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ネットショップ担当者フォーラム 特選記事

「こだわり」を捨てて、本当に伝わる商品のアピールポイントを探そう

ネットショップに必要な文章力と「こだわり」について(連載第1回)

この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。

商品の紹介文を書いたり、キャッチコピーを考えたり、購入や支払についての説明文を書いたり……ネットショップの業務には文章を書く機会が数多くありますが、セミナーやコンサルをしていると「文章を書くのが苦手で……」という声を本当によく聞きます。でも大丈夫です。この連載ではネットショップに必要な文章の書き方や、ちょっとしたコツについて解説していきます。今回は、「こだわり」の罠について解説します。

最凶のNGワード「こだわり」を捨てよう

例えば、おそば屋さんなどでこんな表示をよく見かけますよね。

当店は、水にこだわっています。

当店のこだわり」「素材のこだわり」など、当たり前のように散見されますが、

コレ、やめませんか?

こだわりの素材」「こだわりの製法」「こだわりの味」……どんなものか、想像できますか? 私にはできません。

そもそも、「当店にこだわりは一切ありません」というお店はそうそうないですよね。どのお店も、何かしらの基準で取捨選択して運営しているはずです。みんながこだわっているのに、「こだわっている」とだけ言っても突出できないので、お客さんには何も響かないのです。

「こだわり」という言葉のもともとの意味は、ちょっとしたことを必要以上に気にする、気持ちがとらわれる、といった、どちらかというとマイナス方向の言葉です。「妥協せず、とことん追求する」というような肯定的な意味で使われ出したのは、比較的最近のようです。

「こだわっています」を言い換えると、「一般的には気にしないことを、私は気にしています」ということだと思います。それだけ言われても、お客さんからしたら「で、何を?」としか言えません。つまり「こだわり」は思考停止ワードなのです。

冒頭のフレーズから、考えられるお店の良いところを想像すると、

富士山の湧き水を使っているので、口当たりのまろやかなダシが自慢です。

あくまでも架空の話ですが、こういうことが言えると思います。「こだわり」だけで止まってしまい、ここまで言わない人が本当に多いのです。

「こだわる理由」は売り手側の前提知識であって、買い手側は知らないことも多いものです。「なぜそば屋で水にこだわる必要があるのか」という前提がなく、「こだわり」だけ言われても、お客さんはその良さを理解できません。大切なのは、その「こだわり」によって、何がどうなっているか。もっと言うと「具体的に、どこが良いのか」です

さらに、それをキャッチフレーズに落とし込むと、例えばこんな感じになります。

「また食べたくなる」その秘密は、富士の銘水が生んだ、まろやかなダシにあり!

どうです? ちょっと味わってみたくなりませんか?「水にこだわっている」というフレーズに比べ、具体的なメリットが伝わってくるので、より魅力的になったはずです。

「こだわり」から、いきなりこのように具体的な表現に変化させるのは難しいと思いますが、まずは「こだわり」の奥に隠れている、語るべきアピールポイントを探すところから始めましょう。あなたのお店の魅力を、改めて発見できるはずです。

ネットショップに必要なのは左脳を働かせる文章

ネットショップの商品ページの場合、例えば食品だったら、まずおいしそうな写真が「食べてみたい!」と右脳にアタックします。パッと見ただけで「コレ欲しい!」と思わせるのは、写真の役目です。

その次に「だから、買うべきですよ」と左脳に働きかけて、後押しするのが文章の役目です。

1写真…「おいしそう!」 2文章…「なるほど。買おう!」
右脳にアタックするのが写真の役目、それをどんな行動に結びつけるか、判断材料になるのが文章の役目。

写真を見て「おいしそう!」と思ったお客さんが、「それを買うべきか」を判断するための文章が必要なのです。そこへ、「おいしい」と大きな文字で10回書いてあったところで、果たしてどれだけの人が買いたくなるでしょうか。お客さんは、おいしそうなのはすでにわかっているので、それ以外の情報が知りたいのです。

このように、ネットショップに必要なのは、「情報を伝える」ための文章力です。

「おいしい」というような、写真から伝わる情報を連呼するのではなく、お客さんの知りたいことや商品を買う際に知ってほしいことを、整理して構成し、脱線しないでページ上(メール上)で完結させる。言ってしまえば、これがすべてなのです。

◇◇◇

今回は、私がセミナーで今まで話してきたことを、連載の序章としてご紹介しました。「文章力」や「文章術」というと、「この言葉さえ書けば」といった小ワザ的なものも多いですが、この連載では「どうあるべきか」という視点から、「何をどう書くべきか」という具体的な技術を紹介していきたいと思います。お楽しみに!

オリジナル記事はこちら:「こだわり」を捨てて、本当に伝わる商品のアピールポイントを探そう(2014/08/18)

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