[続]ステップ・バイ・ステップで始める! 企業のInstagramマーケティング

ブランドとフォロワーの架け橋!インフルエンサーを活用してみよう【前編】

Instagramにおける「インフルエンサーマーケティング」について、基礎知識およびインフルエンサーの探し方・選び方を企業担当者向けに解説。

前回では、この1年でInstagramそのもの、そしてInstagramトレンドがどう変わったのか・変わっていないのかについて解説しました。今回は、「インフルエンサーマーケティング(インフルエンサー活用)【前編】」として、Instagramで人気のインフルエンサーやインフルエンサーマーケティングについての基礎知識、およびインフルエンサーの探し方・選び方について解説します。

「インフルエンサー」とは?

「インフルエンサー」という言葉を一度も聞いたことがない、という人は、読者にほとんどいないのではないでしょうか。ご存じの方も多いかもしれませんが、「Influence」は「人を感化する、人を動かす、~に影響を与える」という意味の単語であり、「インフルエンサー」は「Influencer=〔社会に対して〕大きな影響を与える[影響力を持つ]人、情報発信者」を意味します。

SNSやソーシャルメディアにおける「インフルエンサー」としては、以下のような人物が挙げられるでしょう。

  • 有名人(タレント・スポーツ選手・モデル 等)
  • 専門家・有識者
  • 特定のコミュニティで影響力を持つ一般ユーザー

なおSNS・ソーシャルメディアによっては、固有のインフルエンサー呼称が存在します。

インフルエンサーの呼称対応するSNS(ソーシャルメディア)
Instagrammer(インスタグラマー)Instagram
YouTuber(ユーチューバー)YouTube
TikToker(ティックトッカー)TikTok
アルファブロガー/ブロガーブログ

Instagram上で影響力を持つユーザーは、文字どおり「インスタグラマー」と呼ばれています。有名人以外のインスタグラマーにはたいてい「得意分野(ジャンル)」があり、「〇〇系インスタグラマー」のようにグルーピングされることも多くあります。ご参考までに、有名インスタグラマーのほんの一部を、以下ジャンル別にご紹介します(順不同・敬称略)。

食・グルメ系

美容・コスメ系

イラスト・漫画系

他にも、以下のようなジャンルに該当するインスタグラマーが数多く存在します。どんなジャンルにどんなインスタグラマーがいるかを調べるには、インターネット検索したり、後述する「インフルエンサーマーケティング支援企業」に問い合わせたり「インフルエンサーマーケティング支援ツール」を使って調べたりするとよいでしょう。

  • ライフスタイル系
  • ファッション系
  • 雑貨・インテリア系
  • スポーツ・フィットネス系
  • 旅行系
  • ペット・動物系
  • アート系 など。

「インフルエンサーマーケティング(インフルエンサー活用)」とは

SNS、とくにInstagramで人気の「インフルエンサーマーケティング(インフルエンサー活用)」とは、具体的にどんな施策を指すのでしょう?

一般的には、以下のようなPR施策をインフルエンサーに実施してもらい、そのインフルエンサーを支持するユーザーに情報を届けたり態度変容・行動変容を促したりする施策を指します。

  • インフルエンサーに、SNSで商品やサービスに関連する投稿をしてもらう。
  • インフルエンサーに、商品やサービスのレビューをしてもらう。
  • インフルエンサーに、キャンペーンの拡散に協力してもらう。
インフルエンサーマーケティングの流れ

従来のマーケティングにはないメリットも多いインフルエンサーマーケティングですが、「国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」によれば、今後も成長が見込まれています。具体的には、インフルエンサーマーケティング市場は2020年に317億円ですが、2025年には約2.3倍の723億円規模に達すると予測されているのです。インフルエンサーマーケティングの市場規模は、1位YouTube、2位Instagramという顔ぶれで、当分変わることはなさそうです。

インフルエンサーの探し方・選び方

では、自社の商品・サービスのPR施策を託すにふさわしいインフルエンサーを、どのように選べばよいのでしょう? 「インフルエンサー」と一言でいっても、そのフォロワー数やチャンネル登録者数によって「トップインフルエンサー」「マイクロインフルエンサー」「ナノインフルエンサー」のように分類される場合があります。

これらの名称に正式な定義が存在するわけではありませんが、おおよそ以下に挙げるような傾向が見られます。

  • フォロワー数が多いほど「リーチ力は強い」が「エンゲージメント率は低い」
  • フォロワー数が少ないほど「リーチ力は弱い」が「エンゲージメント率は高い」
フォロワー数別インフルエンサーの種類

さて、企業がインフルエンサーを選び出そうとする際には、「フォロワー数」や「チャンネル登録者数」を判断材料にすることが多いようです。たしかに指標としてはわかりやすいのですが、それ以外にも、以下に挙げる重要項目についてもあわせて確認し、慎重に人選することをお勧めします。

インフルエンサーと商品・サービスとの親和性

その商品・サービスは、そのインフルエンサーの得意分野とマッチするか、そのインフルエンサーの雰囲気に合うものでしょうか?

コスメのPR施策であれば美容・コスメ系インスタグラマーに、グルメ系のPR施策であれば食・グルメ系インスタグラマーに依頼するのが定石です。また、たとえば「コスメ系」とひとことで言っても、デパコス(デパートコスメ)専門もいれば、プチプラ(プチプライス)専門のインスタグラマーもいます。「この商品・サービスを、このインフルエンサーは愛用してくれそうか?」という視点を忘れずに持ちましょう。

フォロワーと商品・サービスとの親和性

そのインフルエンサーのフォロワーには、商品・サービスのターゲットになりうるユーザーが含まれているでしょうか?

