ウェブサイトのリニューアル時にSEO対策の見直しや導入を行うことがあるかと思いますが、大規模なSEO対策を行った場合、多くは効果が出るまでに時間を要しますし、またリリース時期によっても効果は大きく違ってきます。では、サイトリニューアルをいつから着手し、どういう時期にリリースできれば、最大のSEO効果が得られるのでしょうか?ここでは、効率良く検索流入を増やして、リニューアル時のSEO対策を成功させるための方法をご紹介します。
サイトリニューアルの作業工程とプロジェクト期間
ここでは、サイトリニューアルの一般的な作業工程と、プロジェクト期間を経験則から説明します。
サイトリニューアルの作業工程ですが、大雑把にまとめると一般的には下記の工程で進行してくことが多いのではないでしょうか。
- 企画立案
- 業者選定(外注する場合)
- 要件定義
- 各種設計
- 制作・開発
- 動作確認
- リリース
まずは、現状分析などからサイトリニューアルの必要性を企画立案し、業者選定を行ってプロジェクトの費用を算出し、社内承認をとるところまでが、企画の段階となり、期間的には3~6ヶ月ほどの時間を要する感じです。
次に、プロジェクトチームを組み、要件定義をまとめ、各種設計を行うことになります。ここの期間も3~6ヶ月ほどかかる想定です。
(ちなみに、アユダンテのSEOリニューアルでは「要件定義」で、サイトのSEO課題とその改善策を3ヶ月程度でご提示し、その後のデザイン設計や、DB・システム設計に反映いただいています。)
そして、制作・開発に入っていき、動作確認を経て、リリースを行います。ここの期間は、6~12ヶ月ほど時間を要するかと思います。
フェーズ | 作業工程 | 必要期間 |
---|---|---|
企画 | 企画立案 | 3~6ヶ月 |
業者選定 | ||
設計 | 要件定義 | 3~6ヶ月 |
各種設計 | ||
制作 | 制作・開発 | 6~12ヶ月 |
動作確認 | ||
リリース |
当然、サイトの規模や制作体制などによって期間は違ってきますが、弊社では中~大規模のサイトを運営するお客様が多いため、過去に携わったリニューアルでは、企画を含めたプロジェクト全体の期間は、大体1年半くらいかかるケースが多かったと思います。
SEO効果が出始めるまでの期間
サイトをリリースした後、すぐにSEO効果が現れるとは限りません。詳しくはこちらのコラムで事例を紹介していますが、多くのサイトは、Googleのコアアルゴリズムのアップデートを待つことになります。
Googleのコアアルゴリズムのアップデートとは、Googleが年3~4回実施する、検索順位を決めている根幹のアルゴリズムの更新で、これにより、検索順位の大きな変動が起こります。
リニューアルしたサイトの各ページが、Googleにきちんとクロール・インデックスされ、キーワードに対して意図した評価を得られていれば、この変動のタイミングで検索結果の上位に表示されるようになり、流入が増加していくことになります。
実際に流入増の効果が出るまでにかかる期間は、前述のようにアップデートは年3,4回で、それまでにリニューアルしたページがクロールされ、その後の評価を得られている必要がありますので、3~6ヶ月時間を要するケースが多いです。
したがって、中~大規模サイトでは、企画立案からサイト制作を行い、リリース後SEO効果が現れるまでにかかる期間は、2年ほど時間を要する想定でいる必要があります。
最大のSEO効果を獲得できる時期
ここでは、SEO効果(検索流入)が最大化する時期について考えてみようと思います。
以下は、検索流入数を計算式で表したものです。
クリック率は通常、検索結果の上位に表示されるほど高くなりますが、ここでは、リニューアルによるSEO評価は一旦出尽くし、順位は一定のものを想定して考えます。
そうしますと、検索流入数が増えていくには、検索表示回数が増える必要があります。つまり、そのキーワードで検索するユーザが増えていくという、検索需要の増加がポイントになります。
では、どのような時に検索需要が増加するのかを考えてみましょう。
まず、月単位では「繁忙期」が挙げられます。ECサイトであれば年末年始などの時期、レジャー系のサイトであればGWや夏休み前などの時期、転職系のサイトであれば年明け辺りから年度末までの時期などが、検索需要が増加していく傾向にあります。
また、年単位では「好景気」が挙げられます。景気が良い時は経済活動や消費行動が活発になり、サービスに関する検索需要も増加していくと考えています。
一部、年間を通じて需要の波が一定の主だった繁忙期のないサイトや、景気に左右されないサイトもありますが、多くのサイトは、繁忙期や景気の影響を何かしら受けているのではないでしょうか。
サイトリニューアルに着手するベストな時期
ここまでに説明してきた「SEO効果が出るまでの期間」と「SEO効果が最大化する時期」から、サイトリニューアルに着手するベストな時期を考えてみましょう。
前章では、最大のSEO効果が得られる時期は、「好景気の繁忙期」であることをお伝えしました。
そうしますと、中~大規模のサイトでは、繁忙期の少し前をターゲットに、2年前から着手するのがベストな時期と言えるかと思います。(実際にはサイトごとにリリースまでの期間を算出し、より精度の高いスケジュールをたてる必要があります。)
しかし、2年後の景気が良いのか悪いのかは、誰にもわかりません。
そこで、景気変動の指標としてよく使われる「実質GDP」の年間推移から予測してみようと思います。
以下は、内閣府のサイトにある「年次GDP実額」の時系列データをもとに作成したグラフです。
赤いラインが入っている箇所は前年比マイナスとなった年ですが、その2年後には大体右肩上がりで推移して、その後も長期でそのトレンドを継続しているかと思います。
これより、1994年以降は、前年比マイナスとなった年にリニューアルプロジェクトを着手し、2年後にリリースできれば、その後長期で続く好景気による検索需要増の恩恵を受けることができていることになります。
この傾向が、この先も続いていくのかは不明ですが、過去15年ほどのデータからは、前年比マイナスとなった年にリニューアルに着手するというのは、効率よくSEO効果を最大化させるベストなタイミングと言えそうです。
ちなみに、本コラムを書いている2020年の現状は?というと、2020年1~3月期(速報値)は、前期比年率3.4%減で、2四半期連続のマイナス成長という状況です。
今年は新型コロナウイルスの影響で、前年比がマイナスになることは容易に予測できるかと思います。
ということは、2020~2021年は、久々にめぐってくる、リニューアルに着手する絶好の時期になる可能性が高いのではないかと考えております。
しかし、サイトリニューアルは巨額なコストを投じる先行投資となるため、先行きの不安を感じる不景気に入ってしまってからでは、なかなか実施する余裕もなくなってくるのではないでしょうか。ということで、まだ体力に余裕があるときにこそ、次の好景気で大きな成果を獲得するために設備投資の準備をされてはいかがでしょうか。
関連サービスのご紹介
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