AIを使ったクチコミサービスってどうなの? リスクはある? AI時代のクチコミ獲得戦略教えます
- クチコミがなかなか集まらない
- 内容の薄いクチコミが多い
- 悪いクチコミばかり目立ってしまう
大多数の消費者が“クチコミ”を参考に訪問店舗や購入商品の情報を集めるこの時代。クチコミの獲得について、さまざまな事業者が頭を悩ませている。
良いクチコミを増やしたいという思いはあるが、「“ステマ規制”がはじまったと聞いたけど、どんなクチコミの集め方が違反、違法になるの?」「AIで書いたクチコミはヤラセになる?」「変なクチコミの集め方をして、GoogleにアカウントをBANされた企業があるって聞いたけどホント?」など疑問は尽きない。
そこで、今回の記事では、クチコミのサービスを提供している、ユニヴァ・ジャイロンのCEO、島津久厚氏と、「Googleビジネスプロフィールダイヤモンドプロダクトエキスパート」であるユニットティの永山卓也氏に、“クリーンな”クチコミ獲得方法について聞いてみた!
永山卓也氏
店舗や地域ビジネスを専門に幅広いコンサルティングを行う、株式会社ユニットティ 代表取締役。Googleビジネスプロフィール ダイヤモンドプロダクトエキスパート。
クチコミはなぜ重要なのか?
インターネットにおける“クチコミ”は、飲食店や医療機関、美容室やスポーツジムなど、幅広いサービスにおいて、利用者の意思決定に大きく関与している。ユニヴァ・ジャイロンが2024年4月に行った調査では、56.3%の人が「クチコミによって購買意欲が高まった経験がある」と回答している。
永山氏は、クチコミの重要性について、「インターネットにおける情報の流通量は激増しているが、実は、店舗やサービスへの評価は以前よりも断片化している」という側面を指摘する。
たとえば、「美味しいものを食べた」とSNSでシェアする人は多いですが、その人が店舗名や場所をその投稿に書いてくれているとは限りません。その場合、せっかくお店のことを投稿してくれているのに、検索で見つけてもらう役にはたたなくなってしまう。店舗ビジネスにおいて、クチコミは、断片化した情報を紐づけ、内容を補足・補完する役割があるんです(永山氏)
クチコミがなかなか集まらない!
その原因は「文章を書く」ハードルにあった
その一方で、店舗側は「なかなかクチコミが増えない」と頭を悩ませているのが実情だ。同調査によると、ユーザーがクチコミを書かない理由は「文章を書くことが苦手・面倒」が31.0%で最も多く、「書くことが思い浮かばなかった」が23.2%だった。
つまり、クチコミを書いてもいいかなと思っても、「文章を書くこと」にハードルを感じてやめる人が多いんです。そもそも書く気がない人は仕方ないですが、書いてもいいと思ってくれた人を取り逃すのはもったいないです。「文章を書く」ハードルを取りのぞくサービスが求められているんです(島津氏)
また、クチコミが入りづらい・正当な評価がされづらい業種もある。たとえば飲食店は、個人の感想を記しておく備忘録やコレクションのような意味合いもあって、クチコミが入りやすい。一方で医療、健康、美容関連のビジネスは、実際の評価よりもネガティブなクチコミが書かれやすい傾向にあるのだ。
飲食店は、食べたらその場で「おいしい」とわかるため、すぐクチコミを書ける。一方で、医療、健康関連などのビジネスは一回で施術が終わることは少なく、評価するまでに時間がかかる。体に不調があり、そういった施設を利用したとしても、何度か通って良くなったころには熱も冷め、わざわざクチコミを書くことはまれだ。しかし、逆に「待ち時間が長かった」「受付の対応が悪かった」などの悪いクチコミは、どの段階でも怒りに任せて書けるため、ネガティブなクチコミのほうが書く機会があり、その結果、目立ってしまうのだ。
もちろん、ネガティブなクチコミがよくないわけではありません。ネガティブなものであっても、情報が正しいものであれば、第三者にとっては貴重な判断材料になります。ですが、構造的にネガティブな情報が表に出やすく、ポジティブな情報が書かれづらい状況があるのに、それが正当な評価だと思われるのは店舗にとってつらいですよね。
一番重要なのは、お店やサービスに対する正しいクチコミを集めることです。良い体験をしている人もいるのに、それを文章で表現する部分にハードルがあって、クチコミを書いてもらえないというのが問題なんです。
中立的に、顧客の「インサイト」を引き出すことが、クチコミのあるべき姿です(島津氏)
クチコミ獲得サービスって、法的・ガイドライン的に大丈夫なの?
