2016年、ポッドキャストのSEOが重要なスキルに③ ―― ポッドキャストのプロモーション戦略
→まず第1回と第2回を読んでおく
II プロモーション戦略
本当なら、このプロジェクトでやりたいことは、もっとたくさんあった。リソース(時間や予算)がもっとあれば、「ニューリリースと注目作品」に食い込むこともできたはずだと確信している。
また今回は、順位を「操作」して「ニューリリースと注目作品」に入ろうとする意図は持っていない。僕が求めているのは、「普通の人が手の込んだ策を弄さずに、自然にiTunesで順位を獲得するにはどうすればよいか」という疑問に対する答えだ。
II-1 他人に真似のできない素晴らしい作品を作る
ありきたりのアドバイスじゃないかと思われるかもしれないが、詳しく説明しよう。最初から守っておくべき重要な原則がいくつかあるのだ。
a) ゲストにユニークな質問を投げかける
僕たちが作っているのは、ゲストを招くインタビュー番組だ。したがって、質問がすべてを左右する。
ユニークな質問ができるようにするには、どうすればよいだろうか。これには2つのやり方がある。
出演予定のゲストが最近受けた他のインタビューを、いくつか聴くか読むかしておこう。これまでに尋ねられたことがある質問を繰り返さないようにする。
ゲストが発信したごく最近のツイートや記事をチェックする。できるだけ新しい話題に関するものがいい。だれもまだ尋ねていない質問ができるチャンスだ。
この戦略はうまくいっている。ジェン・スレッグ氏はこう述べている。
ところで、私はこの数年たくさんのインタビューを受けてきたけれど、今回はこれまで受けたなかで最高だった。質問が素晴らしかった。
人々へのアドバイスが他にも必要だったら、ぜひ知らせてもらいたい!
ジェン
ゲストがそれまでに尋ねられたことがないような質問を少なくとも2つか3つはしなければ、仕事をしたとはいえない。注目を得られる作品にもならない。
b) 他のポッドキャストの評価が星1つだったレビューを読み、何を「すべきでない」か学ぶ
まどろっこしいやり方だってことはわかっているよ。では、例を示そう。
以下は、他のマーケティングポッドキャストで見つけた星1つのレビューだ。
僕は、他のポッドキャストに付けられた評価の低いレビューを何百件もチェックした。その結果、避けるべき共通点があることがわかってきた。
導入部分は短く興味をそそるものに。そしてすぐ本題に入るようにする。リスナーは、長くて退屈な導入を我慢してはくれない(注意:僕は前からこの点の改善に取り組んでおり、特にエピソード11以降はその成果が出ているはずだ!)。
「おふざけ」や雑談はいらない。特に、始めの部分では避けよう。80年代や90年代のラジオ番組で聞いたような「ディスクジョッキー」的トークにはだれもが心底うんざりさせられているのだ。
できる限り音質を良くしよう。音量バランスが悪かったり、ゲストの声が聞き取れなかったり、全体的な音質が悪かったりすることに対する不満は大きい。リスナーの耳を不快にさせてはいけない!
