Webで実現する最上の「おもてなし」~お客様をファンに育成 | 日本オラクル
セミナーイベント「Web担当者Forumミーティング 2012 Spring」(2012年4月19日開催)の講演をレポートする。他のセッションのレポートはこちらから。
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再生が始まります)
多種多様なモノが溢れる現代、性能や価格面での差別化がしにくくなる中、「ウェブ上のおもてなし」の重要性がますます高まってきている。日本オラクルの谷本氏は、講演で「おもてなし」の構成要素を4つに分解し、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供する方法を提案した。
「おもてなし」を高めることが市場での差別化につながる
日本オラクルというと、データベースやミドルウェアの印象が強いかもしれない。しかし、近年はCMSやイーコマースなどのウェブマーケティング分野にも多数の有力なソフトウェアを提供しており、世界有数のデジタルマーケティング・ベンダーとなっている。日本オラクルの谷本航氏のセッションでは、「ウェブ上でのおもてなし」を向上していくことの重要性が、グローバルな視点も織り交ぜながら紹介された。
おもてなしとは、顧客に対して良い購買体験やユーザーエクスペリエンスを与えること。今、おもてなしの重要度が高まっている背景として、ビジネスを取り巻く環境の変化があることを谷本氏はまず説明した。
極端な例が液晶テレビです。グローバル化した今の市場では、価格競争や性能面での競争が行き着くところまで行き着いてしまっています。ソーシャルメディアの普及などにより、一般消費者の発言力も強まっている。そのようなマーケットで差別化を打ち出すには、“おもてなし”が非常に有意義な要素になると考えています。
ある米国企業が行った調査では、このことを示唆するデータもあるという。バッド・エクスペリエンス、つまり嫌な思いをした後、その企業との付き合いをやめた顧客は86%にまで上る。同様の体験をイメージした人は多いのではないだろうか。では逆に、よりすばらしい購買体験ができるとしたら顧客はどうするか。偶然にも先ほどと同じ86%の顧客が、より優れた体験のために高いコストを払うと回答していることを谷本氏は示した。
日本人や日本企業には、もともとサービスレベルが高く、ホスピタリティが行き届いているという強みがある。そうした強みを生かし、コストとのバランスを取りつつ、質の高いおもてなしをウェブ上で展開できるのではないか。谷本氏は次のように提案する。
人間は感じたことや思ったことを、常に具体的に発信するわけではありません。ですからソーシャルメディアのアトリビューション分析には、個人的には限界があると思っています。むしろすべてのタッチポイントで顧客を適切にもてなし、永続的な関係を構築することが、ライフタイムバリューの最大化につながるのではないでしょうか。
現に日本には、そのようなマーケティング戦略を成功させている事例としてだれもがイメージできる企業がある。東京ディズニーランド(オリエンタルランド)だ。「我々が目指すべきなのは、東京ディズニーランドのようなおもてなしを、ウェブで実現すること
」だと、谷本氏は力説した。
ウェブ上で“おもてなし戦略”を実現する4つのポイント
谷本氏によれば、最適な“おもてなし戦略”をウェブで行うには、次の4点がチェックポイントになるという。
- LPO(ランディングページ最適化)
- パーソナライゼーション/レコメンデーション
- オンラインコミュニケーション
- セルフサービス/ユーザビリティ
谷本氏は具体例も交えながら、この4つのポイントを解説してくれた。
1. LPO(ランディングページ最適化)
ランディングページで顧客に見せるべき有益な情報を選別する
まずは、ランディングページの最適化だ。ランディングページは当然ながら、企業側が見せたい情報を見せるページではない。「お客さまの注意をひき、お客さまの求めている情報を整理して提供する」のが基本だ。CMSなどでページを自動作成する場合、「お客さまにとって有益な情報」をいかに選別し、ランディングページに送り込むかがキーポイントになる。
