自社サイトでリアル店舗のような個別接客ができて、広告・メールでサイト外でも接客できるKARTEとは?
ある一定以上同じページに滞在していると「お困りなことはありませんか?」というポップアップが表示されるのは見たことがある人も多いだろう。
今回紹介するKARTE(カルテ)は、サイト上でのユーザー行動に合わせて、適切なタイミングで動的なコンテンツを配信したり、ページを見ている人数を表示したり、NPSのアンケートをとったりなどできる。さらに、そうした自社サイト内での接客にとどまらず、サイト外でも広告やメールを介してコミュニケーションできるという。
そんなKARTEが先日Googleアナリティクスと連携したと聞き、連携の背景やメリットなどを聞いてきた。
まさかの勘違いがきっかけでGoogleアナリティクスと連携?!
――KARTEがGoogleアナリティクスと連携したそうですね。その背景を教えてください。
宮原忍氏(以下、宮原): KARTEの技術基盤は、Google Cloud Platform(GCP)で構成されているんですが、使い方がハードすぎて米国のGoogleさんからアタックだと勘違いされてしまって、利用を止められたことがあるんです(笑)。
もちろん私たちは何か悪いことをしていたわけではありませんよ。
誤解を解くために先方に、プレイドがどんな企業で、KARTEがどんなサービスなのかを説明しました。そのことが最初のご縁で関係が始まり、ついにGoogleアナリティクスとの連携が実現しました。
――え、それ本当ですか?
宮原: はい、ホントなんです。今では、Googleさんが主催するGCP関連の大規模イベント(Google Cloud Next '17 in Tokyo)で基調講演させていただくぐらい良好な関係を築かせていただいております。
また、KARTEを導入しているお客様から「GoogleアナリティクスとKARTEが連携できたら便利」という声を多数いただいていたので、連携を進めた背景もあります。また、GoogleアナリティクスはGCP(BigQuery)で動作していますので、KARTEとの親和性が高く、連携もそこまで大変ではありませんでした。
※BigQueryとは、Google Cloud Platformが提供するビッグデータ解析サービスのこと。
いまこの瞬間にサイトに来ているユーザーの気持ちがわかる!
――連携メリットを伺う前に、KARTEがどんなサービスか簡単に教えてください。
宮原: KARTEは、リアルタイムに来訪者の一人ひとりを詳しく知ることができるサービスです。会員情報(CRMデータ)とひも付いていればその情報をリアルタイムに利用できます。そして、そのデータを基に「狙ったタイミングで、狙ったユーザーに、狙ったコミュニケーションができる」CX(顧客体験)プラットフォームです。
閲覧したページやサイト内の行動だけでなく、購入回数や金額も全て記録しているので、その行動に合わせた細かい接客対応ができます。
――「Web上で接客する」だけでなく、まずはユーザーを人軸で理解できるという点が特徴なんですね。
宮原: そうですね。もし会員でない来訪者であればCookieベースの属性データ、購入・閲覧情報、SNS情報、来訪者の過去のデータなどとあわせて、サイトに来訪者の「いまこの瞬間」の状況をリアルタイムに見られます。
また、非エンジニアの担当者さんでも、接客シナリオを実装できるんです。仮説に基づいて「○○という接客をすると顧客体験が上がって、CVも上がるかもしれない」と導き出したとしても「エンジニアに頼まないと実施できない」とよくあると思うんですが、そういったタイムロスを減らすことができます。
――Googleアナリティクスと連携してどんなメリットがあるんでしょう?
宮原: 大きく分けると2つの利点があると思います。
1つ目は、KARTEとGoogleアナリティクスをかけ合わせた分析やレポーティングができることです。
たとえば、購入金額やサイトに訪れた回数、閲覧したページ、ページの読了率などさまざまな条件で、セグメント分けしたりイベント設定したりできます。
そういったデータを指標にして、Googleアナリティクスとかけ合わせた分析ができるので、よりユーザーを理解できますよね。また、KARTEと広告接触データを組み合わせたダッシュボードやレポート作成もできるので、担当者さんの業務効率も図れます。
2つ目は、KARTEのセグメントデータなどを用いてGoogleさんの広告プラットフォームで効率良く広告配信できることです。
たとえば、リターゲティング広告だと「このページを見たすべての人に広告を出す」という出稿パターンが多いと思います。でも、このやり方だと見込み度が高い人にも、低い人にも関係無く広告を出すので無駄が多い。
そこで、KARTEの持つセグメントやイベント、CRMデータとかけ合わせることで、見込み度の高いユーザーに絞って出稿できます。これだけでも無駄がかなり省けます。
また、Googleさんが保有するオーディエンスデータ(年齢、性別、興味関心などの情報)を活用できるのは、大きいですよね。もっと言うと、KARTEはLINEとも連携できるので、LINE@やLINE ビジネスコネクトで「友だちになった」というイベントデータを組み合わせてリマーケティングリストを作成することもできるんです。
――とても便利に感じます。何か注意点などはありますか?
注意点ではないのですが、Googleアナリティクスの無料版ですと、1つ目でお伝えした相互のデータをかけ合わせた分析やレポーティングはできないので、機能の制限があることはお伝えしておきたいです。ちなみに、有料版のGoogleアナリティクス360では全てが可能です。
自社サイト内だけの顧客体験最適化という限定的なものではない
――Web接客というと「自社サイト内だけ」といった印象でしたが、サイト内にとどまらないんですね。将来的にどこまでサービス展開を考えていますか?
宮原: データの活用による消費者にとって心地よい体験を、あらゆる顧客接点で提供していけたらいいですね。共感してくださるクライアント企業と一緒に、追求していきたいと思っています。
そのためにも、ただデータをためるだけではなく、アクションにつなげることが大事です。
DMP、MA、CRMなどさまざまなデータがあります。しかしそれらは、顧客体験を良くするための要素にすぎません。データをためて、いかに顧客体験向上につなげられるかが肝だと思います。
データで顧客体験を向上させる、そのノウハウはまだ企業内に多くはないので、「ナレッジ」を企業間で流通させることが大事な鍵だと考えており、それを体現しているのがKARTE内にある「ストア」です。
――「ストア」とはどんなものでしょうか?
宮原: 導入事例を掲載している、KARTE内の機能のことです。
「お客様がどんな課題に直面して、どう解決していったのか」をナレッジベース化しているもので、KARTEを利用している企業であれば、誰でもアクセスできます。
「課題はわかっているが、どう施策を打つべきかわからない」なんてことがあったときに、ここに来ればヒントが見つけられるようになっています。接客シナリオもテンプレート化しているので、ダウンロードして使うこともできるんです。
ユーザー企業さんを集めた勉強会も開催していて、クライアントさん同士で解決策を模索したり、ナレッジの共有をしたりしています。
大企業でないかぎり、デジタルマーケターって企業内にそんなに数多くいるわけではないので、相談できる相手がいないことも多いはず。そういった人たちに、KARTEというプラットフォームを通じて、解決策を導き出せるような環境作りも積極的に行っています。
もちろん、ストアに掲載するときは、クライアントさんに許諾を得ていますので、ご安心ください。
――それは良い取り組みですね。ありがとうございました。
連携にかかる費用は、10万円~/月とのこと。詳しくはKARTEで確認してもらいたい。
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