リスナーを引っ掛けようとしない。ポッドキャストでは、検索数の多い「有名な」起業家の名前を羅列して、ただその名だけで検索順位を上げようとするような流れが大きくなっている。非常に嫌がられる行為であり、不誠実だ。
c) プロ並みの音質を目指す
ポッドキャストの音質が悪いのは、ブログの文字が読めないのと同じくらい罪なことだ。聞き取りにくく、集中をそぐ結果となる。
僕には幸いオーディオ作品を作った経験があったが、経験がない場合は、詳しい人に助けてもらうことを強くお勧めする。
僕の企業秘密をいくつか教えよう。
圧縮技術を利用する ―― ほとんどの基本的な音楽ソフトウェア(GarageBandなど)には、圧縮プラグインが用意されている。具体的には、高音部と低音部のばらつきを抑えることで、音のスパイクを取り除いてソフトなサウンドを実現する(かつては「Levelator」のようなツールが利用できたが、すでに開発が中止されている)。
ノイズゲートを利用する ―― 「ノイズゲート」は、ファンの風切音やエコー(僕のオフィスのような部屋でよく発生する)や鼻をすする音など、低音の余計なノイズを除去するエフェクターだ。これは、僕の作品でクリーンな音質を実現する秘密兵器になっている。
ここで言っておくと、僕たちの作品は、高価で高性能な機材や設備を使っていないにもかかわらず、非常に音質がいい。これは僕の大きな自慢だ。
僕たちがカテゴリ最高の作品を作るために取り組んでいることは実にたくさんあるが、ここでは最も重要な3つの要素を紹介する。
II-2 Facebookのターゲット広告を利用する
僕には、クライアントのために広告を請け負うFacebook広告コンサルタントがいるため、ブライアン・ディーン氏へのインタビューを収録したポッドキャストエピソードのキャンペーンを実施した。狙いは業界の有名人の名前を活用して、このエピソードのクリックを獲得し、関心を引き寄せよういうものだ。
Facebook広告で設定したターゲットは以下のとおりだった。
- 場所: オーストラリア、英国、アイルランド、米国
- 年齢: 22~50歳
- 言語: 英語(英国または米国)
- 関心事項: アミー・ポーターフィールド氏、Kissmetrics(顧客分析ツール)、ニール・パテル氏、Moz(マーケティングソフトウェア)、Smart Passive Incomeのパット・フリン氏、デレク・アルペルン氏
- 最も共通する関心事項: ポッドキャスト
- 予算: 200ドル
テキストと画像の組み合わせを数多く試してみたが、「勝ち残った」のは次の2つだった。
この2つがクリックスルー率(CTR)で勝ち残った理由は、要するにメッセージが具体的で興味深いものだったからだ。
- リーチ: 14,151
- ウェブサイトのクリック数: 746
- 広告単価: 0.17ドル
- かかった費用: 123.14ドル
- リーチ: 7,963
- ウェブサイトのクリック数: 263
- 広告単価: 0.21ドル
- かかった費用: 55.63ドル
ディーン氏の他の画像もテストしてみたが、圧倒的に高い成果を上げたのはこの画像だった。
広告トラフィック経由での再生回数を正確に算出するのは難しいが、どうやらFacebook広告のトラフィックのおよそ30%が「ダウンロード」に結びついたようだ。
言い換えれば、ダウンロード1件あたりのコストはおよそ1ドルだった。
II-3 有機的なネットワーク効果を作り出す
Facebookに200ドルを費やした以外に費やせる予算はなく、後は時間と労力を注ぎ込むしかなかった。累積的な効果を生み出すためには、どんな小さなことでも行う必要があるというわけだ。
a) メールの署名を更新する
毎日非常に多くの人が僕のメールを見ている。そのため、こうしたインプレッションを積み重ねれば、その効果が徐々に現れる。
ぼくが送信するメールの署名には、ポッドキャストをやっていることをわかりやすく示した。
b) 強く関心を持ちそうな人に個人的にメールを送る
これは、実際にやってみると本当に効果の高い手法だ。このポッドキャストを楽しんでもらえそうな何人かの人々に、個人的にメールを送る手間をかけよう。
評価やシェアの依頼はしない。相手は僕が前からとてもよく知っている人たちで、よそよそしいメールにはしない。
たとえば、1年ほど前に僕にポッドキャストに関する質問をくれたジェイクだ。
そのときは短いやり取りをしただけだったが、僕はこれを思い出したので、連絡してみた。
以下はこれに対する返信の抜粋だ。
また、Rebel Growthというポッドキャストで僕をゲストとして招いてくれたボルハ・オベソ氏のことにも思い至ったので、メールを送って知らせることにした。
すると、彼は僕たちのポッドキャストを自分からシェアしてくれた。
おわかりのように、あっと驚くようなことは何もない。だが、こうした小さな取り組みを何十回、何百回と繰り返すことで、積み重ねの効果が生まれるのだ。
しかもその過程で、人脈を構築したり維持したりできるという、さらによい効果も生まれる。
c) 一見無関係な場所で告知する
ポッドキャストは、僕のSEOサービスよりはるかに多くの人の関心を集める。つまり、これまでSEOサービスについて話したことが一度もない場所でも、ポッドキャストの話なら話題にできる。たとえば、Instagramとか。
僕は写真家としてInstagramをかなり利用している。
僕は、いつものように写真をシェアするだけでなく、投稿メッセージでポッドキャストを告知すればいいんじゃないかと考えた。
幸運なことに、この写真はこれまでの投稿のなかで最も多くの「いいね」を獲得し、最も人目に触れることになった。
実際、このやり方はうまくいった。
そう、この1人が、ポッドキャストがダウンロードされていることを告げてくれている。小さなことだ。だが、また1人聴いてくれているってことなのだ。いいかい、これが積み重ねなんだ。累積効果だ。
d)「ポッドキャストを始めたよ!」と会話に紛れ込ませる
よくある集まりで、あなたはどのような会話から始めるだろうか。
こんにちは
天気はどう?