たとえば、ニューヨークタイムズでは「地球温暖化」という検索キーワードで流入したユーザーには、地球温暖化関連の記事を集めたコンテンツを動的に抽出・生成し、ランディングページとして表示している。もちろん、あらゆる検索キーワードに対して個別のランディングページを用意するのは難しい。このためニューヨークタイムズでは、主要なキーワードについてあらかじめテーマを設定し、ランディングページとして表示している。
2. パーソナライゼーション/レコメンデーション
購買行動に至るまでのシナリオを組み立て備える
2点目は、パーソナライゼーションやレコメンデーション。これはあらかじめ購買に至るまでのシナリオを想定しておき、顧客の行動の変化にともなって商品構成も変化させるといったものだ。たとえば、オーストラリアの中古車販売会社では、「ホンダ」と検索したユーザーに対しては、商品はもちろん周辺のコンテンツまでホンダ関連のものに切り替える仕組みをつくっているという。
今、この商品を持っているから売りたいという発想ではなく、こういう行動を取っているお客さまは、こんな商品が欲しいだろうというシナリオを組み立てる。そして場合によってはそのためのシステムを、ウェブに備えることが大事です。
3. オンラインコミュニケーション
店舗と同様のおもてなしをウェブで実現する
3点目のオンラインコミュニケーションでは、米国のファッション業界において、ウェブ上のチャット活用事例が多くなっていることが紹介された。
たとえば、ファッション業界では、専門のデザイナーやスタイリストがチャットで顧客対応をすることで、バリューを投じています。
トップスを選んだ顧客からの相談をチャットで受け、ファッションの知識を持つ専門家がそれに合うボトムスを提案する。米国ではそんなサービスが始まっているという。顧客から見たチャット相手としては、ペルソナと呼ばれる特定のキャラクターを設定しておくケースもある。ペルソナがウェブの顔となり、その裏で専門家がさまざまな顧客からの相談に対応するのだ。
プロアクティブなコミュニケーションにチャットを活用している例もあります。通常、チャットは、顧客の意思がなければ始まりません。しかし、あるPCメーカーではウェブでの行動に基づき、迷っているそぶりを見せている顧客に対し、企業側からチャットでコミュニケーションを取る試みも行っています。現実の店舗でも、顧客が話しかけてほしいタイミングで声をかけると、購買に結びつくことがあると思います。似たようなことはウェブでも実現できるのです。
4. セルフサービス/ユーザビリティ
余計なアクションを減らし、顧客自身に解決してもらう
4点目はセルフサービスとユーザビリティだ。これは逆説的になるが、ウェブの使い勝手を高め、セルフサービス率を向上させることで、おもてなしの質を高めていくということだ。たとえば、ネットショップにおいて、商品の返品業務はつきものだろう。とはいえ「やっぱり要らなくなったから」という顧客と、「破損していたから」という顧客では当然、対応の重要度が違う。後者は「バッド・エクスペリエンス」の渦中にあるわけで、きめ細やかな対応が必要になる。
日本のあるネットショップでは、前者のような返品はFAQページに誘導し、後者の場合は電話やチャットの問い合わせチャネルも表示する形で対応しています。重要な問題はマルチチャネルで、そうでない問題は、セルフサービスで余計なアクションを強いず、顧客自身に解決してもらうという発想です。
また前述のペルソナの関連で言えば、営業時間外など実際にチャットに対応する人的リソースがないことがある。そうした場合、顧客をFAQに誘導するメッセージを、ペルソナに自動応答させているケースもあるそうだ。
いずれの場合においても、ウェブ上のおもてなしを高めるために重要なのは、顧客が解決したいと思ったときにすぐ解決できるチャネルを用意しておくことだと言える。個々の積み重ねが、最適なおもてなしへとつながっていくのだろう。
なお日本オラクルでは、これらおもてなし向上につなげるためのさまざまなソリューションを実際に用意しているといい、谷本氏は「今回はエッセンスしかご紹介できなかったので、興味がある方は、お気軽に問い合わせいただきたい
」と述べ、セッションを終えた。
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