Googleローカル検索の順位決定要因でもっとも大切なのは「検索者からの距離」(前編)
最近、Google検索におけるローカルパック結果の多くが納得のいかない状態になっていることにお気づきだろうか。グーグルでローカル検索をすると、たいていそのパック結果が、「なぜこんなビジネス情報が表示されているのだろうか」と首を傾げるようなものになるのだ。
たとえば、「plumbers」(配管業者)で検索した結果を見てみよう。
次の表は、このローカルパックにおける基本的なローカル検索順位決定要因をまとめたものだ。
注目すべき点は以下のとおりだ。
- どのビジネスもグーグルのリスティングの申し立てや確認をしていない。
- どのビジネスもグーグルのクチコミがない。
- ウェブサイトを持っているビジネスすらたった1社だけだ。
当然、エドモントンにはこの検索語で高い順位を獲得するにふさわしい、もっと名の知れたビジネスがあるはずだ。
ここで先ほどの表をもう一度見てみよう。ただし、データを1つ追加する。検索者との距離だ。
これらのビジネスはどれも、僕のいる場所からとても近い場所にある。徒歩で8~15分ほどのところだ。下の図はエドモントンの地図で、僕とこの3つのビジネスの位置がピンで表示されている。どれほど近いのかがひと目でわかる。
同僚とともに数多くの検索クエリを分析した結果、僕はこう結論付けようと思う。
検索者からの距離の近さが、ローカル検索順位の新たな第1決定要因になっている
Darren Shaw
現在、ほとんどのローカル検索で、ローカルパックの検索順位での重み付けは次のようになっている。
距離の近さ > リンク、サイトコンテンツ、言及、クチコミ
どうやらグーグルは、ローカルパックでどのビジネスを表示させるか決めるにあたって、従来のローカル検索順位決定要因には価値を置いていないらしい。グーグルが主に考慮しているのは、「どのビジネスが検索者から最も近いのか」ということのようだ。
僕がこの傾向に気がついたのは、少なくとも8か月ほど前だった。そして、ポッサムアップデート以来、その傾向は強まっているように見える。
距離の近さがローカル検索順位で最重視されている証拠
僕の会社には、エドモントン市内のあちこちに住んでいるスタッフがいる。そこで、4名のスタッフがそれぞれの自宅から何度か検索を実行し、結果が市内の場所によってどのように変わるのかを調べてみた。
下の地図は、エドモントン市内における4人の位置を示す。
デスクトップPCでは、グーグルがユーザーの位置を正確に知ることはできない。そこでグーグルは、IPアドレス、Wi-Fiネットワーク、モバイルデータを利用して場所を推測している。グーグルが推測している現在地を知るには、次のようにすればよい。
- Chromeをシークレットモードで開く。
- 「maps.google.com」にアクセスする。
- 今いる地域の地元のビジネスを検索し、どれかを選ぶ。
- 「ルート・乗換」ボタンをクリックする。
- 一番上のフィールドに「現在地」と入力する。
ルート表示のために、Googleマップには、グーグルが推測した現在地を示す小さな円が表示される。
下の図は、グーグルが推測した僕の現在地だ。
4名のスタッフが、同じ日のほぼ同じ時刻に、9種類の同じローカル検索をシークレットモードで実行し、その結果のスクリーンショットを保存した。
検索した言葉は以下のとおりだ。
- 地名を含まない検索語(キーワード)
- plumbers(配管業者)
- lawyers(弁護士)
- coffee shops(カフェ)
- 地名を含む検索語(キーワード+地域名)
- plumbers edmonton(配管業者 エドモントン)
- edmonton plumbers(エドモントン 配管業者)
- edmonton lawyers(エドモントン 弁護士)
- lawyers edmonton(弁護士 エドモントン)
- coffee shops edmonton(カフェ エドモントン)
- edmonton coffee shops(エドモントン カフェ)
以下は、シークレットモードで9種類のローカル検索を実行した結果の地図だ。このページに24個の地図画像を並べても見にくいだろうから、画像はSlideShareで共有した。クリックして順番に見てほしい。
画像を切り替えるたびに、各スタッフの検索結果がまったく異なっていることがわかるだろう。また、表示されたビジネスが、おおむね検索者の現在地の周りに集まっていることもわかる。
さらに、距離による影響は、地名を含まない検索語(「plumbers」)のほうが、地名を含む検索語(「edmonton plumbers」)の結果よりも強いことがわかるだろう。
地名を含む検索語で見られる違いは、その検索語に対する関連性の高さによって生じている可能性が高い。たとえば、そのウェブサイトに「Edmonton plumbers」という語を含むアンカーテキストが多かったとか、サイトのコンテンツにエドモントンの配管業者に関する記述が多かったといったことが考えられる。
ローカルオーガニック検索結果における距離的影響
ローカルオーガニック検索結果は、ローカルパックの下に、ビジネス名やルートなどとともに青色のリンクで表示される。検索結果によってはごくわずかな違いが見られるものの、ローカルオーガニック検索では市内全域でおおむね一貫性があった。
通常、ローカルオーガニック検索結果は、地域内のどの場所にいても同じになる。したがって、こうした検索結果においては、距離の近さより従来の順位決定要因(リンク、クチコミ、言及、コンテンツなど)の重み付けが高くなっているようだ。
以下は、ローカルオーガニック検索結果のスクリーンショットだ。
考察
地名を含まない検索(キーワードのみ)では、隣接する地域にあるビジネスが結果に表示されることがある。
新しいローカルパックでは、検索者からの距離の近さを算出するのに、「その人のいる地域」ではなく、「その人を中心とした同心円」が使われる。これは、検索語に地名を含めた場合、つまり地域名を加えて検索を行った場合と異なっているようだ。
ローカル検索順位決定要因に関する調査で第1位となっていた「検索する地域における所在地」が、以前ほど重視されなくなった可能性がある。
検索結果が狭い範囲に集まることがある。
検索者のいる場所にもっと近いビジネスがありそうな場合でさえ、グーグルは、ビジネスが集まっている場所を表示したがる傾向があるようだ。
ビジネスが検索者からあまりに遠い場所にある場合は、3パックよりも少ない数だけ表示される。
たとえば、次の図では、近くのビジネスが2つしか表示されていない。しかし僕は、この検索語に一致するビジネスが少なくともあと5つあることを知っている。
当然といえるだろうが、検索したカテゴリに当てはまるビジネスがあまり多くない場合は、地域全体から広範な結果が返される。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回は、今回見たような変更をグーグルが実施した理由と、その影響について考察する。→後編を読む
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