算数
算数では、時代が変わっていけば、自分たちも変化しなければならないということ、その基礎となるものの例として、デザイナー、エンジニア、マネジメントではこういった考え方がある、という例示の展開をお願いしました。
デザイナークラスは、東京造形大学非常勤講師の佐藤 好彦先生に、エンジニアクラスはドワンゴの庄司 嘉織先生に、マネジメントクラスは予習に引き続き荒井先生に担当していただきました。
社会
社会では、未来を考える中で、時代、既存メディアとの対比・情報化。ライフスタイル、仕事というキーワードを俯瞰的にとらえ、過去、現在、未来という時間軸で構成していただくという難題をお願いしました。先生は、デジタルメディア研究所 橘川 幸夫先生にお願いし、見事に1時間30分をスライド無しで話していただきました。
各授業とも、学校というシチュエーションを活かしつつ、Twitterを利用したり、校内の道具を利用したりと、特徴のある内容となり、生徒となった参加者からも非常に多くのフィードバックがあがりました。
理科展示
平行して実施していた理科展示では、カヤックのJavaScript、HTML5、CSSの共有サービス「jsdo.it」や、Flash制作プログラム「wonderfl」の実演、アートユニットであるテクノ手芸部の作品展示、メディアプロデュース集団のオーギュメントファイブ(AUG5)ではKinectをハックした「Ambient Visualizer」の実演を行いました。
課外授業:ワールドカフェ
参加型をキーワードにしているWebSigでは、日本であまり例がなかった時からワールドカフェという会議手法を取り入れてきました。ワールドカフェの詳しい説明については割愛しますが、今回は次の2つの問いについてワールドカフェを実施しました。
10年後のWeb開発,サービス運用の現場はどのようになっていると思いますか?
あなたがその未来で,会社,社会へ価値を提供するために,現在取るべき小さな一歩はなんでしょうか?
先生も参加したワールドカフェ全体を通じて挙がった意見は、「個」が活かされる社会、「個」の集合体としての「組織」という考え方で、皆が当事者としてコミットしていく重要性を感じているのが印象的でした。
未来につながる最初の1日
学校というシチュエーションはファシリティもなかなか乏しく、映像機器から音響はもちろんのこと、ストーブまで!持ち込みという大がかりな物でしたが、参加いただいた方のアンケートでは、
自分の未来について考えるいい時間になりました
Tipsなどではなく、“これから”と“これまで”に重きを置いてさまざまな方面からお話が聞けてとても楽しかったです
クライアントの提案書やクライアントや上司や同僚との関わり方がちょっと変わりそうな気がする。すごく刺激的なイベントでした。2回目、3回目も参加します
など、嬉しいコメントを多数いただきました。私個人や1回のイベントで未来を変えることはできませんが、参加していただいたみなさんがこれからの仕事に活かしていくことで、より良い未来を築くための小さなきっかけになっていくのではないかと思います。
WebSig1日学校はスペシャルイベントとして開催しましたが、このイベントに限らず大小さまざまなイベントを2~3か月に1度のペースで今後も開催していく予定です。1日学校に関しても、また開催してほしい! という声を多数頂いているので、がんばって今年も開催したいと思います。
セミナーなどWebSigの活動情報は、公式サイトからWebSigTwitter、メールマガジンなどでご覧ください。各イベントで制作者サイドの方からWeb担当者の方もご参加いただけるイベントを開催しています。
- WebSig1日学校公式サイト(終了報告レポート、資料公開あり)
http://1ds.websig247.jp/ - WebSig24/7公式サイト
http://websig247.jp/ - WebSig24/7 Twitter
http://twitter.com/#!/websig247
※記事中の所属、団体名などはイベント開催当時のものです。
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