Google広告の「カスタムインテントオーディエンス」が提供開始され、1年が経過しました。「カスタムインテントオーディエンス」は、購買意向の強いユーザーをキーワードやURLなどを使用して自由に設定できるターゲティング方法です。
今回は、実際に効果の出た「カスタムインテントオーディエンス」活用事例とオーディエンスの設定のコツをご紹介します。

IT関連企業での活用事例

下記の表は、あるIT関連企業でのリターゲティングキャンペーンとカスタムインテントオーディエンスを使用したキャンペーンのパフォーマンス比較です。

パフォーマンス比較

リターゲティングキャンペーンは、複数あるキャンペーンのうち、最も予算配分の大きいものに絞って表にしています。
ふたつのキャンペーンを比較すると、平均クリック単価、クリック率、コンバージョン単価はカスタムインテントオーディエンスの方がリターゲティングより良い結果となりました。

どんなターゲティングが有効なのか

上記のキャンペーンでは、競合製品と、その製品ページのURLをオーディエンスとして設定しています。
ほかには、検索キャンペーンで使用している一般キーワードを使用したオーディエンスも、検索キャンペーンに比べ低いCPC、CPAでCV獲得につながっています。

キーワードを使用してターゲティングが設定できるので、競合製品名やCPCが高騰しがちな一般キーワードなど検索キャンペーンで取り切れない部分をカバーする、という意味でもカスタムインテントオーディエンスは有効だと考えています。

オーディエンス設定のコツ

(1)「カスタムインテントオーディエンスの推定規模」をチェック

オーディエンスを設定する際、かならず確認していただきたいのが、「ユーザー層の規模」の「カスタムインテントオーディエンスの推定規模」です。これは、設定した内容でどれくらいの表示回数が出るかの推定値で、「0~10万」「10万~50万」「50万~100万」「100万~500万」…という風に表示されます。

カスタムインテントオーディエンスの推定規模

「0~10万」でもまったく配信されないということはないのですが、予算や入札単価を引き上げても表示回数が伸びにくいということになりやすいので、少なくとも10万以上の推定値が出るオーディエンスを設定するのがいいでしょう。

また、年齢、性別、子供の有無も出ますので、ターゲットユーザー像との乖離がないかも確認しましょう。

(2)1オーディエンス1テーマ

もう1点、筆者がカスタムインテントオーディエンスを作成するときに気をつけているのは、ひとつのオーディエンスをひとつのテーマで作成する、ということです。

推定表示回数が10万になかなか届かないからといって、競合製品名に一般キーワードなどを入れてしまうと、実際に配信が始まったときに、効果が出ているのが、競合製品名なのか一般キーワードなどかがわからなくなり効果検証がしにくくなってしまいます。

筆者は、同じ広告をあてるのであれば、ひとつの広告グループに複数のオーディエンスを追加し、オーディエンスごとのパフォーマンスは管理画面上で比較、良ければ入札単価を引き上げる、という運用をしています。

パフォーマンスの管理画面上比較

「脱リターゲティング」の一手として

新規ユーザー比較

上の表は、最初にご紹介したIT関連企業のカスタムインテントオーディエンスのキャンペーンを抽出したGoogleアナリティクスのチャネルレポートです。
カスタムインテントオーディエンスは新規ユーザーが98%以上となっており、しっかりと新規ユーザーに広告が配信できていることがわかります。

ITP(Intelligent Tracking Prevention)などの影響もあり、ディスプレイ広告の「脱リターゲティング」が重要な課題となる中、「カスタムインテントオーディエンス」は、新規向けのディスプレイ広告として可能性を秘めていると言えるのではないでしょうか。

この記事を書いた人
渡辺 麻実子
渡辺 麻実子
SEMコンサルタント

インターネット広告代理店にて不動産関連のWebプロモーションに従事、その後アユダンテに入社。スーツにヒールがトレードマーク。気風のよさと、きめ細やかな気配りの人。片岡仁左衛門の追っかけというニッチな趣味を持つ。