多様なデバイスへのコンテンツ展開を効率化──誰にとっても使いやすいヘッドレスCMSでコンテンツ開発・管理の変革を加速
ヘッドレスCMSは活用の技術的ハードルが高く、それが普及の足かせになっているとの指摘も多い。そんななか、“誰でも簡単に使えるヘッドレスCMS”として、幅広い層の企業から注目を集めているのが、サイトコアの「Sitecore Experience Manager」「Sitecore Headless Services」をはじめとするCMSソリューション群だ。同社の製品が企業にもたらすベネフィットについて、サイトコアの2人のキーパーソンに聞いた。
ヘッドレスCMS活用の技術的なハードルを引き下げる
インターネットを通じて人と企業の各種サービスをつなぐデバイスは、PCやタブレット/スマートフォンといった情報機器だけではなく、IoT系(組み込み)機器のスマートウォッチやカーナビ、情報家電などと多岐にわたっており、その数も爆発的に増えている。そうした多種多様なデバイスに向けたコンテンツの管理を効率化するソリューションとして、コンテンツのビュー(フロントエンド部分)をシステムから切り離したヘッドレスCMSへの関心が高まっている。
ただし、ヘッドレスCMSはJavaScriptなどの開発言語を使ってフロントエンド部分を実装する設計になっており、従来型CMSのように、直感的にWebページをデザインしたり、レイアウトしたりすることは困難だ。ゆえに、ソフトウェア開発の専門家ではないデザイナーやマーケティング担当者にとっては活用の技術的なハードルが高いと指摘されている。
そうした課題の解消を含めて、コンテンツの制作や運用管理にかかわるあらゆる層のユーザーにとっての使いやすさや利便性を追求してきたのが、サイトコアが2018年から提供しているヘッドレスCMSのソリューションだ。
「当社のソリューションは、ヘッドレスCMSでありながら、プレビュー画面を見ながら直感的にWebページを編集できる『見たまま(WYSIWYG)編集』機能を提供するなど、開発エンジニアではないデザイナーやマーケティング担当者による活用を可能にする工夫が凝らされています。2018年の販売開始以来、当社のヘッドレスCMSソリューションは急速に売上げを伸ばしてきましたが、その大きな理由も、開発エンジニアにとっての利便性のみならず、デザイナーやマーケティング担当者にとっての使いやすさを追求してきた点があるといえます」と、サイトコアでパートナーテクニカルイネーブルメントマネージャーを務める山本 誠樹氏は説明する。
オープンに先端技術を取り込みエンジニアのモチベーションを高める
サイトコアのソリューションは、コンテンツ制作・配信の機能を提供するCMSツール「Sitecore Experience Manager」を土台にしたものであり、ヘッドレスサービスの「Sitecore Headless Services」やSDK(ソフトウェア開発キット)の「JavaScript SDK」「ASP.NET Core SDK」、さらにはドラッグ&ドロップ(コーディングレス)でのコンテンツ制作を可能にする「Sitecore Experience Accelerator」などから構成される(図参照)。
このうち、「Sitecore Experience Accelerator」が、従来型CMSと同様に、事前に構築されたコンポーネント、テンプレート、レイアウトを再利用する機能を提供する。ヘッドレスでの実装において利用できるモジュール集となるSitecore Experience AcceleratorのNext.js版もリリースする予定だ。ちなみに、WYSIWYG編集の機能では、PCやタブレット、スマートフォンといったデバイスごとの表示内容や多言語表示などをプレビュー画面の切り換えによって簡単に、かつ瞬時に行うことが可能となっている。
一方のSitecore Headless Servicesは、「JavaScript SDK」や「ASP.NET Core SDK」から利用できるAPIを提供するサービスであり、JavaScript SDKについてはJavaScript(ないしはTextScript)ベースの標準的な開発フレームワークに対応している。また前出の図にもあるとおり、Sitecore Headless Servicesでは、RESTに代わるWeb APIとして注目を集めるクエリ言語「GraphQL」もいち早く取り込んでいる。
「GraphQLの活用によって、外部ソースから目的の情報を無駄なく、容易に取り込めるようになります。また、JavaSriptベースの開発フレームワークや.NETは、各国の多くの開発エンジニアが活用するテクノロジーです。こうしたオープンな標準技術、あるいは先進的な技術は、ヘッドレスCMSを使う開発エンジニアの生産性向上や業務効率化に大いに役立つほか、習得した技術知識が将来的に無駄になるリスクが小さいといったメリットもあります。ゆえに、オープンで先進的な技術の採用は、開発エンジニアのモチベーションアップにつながりやすいともいえます」と、サイトコアのソリューションエンジニア ディレクターの原水 真一氏は述べる。
さらに、サイトコアでは、APIを用いたコンポーネント開発(ソフトウェア部品の組み合わせによる開発)のためのコンポーザブルな(組合せ自由な)プラットフォーム「Sitecore DXP(デジタルエクスペリエンスプラットフォーム)」を提供している。同プラットフォーム上で提供されているコンポーネントを自由に組み合わせて活用することで、既存のWebサイトにeコマース機能やパーソナライズ機能、デジタルマーケティング機能、CDP機能などを簡単に追加することができる。
「MACH」アーキテクチャで企業のDXをバックアップ
サイトコアのヘッドレスCMSソリューションは、「MACHアーキテクチャ」と呼ばれる世界で標準化されたコンセプトを取り入れた製品でもある。MACHとは、「マイクロサービス(Microservice)」「APIファースト(API-First)」「クラウドネイティブSaaS(Cloud-Native SaaS)」「ヘッドレス(Headless)」の頭文字を組み合わせた言葉であり、今後のソフトウェア開発のあるべき方向性を示すものだ。
このコンセプトにもとづくヘッドレスCMSのソリューションによって、コンテンツ開発の生産性やCMSのスケーラビリティ、可用性を高め、顧客企業のDXの取り組みを強力に後押しするのが、サイトコアの大きな狙いでもある。実際に海外では多くの企業が、DX施策の強化を目的にサイトコアのヘッドレスCMSソリューションを導入し、コンテンツの開発と改善のスピードを劇的に向上させている。
例えば、ある米国のFin Tech企業では、サイトコアのヘッドレスCMSソリューションの導入によって新規Webサイトの立ち上げ速度を従来の2倍近くスピードアップし、かつ、Webサイト訪問者のエンゲージメント率を大幅に高めることにも成功した。また、スウェーデン発の直販型美容ブランドでは、直販サイトの中国市場への展開に際してサイトコアのヘッドレスCMSソリューションを導入した。結果として、中国市場向けのモバイル決済機能やチャット機能をWebサイトにスムーズに組み込み、中国市場への参入を当初の予定より早いタイミングで行うことができたという。
「当社のソリューションを採用するお客さまは国内でもかなりの勢いで増えています。日本でも海外と同じような成功事例がこれから多く生まれるものと期待しています」(原水氏)
サイトコアでは、Sitecore Headless ServicesのSaaS展開サービスとなる Sitecore Experience Manager Cloud(XM Cloud)を 2022年7月より提供を開始した(※)。これにより顧客企業の拡大に一層の弾みをつける構えだ。同社のソリューションによって、ヘッドレスCMSの活用が日本でも本格化する可能性は高い。
(※)SaaSベースのエンタープライズ向けCMSソリューション、Sitecore Experience Manager Cloud(XM Cloud)の提供を開始
サイトコア株式会社
URL:https://www.sitecore.com/ja-jp/headless
Email:info-jp@sitecore.com
Tel:03-5413-6900
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