“検索エンジン”ではなく“ユーザー”のための最適化を。中の人が明かすホントのSEO~ Google検索最新トレンド 2011~ | グーグル
セミナーイベント「Web担当者Forumミーティング 2011 Autumn」(2011年11月8日開催)の講演をレポートする。他のセッションのレポートはこちらから。
イベント最後の基調講演では、グーグル株式会社 サーチクオリティチームの金谷武明氏が登壇。ウェブサイトを運営するうえで避けられないSEO(検索エンジン最適化)について、「Web担当者に知っておいてほしい重要なこと」として、検索エンジンに相性の良いサイト制作を行うための心得を語った。
Googleが目指す完璧な検索エンジンとは
基調講演に登場したグーグルの金谷武明氏は、参加者の多くがWeb担当者であることを確認したうえで「今日はWeb担当者の方に伝えたい重要なことだけ話します
」とし、「Googleの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです」という、Googleのミッションから説明を始めた。
Googleが掲げるこのミッションは、SEOに取り組むWeb担当者であれば、一度は耳にしたことがあるだろう。この言葉には、検索エンジンを使うユーザーの利便性を最優先するという思いが込められている。Googleが目指す完璧な検索エンジンとは、「ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにぴったり一致するものを返すエンジン」であり、何が最適な結果かは検索するユーザーのシチュエーションによって異なる。これはとても重要な点で、検索キーワードに対する結果が固定化されているわけではないということであり、同時にGoogleも評価のしくみを試行錯誤し続けているということだ。
Googleによるウェブサイトの評価指標で真っ先に思いつくのが「ページランク」だが、金谷氏ははっきりと「何かの指標にすべきではない」と語る。
「ページランクは、200以上ある指標の1つであり、それだけを重視すべきではありません。少なくとも、ユーザーが確認できるページランク(Google ツールバーで表示されるもの)は年に数回しか更新されません。ページランクだけを何かの指標にすることはまったくおすすめしません
」(Google ウェブマスター向け公式ブログに掲載された関連記事)
Google検索が登場した当初こそ、ページランクの影響は大きかったものの現在は数多くある指標の1つでしかない。少し古い解説書などを参考にしてしまったせいで、いまだにページランクの上下に一喜一憂している人も少なくないが、それはもう意味がないようだ。
真のSEOとは検索エンジンではなくユーザーを見ること
Webサイトのトラフィックの多くを検索エンジン経由が占める現在、SEOはWeb担当者にとって重要施策の1つだ。しかし、コンテンツの内容や質に関係なく、小手先の対策で検索結果順位を上げようとするケースはいまだに多い。こうした状況について金谷氏は、「SEOについて、Googleの主張は昔から一貫していますが、世の中で誤解されていることが多くあります。しかも厄介なことに、その誤解の方が主流となって広まっています
」と語る。
「Google検索のアルゴリズムは、関連性の高いサイトが上位になるよう年間何百という変更が加えられており、それに逐一追従することは現実的ではありません。しかし、Google検索が目指す所は常に同じで『ユーザーにとって関連性の高い検索結果を返すこと』です。ですので、ユーザーにとって関連性の高く役立つサイトを作ることが最大の検索エンジンの最適化、SEOにつながります。
」
つまり、ウェブサイトの改善は検索エンジンを利用するユーザーを見て行うべきということだ。ユーザーに評価されるコンテンツであれば、おのずとGoogleもそれを評価するアルゴリズムへと改善されていくはずだからだ。そのための手引書となるのが、「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド(PDF)」だ。SEOとは本来、ユーザーために行うものであるというGoogleの考えのもと、SEOの基礎知識が書かれている。
また、Googleがウェブマスターセントラルで公開している「ウェブマスター向けガイドライン」も、ウェブサイトの制作に関わる人間は必読だと言えるだろう。
Web担当者にとって必需品のウェブマスターツール
SEOに小手先の技は不要とはいうものの、検索エンジンのクローラーにウェブサイトを正しく認識してもらうためには、最低限の作法は必要だ。内容が良くても、文章が読みづらかったり構成がわかりにくいコンテンツは、読者にとって好ましいものではない。きちんと整理されていることもコンテンツを評価する1つの要素というわけだ。
