顧客に適した「おもてなし」を実現するWebサイト運営の秘策 | サイトコア
セミナーイベント「Web担当者Forumミーティング 2011 Autumn」(2011年11月8日開催)の講演をレポートする。他のセッションのレポートはこちらから。
B1会場の午後最初のセッションは、マーケティング機能を統合したCMSプラットフォーム「Sitecore Customer Engagement Platform」を提供するサイトコア株式会社 取締役副社長の高沢冬樹氏が、Webサイトで優れた実店舗のような「おもてなし」を行うことの重要性を説いた。講演では、おもてなしの柱となる3つの施策が紹介された。
Webサイトは優れた実店舗に比べ
顧客に対する「おもてなし」が不足している
Webサイトは優れた実店舗に比較して、まだまだ「おもてなし」が足りないのではないのか。サイトコア取締役副社長である高沢冬樹氏は、セッションの冒頭で、その具体的イメージとして次のような問題を提起した。
「仮にGoogle検索で、『マウンテンバイク 購入 東京都港区』と打ち込んだとしましょう。検索連動型広告に価格7割オフのお店が現れたのでクリックしてみる。すると確かに価格7割オフを訴求した自転車店のランディングページが表示されました。しかしそこには、マウンテンバイクの情報もなければ、東京都港区の情報も無視されている。こういったWebサイトは結構多いのではないでしょうか。そこに買ってもらおうという意思は感じますか
」
こうした状況では、ユーザーの「東京都港区でマウンテンバイクを購入できる店を探す」という行動に対して、適切なランディングページを提供できていないことになる。おそらく多くの人は似たような体験をし、ブラウザの「戻る」ボタンを押したことがあるに違いない。
「たとえば、アパレル専門店の気の利いた店員は、1人ひとりの顧客をよく観察し、顧客が求めている情報を察したり、推測したりしてタイミング良く提供し、顧客に良い体験をしてもらっている。Webサイトも本来はそうした“おもてなし”を行うべきだし、できるはずだ
」と高沢氏は訴えた。
高沢氏が参考にすべきロールモデルとして示したのはAmazonだ。徹底的にデータドリブンで運営し、毎日最適化をしてパーソナライゼーションを行う。Webサイトがユーザーの嗜好に合わせて少しずつ変化するため、ユーザーは毎回、新しい体験ができる。
Webサイトで「おもてなし」を実現する3つの施策とは
では、Webサイトが「おもてなし」を提供するためには、具体的にどのような施策があるのか。高沢氏は、やるべきことは多いが、次の3つの施策が柱になると話す。
1. サイトの最適化
1つ目は、前述のようなユーザーの期待とランディングページの食い違いをなくすための「サイトの最適化」だ。しかし、最適化を行う前段階の課題として、Webサイトの評価に手間がかかりすぎていると高沢氏は指摘した。「Webマーケティング担当者が本来考えるべきなのは、お客様に対するおもてなしの施策。しかし現実にはデータを取得し、エクセルでまとめること自体に一生懸命になってしまっている」
この課題を解決するには、A/Bテストや多変量解析テストを容易に実施でき、さらにその結果の集計・分析、Webサイトへの改善策の反映といった一連のPDCAをスムーズに行えるように環境を整える必要がある。
また最近、特に重要性を増しているのが、スマートフォンなど多様なデバイスへのWebサイトの最適化だ。マルチデバイスに最適化する際にポイントになるのが、「コンテンツ」と「表示制御」の分離だと高沢氏は強調する。この2つを分離しておけば、すでにあるコンテンツはそのままに、表示部品とレイアウトを用意するだけで、レイアウトやフォーム要素、画面解像度、機能などを各デバイスに最適化した形で提供できる。コンテンツそのものに手を加えなくてよいため、Web担当者の負担も大きく軽減する。
2. パーソナライズ
2つ目の柱は「パーソナライズ」だ。高沢氏はパーソナライズを行っている具体例として、Webサイトでの行動によって、ユーザーをプロファイリングし、自動的にトップページのバナーをそのユーザーに合わせたものに切り替える施策を紹介した。
検索キーワードや地域、デバイス、参照元サイトといった一般的なデータに加えて、サイト上でのユーザーの行動を分析し、ユーザー単位で詳細なプロファイリングを行う。このプロファイリングに基づいて、「どのようなときにはどんなバナーを表示させる」といったルールを設け、ルールベースでのパーソナライゼーションを行う。この組み合わせによって、それぞれのユーザーにとってふさわしい利用体験を提供できるようになるという。
3. 効果測定
そして、3つ目の柱として高沢氏が挙げたのが「効果測定」だ。Webサイトの運用には、言うまでもなくゴールが不可欠になる。しかし、そのゴールとはコンバージョンだけではない。特にリードタイムの長い商品の場合は、ニュースレターへの申し込みやウェビナーへの参加登録、ホワイトペーパーのダウンロードなど、マーケティングファネルごとに「マイクロゴール」を設定し、複数のキャンペーンとチャネルを組み合わせて展開していくのが一般的だろう。
エンゲージメント効果を改善し続ける
ここで問題になるのが、それらのキャンペーンやチャネルの効果測定だ。「顧客接点が多様化するなか、マーケティング施策全体の最適化を図るには、どのキャンペーンやチャネルが、ユーザーのエンゲージメント向上に貢献しているかを効果測定しておく必要がある
」と高沢氏は説明する。コンバージョンだけでなく、エンゲージメントの効果を測定して改善を続けることで、Webサイトの「おもてなし」度も高めていくことができる。
この3つの柱を含め、コンテンツ編集とマーケティング施策の実行支援、アナリティクス機能を統合したCMSプラットフォームが「Sitecore Customer Engagement Platform」(Sitecore CEP)だと話す高沢氏は、「本日ご紹介したのは、Sitecore CEPの機能のごく一部に過ぎない。より詳しくは、別途弊社セミナーに参加していただきたい
」とし、セッションを締め括った。
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