週末の予定は?
実に退屈だ。
僕はたぶん、1か月に100人以上の人々と話をしたり直接会ったりしている。だからこの6週間というもの、こうした機会を利用して、「調子はいいです」とか「厳しいですね」とか「気にかけていただけるほど大した仕事はしてないんです」といったいつもの返事をする代わりに、次のように言うことにした。
絶好調です! 今一番面白いのは、最近始めたマーケティングのポッドキャストで、これが結構うまくいっているんですよ
場合によっては微妙な間が開くこともあった。直接的な話し方が、一部の人にとってはかなりの驚きだったからだ。
だが感触として、85%には関心を持ってもらえたと思う。そういう場合には、チャットやメールでリンクを伝えるようにした。
結果は、こんな具合だ。
また、この人は、メールで返事をくれただけでなく、レビューも残してくれた。
ここでは2つの例を挙げたに過ぎないが、同じようなことは何度も起こった。日常のさまざまな場面で人々に伝えるだけでだ。
こうした「口コミ」による宣伝もやはり、ポッドキャストが本来、広いリーチとアピールを持っているからこそ可能になるのだ。
II-4 他のポッドキャストにゲスト出演する
この点について検討する場合、語りかけようとする相手はポッドキャストのリスナーだ。マーケティングに関心がある人々のだれもが、オーディオ形式で情報を得たいと思うわけではない。だが、関連する分野のポッドキャストでゲストとして出演できれば、新しいリスナーを惹きつけられる可能性は高くなる。なぜなら、彼らはすでにポッドキャストのエコシステムにいるからだ。
僕がゲストになる機会はそうたくさんあるわけではないが、先週には「Talking Drupal」というポッドキャストにゲスト出演したし、今後はもっと機会を増やせればと考えている。
そう、僕はいつだってポッドキャストに出演して、SEOについて話す用意はできているんだ。興味があったら、僕にツイートしてほしい。
II-5 オーディエンスを持つゲストにインタビューする
これは周知のことで、実際、ポッドキャスト界ではかなりよく知られた「秘訣」だと思う。Entrepreneurs On Fire(EOFire)、The School of Greatness、Mixergyなどのポッドキャストが成功している理由を見ればわかる。これらの作品は事実上、ゲストの(また、ある程度はホストの)ファンによって成り立っているのだ。
さて、僕は自分が強く関心を持っていないゲストや真の価値をもたらさないゲストを、オーディエンスを獲得するためだけに迎えるつもりは全くない。だが、ゲストによってはかなりの影響力を持つという事実は十分に承知している。
僕がエベレット・テイラー氏をゲストに迎えたエピソードを例に取ってみよう。僕はこのとき、ツイートを1回発信しただけで、その後の動きはテイラー氏のオーディエンスによるものだ。
そして、エベレット・テイラー氏のリツイートを含んだロス・シモンズ氏のツイートによってさらに広がった(ただし、Twitterのボットが数をやや押し上げている)。
もう一度言っておきたいが、ポッドキャストに出てもらえば「影響力」をもたらしてくれる人々はたくさんいるが、僕は「影響力」だけではなく、いつでも素晴らしいインタビューができる人を選んでいる。
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