そこで金谷氏が、「検索エンジン最適化スターターガイド」や「ウェブマスター向けガイドライン」と合わせ、Web担当者にぜひ使ってほしいとすすめるものが、Googleが提供するウェブサイト運営サポートツール「ウェブマスターツール」だ。
ウェブマスターツールでは、ウェブサイトがGoogleからどのように認識されているかを確認できる。これは、ウェブサイトが検索エンジンに認識されているかなど、正しいSEOを行ううえで大きな助けになる。ウェブマスターツールを使うことで、次のような効用が期待できるという。
- サイトマップを送信してクロールの効率性を高める
- 検索結果の表示状況をキーワードごとに分析する
- 外部のサイトからのリンクを詳細に分析する
- クロールエラーを検出し、検索結果への登録ミスを防ぐ
- マルウェアの感染をいち早く検出する
- パラメータ処理機能でクロール効率を高める
- クローラーの活動を分析する
各項目の詳細は、「Google ウェブマスター向け公式ブログ」に掲載されているので、目を通しておこう。なお、このブログ記事は、金谷氏らサーチクオリティチームによるものだ。
スパム判定されたときのために覚えておきたい重要機能
最後に金谷氏は、ウェブマスターツールで特に覚えておいてほしい重要なポイントとして、「ガイドライン違反のお知らせ」「再審査リクエスト」「スパム判定」に関する機能を紹介した。
- 「ガイドライン違反のお知らせ」とメッセージのメール転送
「ガイドライン違反のお知らせ」機能は、自社サイトが「ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)に違反したサイト」としてスパム判定された場合の解決に役立つ。スパム判定された際に、ウェブマスターツールの管理画面にそのことが表示されるようになった。判定通知のメール転送機能を利用すれば、ウェブマスターツールにログインしなくても、いち早く状況を把握できる。
- スパム判定と再審査リクエスト
スパム判定された際に、違反箇所を修正し、再審査を依頼する際に利用する再審査リクエスト機能では、その審査結果を具体的に通知してくれるようになった。「手動によるスパム判定があったかどうか」「それが解除されたかどうか」などを知ることができる。
またスパム判定には、自動と手動の2種類があると金谷氏は話す。自動で判定されるものは、期間の設定などはなく、ウェブサイトで該当箇所の状態とスパム判定のアルゴリズムがそのまま続く限りは、スパム判定され続ける。これは、該当箇所が修正され、それをGoogleが認識した段階で自動的に解除される。
手動で判定されるものは、該当箇所を修正しても自動的に解除されることはないため、再審査リクエストを利用することになる。ここで注意しておきたいのは「再審査リクエストで対象となるのは、ウェブマスター向けガイドラインの品質に関するガイドラインに書かれた項目についてのみである」という点だ。実際の再審査リクエストでは、品質に関するガイドラインに記載された項目以外(つまり、再審査リクエストをする必要のない)のものが多いという。
- スパム判定の原因が外部にある場合の確認
再審査リクエストを出したものの、一向に解除されないケースもある。それは「修正しきれていない」ことが原因だが、担当者にその箇所の心当たりがないような場合は、外部に原因がある可能性が高い。
たとえば、プロモーションの依頼先である外部の会社が悪質なSEOをしていたような場合だ。その中でも多く見られるケースは、外部からの不自然なリンクだ。このようなガイドラインに違反したリンク施策は外部の会社から報告されないことが多く、サイトだけを見ていても気づくことはない。
外部からのリンク操作に関しては、ウェブマスターツールの「ウェブ上のサイト」>「サイトへのリンク」で確認できるので、一度チェックしてみるといいだろう(ヘルプフォーラムの関連スレッドにGoogle社員からの回答がある)。
こういった例は、企業ウェブサイトで、Web担当者とプロモーション担当者が別々に動いていると起こりやすいという。
最後に金谷氏は、ウェブマスターツールの登録はディレクトリ単位で、そして複数のアカウントで可能なことを話し、サイト管理に直接携わっていなくても、マーケティングや宣伝担当者、マネージャーにも自分の担当領域のコンテンツを登録してほしいと勧めていた。どのようなサイトからリンクされているか、どのようなキーワードで検索されているかといった詳細情報は、他のアクセス解析ツールより細かい情報が得られるので、ぜひお勧めしたい。
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