2020年10月、GTM(Googleタグマネージャー)の使い勝手向上のためのアップデートとして「一括操作」機能の追加と「検索機能の強化」のアップデートがリリースされました。どちらも作業精度と効率の改善に繋がるオススメ機能です。
複数設定の一括操作
どんなときに役に立つ?
- 複数のタグをまとめて一時停止/削除したいとき
- 複数の設定をまとめて削除したいとき
これまで複数のタグの一時停止を行うときは都度「個別のタグ設定を開いて、右上のメニューを開き、一時停止をクリック」という作業を対象の作業分繰り返す必要がありやや手間でした。
最新のGTMではタグ・トリガー・変数の設定一覧画面などから一括で設定変更できるようになりました。
利用方法
各設定の左側に表示されているチェックボックスを選択すると画面右上に「一時停止/フォルダ移動/削除」のアイコンが出現するので、これらのボタンをクリックするだけで選択している複数の設定の一括変更を行うことができます。
(一時停止はタグ設定に対してのみ実行できます)
一時停止したタグを再開したい場合は一時停止されているタグのみを選択した状態にすれば「一時停止」ボタンが「再開」ボタンに変わります。
また、削除しようとした設定の中で、どれか一つでも(今回の一括削除対象に含まれていない)他の設定により参照されているものがある場合は一括削除が行えず、原因となった設定が一覧で表示されます。
この場合はエラーとなったそれぞれの設定をクリックして確認して参照関係を無くすか、参照元の設定も削除対象に加えた上で再試行する必要があります。
作業がシンプルになったことで作業が快適になったことは勿論、手数が減らせるので設定変更漏れリスクの改善が期待できます。
検索機能の強化
どんなときに役に立つ?
- 特定のIDを持つ計測タグをまとめて抽出したいとき
- 特定のURLと通信するカスタムHTMLタグをまとめて抽出したいとき
- 特定条件で抽出した設定をまとめて削除・フォルダ分けしたいとき
タグマネジメント作業では新規タグの設定時に競合が発生するタグがないか調査したり、「去年このメールで設置依頼したタグを停止して下さい」という依頼に対応したり、トラブルの原因調査をしたりする時など、過去の設定内容を振り返る必要がある状況が頻繁に発生します。
従来の検索機能では設定名、タイプ、フォルダ名などでしか検索できなかったため、対象の設定状況が完璧に把握できている状況を除き一つ一つタグ設定を開いて調査するか、コンテナのエクスポート機能を利用して出力したJSONファイルから地道に調べる必要がありました。
これからは進化したGTMの検索機能を利用してこのような調査を一瞬で完了することができます。
利用方法
GTMの新しい検索機能は管理画面上部の検索ボックスからいつでも使えます。
以下のような情報が検索対象となっています。
設定内の各項目で入力された情報も検索対象なので、計測タグに含まれるアカウントID情報やカスタムHTMLタグ設定に含まれる通信先のドメインを使ってタグを抽出することも可能です。
検索ボックスに何か入力すると、ヒットした設定が最大7件その場で表示されます。
(検索時に大文字小文字は区別されません)
「他の結果を表示」をクリックすると更に詳細な検索結果を表示できます。
また、各行の左側にチェックボックスが表示されていることから分かるように、この画面からも一時停止・フォルダ分け・削除などの一括操作が可能です。
進化した検索機能により、設定名だけを手掛かりに検索しても絶対に見つけられなかったタグ設定の存在を一瞬で見つけることができるようになりました。
その他、変数やトリガー設定内で入力された文字列も検索対象なので、多重に作られてしまった設定をまとめるときにも役立ちます。
多くの人が管理に関わるGTMコンテナだと名前だけで設定の正体を判別することが難しく、かなり気を付けて作業しないと同じタグを二重に設定してしまったり、不要に変数やトリガーの設定を増やしてしまったりする問題がありました。
これからは新しく設定を追加する前に検索機能を活用するだけで問題の発生率を大きく減らすことができます。
サーバーサイドタギング、コンテナの通知、部分的なコンテナのエクスポート、一括操作、検索機能の強化など、振り返るとこの半年だけで大小様々なGTMの進化がありました。
油断しているとすぐに置いて行かれそうですが、これからの進化も楽しみです。
プログラミングとキャンプ、コーヒーが趣味のデジタルマーケティングエンジニア。好きなブランドは「SONY」と「snow peak」 2020年からアユダンテに参加。DMEチームの即戦力としてフル稼働中。
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