たとえば、フォロワーが20~30代の男性中心のインスタグラマーに、女性をターゲットとしたファッションやグルメのPR施策を依頼しても、期待するような効果が得られない可能性があります。そのインフルエンサーのフォロワー数だけでなく、フォロワーの属性(年代・性別など)についても事前に把握し、人選の判断材料の1つとして使いましょう。

フォロワーとの信頼関係

そのインフルエンサーの発信する情報を、フォロワーは信頼しているでしょうか? また、そのインフルエンサーとフォロワーは、良好な関係を築けているでしょうか?

フォロワーに対する態度がよくなかったり、日頃から宣伝色の強い投稿やわざとらしい投稿を連発したりしたことで、フォロワーの心が離れつつあるインスタグラマーも存在します。そのインフルエンサーの投稿のエンゲージメント率(投稿に対してフォロワーが反応した割合)や、フォロワーからのコメントの内容、そしてフォロワーからのコメントに対するインフルエンサーからの返信内容なども、事前に確認するようにしましょう。

依頼元企業との信頼関係

そのインフルエンサーは、皆さんの会社からの依頼に対し誠実に対応してくれるでしょうか? そして、ルールを守るなど取引先としてふさわしい相手でしょうか?

インフルエンサーのなかには、社会人経験がない/乏しい人、未成年者など、さまざまな属性のユーザーが存在します。もちろん、何の問題もなく企業からの依頼に適切に対応できるインフルエンサーも多いのですが、一部には、皆さんなら当然と考えるようなビジネスマナーやルールが通用しないようなインフルエンサーも存在しています。できる限り事前にコミュニケーションをとることで、お互いに信頼し合える関係が構築できることが望ましいでしょう。炎上やステマ(ステルスマーケティング)といったトラブルを予防するためにも、妥協は禁物です。ステマについては次回詳しく考察します。

商品・サービスに関して、宣伝色が強すぎない自然な情報を発信できるか

そのインフルエンサーの書く文章、撮る写真や動画などのクオリティに問題はないでしょうか? 商品・サービスにマッチした世界観を表現できそうでしょうか? また、そのインフルエンサーは、商品・サービスに対する理解を深めてくれたり心から愛用してくれたりしそうでしょうか?

インフルエンサーに商品・サービスに関する投稿を依頼する場合、その内容について企業が細かく指示をするのは望ましくありません。いうなれば「インフルエンサーの感性にお任せ」する形をとるわけですから(もちろん、リスクマネジメント的観点での事前確認は必要です)、当然、そのインフルエンサーの持つ文章力や写真・動画のセンスがきわめて重要です。そのインフルエンサーの過去投稿をなるべく多くチェックして、人選の判断材料の1つとしましょう。

上述したような条件もすべて満たしてくれるようなインフルエンサーを自力で見つけることができた場合には、SNSのメッセージ機能を使って直接依頼してもよいでしょう。その後の流れとしては、報酬交渉や業務委託契約などの締結、PR施策実施までのディレクション、インフルエンサーのPR投稿の事前確認、報酬支払い、効果測定など、こなすべき業務は多々あります。こちらも詳細は次回解説します。

望みのインフルエンサーを見つけられなかった場合

一方で、探し求めているようなインフルエンサーをなかなか見つけられない、そもそも探し方がわからない、という場合には、「インフルエンサーマーケティング支援企業」やツールの力を借りるのもよいでしょう。また、上述したような、報酬交渉や契約締結から、投稿の事前確認、効果測定に至るまで、煩雑な作業をまるっと委託したい・助けてほしいという場合も、こうした企業に相談してみるのも1つの方法です。

「インフルエンサーマーケティングにかかる作業をすべて自社で行う」か、それとも「インフルエンサーマーケティング支援企業への委託やインフルエンサーマーケティング支援ツールの利用も行う」かという二択があるわけですが、前者は大変労力がかかりますが費用面やスピード感ではメリットがありますし、後者は費用こそかかりますが、煩雑な作業を外注でき、インフルエンサーマーケティングのあらゆるフェーズにおいてプロフェッショナルの知見を取り込める、といったメリットがあるでしょう。自社のリソースとそれぞれの長所短所をふまえて検討の上、みなさんの企業にあった方法を選んでいただくのがよいと思います。

【インフルエンサーマーケティング支援企業の例】
UUUMhttps://www.uuum.co.jp/
ソーシャルワイヤーhttps://www.socialwire.net/
3ミニッツhttps://www.3minute-inc.com/
GROVEhttps://grove.tokyo/
【インフルエンサーマーケティング支援ツールの例】
LMND(レモネード)https://lmnd.jp/
indaHashhttps://indahash.com/
iCON Suitehttps://icon-suite.com/
Find Modelhttps://find-model.jp/
◇◇◇

今回は、インフルエンサーマーケティング(インフルエンサー活用)前編として、「インフルエンサー」「インフルエンサーマーケティング」の定義、およびインフルエンサーの探し方・選び方について解説しました。次回は後編として、インフルエンサーマーケティングのメリットや注意点、具体的なステップなどについて解説します。

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

eCPM
「eCPM」はeffective Cost Per Milleの略。「有効CPM ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]