アクセス数が急に変動したのですが、原因はどう調べればいいのでしょうか?
当クリニックの代表。
イケメンの研修医。
優しい天然ボケの研修医。
ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る)
今回のお悩み
アクセス数が急に変動したのですが、原因はどう調べればいいのでしょうか?
1日だけ急にアクセス数が増えた
ねぇ聞いて。今月のアクセス数のグラフだけど、23日だけ急にピョコンと立っていたのよ。アクセス数が急に伸びたというか……。翌日はすぐ元に戻ったのだけど。
原因は何だったの?
それがよくわからないから放っておいたのよね。特にコンバージョン数に影響があったわけではないし。お客さんにも報告しなかったわ。
原因は何か?
……綾瀬さん、ずいぶんとお粗末なレポートをしてしまったね。それではだめだよ。
でも、きっと誤差だと思うのですよね。コンバージョン数に変化はなかったので。
「誤差」という言葉は便利だけど、簡単に使ってはいけないよ。ちゃんと因果関係を把握したうえでレポートしなくてはいけない。何か重大な見落としがあるかもしれないからね。
そうはいっても、その「因果関係」というのがハッキリしないのでは? どうもよくわからないというか……。
それは僕も興味があります。申し込み数などの変化はわかるのですけど、なぜそうなったのか原因を考えるのが得意じゃないのです。教えてもらえませんか?
まず「事実」と「推測」を明確に分ける
よしわかった。では考え方を教えよう。まず二人に共通する問題点は、「事実」と「推測」を区別せずに考えているところだ。
この2つは明確に分けて考える必要がある。まずは「事実」を追うことに集中しよう。
さて、今回の「事実」は何かな?
「23日だけアクセス数が増えた」ということですね。
そうだね。ではもっと深くその事実を突き詰められないかな? どこからのアクセス数がいくつ増えたのだろう?
変化前後の期間を比較して細かく「事実」を捉える
数値が変化したということは、変化の前、変化の後の期間と比較するといいね。Google Analyticsの期間比較機能を使って、前後の変化を事実としてとらえよう。
ということは、たぶん「Yahoo!ニュース」で、サイトが採り上げられたのだね。さっそくYahoo! JAPANを調べてみよう。
あ、23日のYahoo!ニュースの「ドッグフード食べ過ぎ事件」で、情報を補完するサイトとして紹介されていました!
「Yahoo!ニュースで取り上げられた」のは「事実」だね。
では、そのYahoo!ニュースの効果はどうだったのかな?
直帰率が97%ですから、ほとんど直帰ですね。あ、でもコンバージョンが1つありました。意外です。何が原因でしょうか?
今は原因ではなく、「事実」を突き詰めるだけにしよう。
アクセス解析データでは事実はわかるけど、原因は推測することしかできない。だからまずは、確実な事実だけをピックアップするんだ。
原因を推測するコツ
でも先生は先ほど「因果関係を明確にしろ」と言ったじゃないですか?
そうだね。ではいよいよ因果関係を推測してみようじゃないか。まず今までの事実からわかることはあるかな?
「97%は直帰したけど、1人は申し込んだ」ということですね。
ではもう少し深く事実をとらえよう。その申し込んだ1人はどんな人だったのだろう?
またアドバンスセグメントで絞り込むのですね。
『ペット食品と防腐剤』というページに長時間滞在していますから、おそらく「ペット食品の添加物に興味があった人」ですね。
それを「事実」と「推測」にわけてみよう。
事実は「『ペット食品と防腐剤』のページを2分34秒見ていた」ということ。推測は「ペット食品の添加物に興味があった人」ということですかね。
いいね! 原因を推測するコツは、事実をたくさん揃えていくことだ。そうすると、だんだん見えてくるものが増える。
数値の大幅な変化があった場合は、適度な事実を調べて伝える
アクセス解析でわかるのは、あくまで事実のみ。でもさすがに、最初の綾瀬さんのように「アクセスがあったみたいです」だけでは、顧客は不安になるよね。だから「事実をどこまで細かくレポートできるか」がポイントだよ。
今回の場合でいうと
- Yahoo!ニュースからのアクセス数が1300あった。
- 直帰率は97%だった。
- 1コンバージョン(CV)が発生した。
- このユーザーは、『ペット食品と防腐剤』のページに2分34秒滞在した。
を事実としてレポートし、さらに、私の推論として
- 「ペット食品の防腐剤について気にしていた人が成約したと思われる」
とレポートすればよいのですね。
そのとおり。しっかり事実と推測が分けられているから合格だ。
もしコンバージョンが発生していなければ、参照元とアクセス数と直帰率だけで十分だろう。皆が興味を持たなそうなデータまでは調べなくていいよ。
あくまで皆に伝える前提でバランスをとるのですね。
そう。目安としては自分のなかで“わからない”という不安がなくなればOKだ。もちろん、ユーザーとレポートを共有したときに、新しい調査事項が出てくることもある。でも、それはそのときに改めて追加で調べればいい。
まず今は自分の不安をなくすために、事実だけを追うようにしてごらん。それだけで、だいぶ明確になるよ。原因はどうしても推測しかできないのだから、できるだけ細かく事実を集める。そして原因推測の確度を上げる。これが今日のポイントだ。
お悩みアクセス数が急に変動したのですが、原因はどう調べればいいのでしょうか?
アドバイス原因を知ろうとするのではなく、まず事実をとらえましょう。以下3ステップで進めます。
- 【1分】 マイレポートを表示させて、アクセス数の大きな変化があった特定の日を選んでください。
- 【2分】 前後の日付と比較し、特定ソース(参照元)のトラフィックの増減があった事実をつかみます。
- 【2分】 上記調査で増減があったソース別に、キーワード検索数など細かい数値の変化を見てみましょう。
- 何が事実として変化していますか?
- そこから推測される現象はありますか?
- さらに詳しく調べたい事実はありますか?
余力のある人は、毎月のコンバージョン数の変化などを、さらに深追いしてみましょう。
※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作
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