では、クチコミを増やすために、「クチコミ獲得サービス」を利用するのは法的に大丈夫なのだろうか。島津氏は、「世の中には色々なクチコミ獲得サービスがあるが、安易に選ぶと危険だ」と警鐘を鳴らす。
ここで論点となるのが、景品表示法による「ステマ規制」とGoogle ポリシーやガイドラインだ。
景品表示法による「ステマ規制」とは
2023年10月、景品表示法に基づく規制対象として「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が追加された。製品やサービスについて実際より優良であるように見せる「優良誤認」や、取引条件や価格が実際よりも有利であるように見せる「有利誤認」の不当表示に加え、「店舗の宣伝になるものを、それが事業者の意向が入ったものとわからない状態で表示すること(ステルスマーケティング:ステマ)」が禁止された。
簡単に言うと、インフルエンサーなどにお金を払ったり、商品を無料で渡したりして、商品の“良いクチコミ”を書くように依頼することがステマにあたります。事業者がユーザーの感想を操作して対価を払うという手法を、法的な規制対象にするのが、いわゆる“ステマ規制”です(島津氏)
もともと、対価を渡してクチコミを依頼することは多くのプラットフォームで禁止されているが、そのうえでさらに今回、「評価の高いクチコミを書いてください」「星4以上をつけてください」「悪い内容は書かないでください」など、クチコミの評価を誘導・指示すると違法となった。
Google ポリシーによる「虚偽のエンゲージメント」とは
また、Googleではステマ規制が強化されるよりも前から、「マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー」を定めている。その中で、「虚偽のエンゲージメント」として投稿が禁止されている項目は以下の通りだ。
- 店舗での実際の体験に基づかないもの
- クチコミに対価を提供すること
- 良いクチコミに誘導すること、悪いクチコミを阻害すること
- なりすましでクチコミを入れること
規約に違反すると、アカウント停止やビジネスの公開停止などのペナルティーが課されることがある。なお、2024年9月14日にはGoogleのヘルプが改訂され、「ポリシー違反によるビジネス プロフィールの制限」のページが公開された。違反行為に対して具体的な措置をとることが示され、取り締まりはよりいっそう厳しくなっている。
特に注意してほしいのが、Googleでは何らかの対価を払った時点でポリシー違反となるということだ。
実際に、悪質なクチコミに対するGoogleの措置としてビジネス情報の掲載が停止されたり、アカウント自体が停止されたケースも非常に多く存在します。特にここ数カ月で急激に数が増加しており、とあるチェーン店のGoogleへの掲載が全て停止された事例もあります(永山氏)
ステマ規制で、初の行政処分が下った事例もある。2024年6月6日、消費者庁は、とある医療法人に対し、景品表示法違反を理由に再発防止などを求める措置命令を行った。
「クチコミをはじめとするレビュー(評価)コンテンツのありかたについては日本だけでなく世界規模で課題になっており、プラットフォームや国の法整備を含めて公平性を見直し、ルールの厳格化や審査精度の強化をしていくという機運が高まっている」と永山氏は述べる。
正しくない方法でクチコミを集めようとすると、Googleアカウントの停止や、行政処分が下る可能性を認識しておかなければならない。
安全なクチコミ獲得サービスを選ぶポイント2つ
では、どのようなクチコミ獲得サービスなら安全にクチコミを集められるのだろうか。島津氏は、クチコミ獲得サービスを選ぶ際のポイントとして、下記の2点をあげた。
- 良い評価に誘導しない
- ユーザーの言葉を捏造しない
良い評価に誘導する「レビューゲーティング」はNG
レビューゲーティングとは、良い口コミ(レビュー)のみを公開して悪い口コミを隠す行為を指す。
具体的には、まず店舗サイトでアンケートを取り、星5や星4など高評価をつけたユーザーはGoogleに遷移させてクチコミを書くように誘導する、星3以下の低評価をつけたユーザーは自社サイト内のアンケートで完結させてGoogleには誘導しないといったものだ。
この手法は、事業者側がクチコミを選別し、不正に商品やサービスを高評価に見せることになるため、景品表示法の優良誤認や有利誤認に抵触する。Google ポリシーにおいても、「顧客からの否定的なクチコミの投稿を妨げたり禁止したり、肯定的なクチコミを選択的に募ったりする行為」に該当し、規制対象である。
実は、これに違反しているケースはかなり多いんです。それも、支援会社・サービス事業者ともに、知識がないため、悪意なく良かれと思ってやっている人が多い。しかし、先ほど説明したように、自分たちの身を守るという意味でも、ゲーティングの危険性はしっかり認識してほしいです(永山氏)
ユーザーの言葉を捏造してしまいかねない「選択式回答」は危険
もう1つ危険なのが、生成AIを活用し、読者のクチコミを生成するサービスにおいて、クチコミを生成する際に「選択式のアンケート」を使うことだ。
選択式のアンケートを採用したクチコミ獲得サービスの場合、ユーザーはあらかじめ用意された選択肢から回答を選び、AIがそれをもとにクチコミ文章を生成します。質問内容や選択肢によっては、感想が特定の方向に誘導されたり、複雑なニュアンスや詳細な感想が省かれてしまったりする可能性があり、本来のユーザーの意見が反映されません。
たとえば、「ラーメンの味はどうでしたか」という質問に対し、「おいしかった」などの簡単な選択肢を選ばせて、そこからAIが文章を生成する場合、少ない情報から詳しく文章を書くために、拡大解釈や誇張表現が入るリスクがあります。AIが過去に学習した全く関係のない情報が入ったり、同じ表現ばかりを繰り返したりもします。それはある意味で、AIによる捏造、改ざんされた感想ということになりえます(島津氏)
お客様に選択式アンケートに答えさせ、それを元にクチコミを生成するサービスはいくつか存在するが、それらのクチコミは景品表示法の取締対象になるリスクがある。また、Google ポリシーにおいては「実体験に基づくもの」に違反する可能性が高いという。
ですから、少なくとも最低限、選択式アンケートではなく、「自由記述形式」のアンケートを採用するべきです。なぜなら、自由記述形式のアンケートなら、「ユーザーが紡いだ言葉を、AIが“つなぐ”」ことができるからです。
「ユーザーが言いたいことをそのまま反映できるツール」こそ、クチコミ支援サービスのあるべき姿です(島津氏)
クリーンなクチコミ獲得サービス「キキコミ」
ユニヴァ・ジャイロンが提供するクチコミ獲得サービス「キキコミ」では、こうした法的・ガイドライン的な問題を回避するため、徹底した対策を講じている。サービスの概要を詳しく見ていこう。
「キキコミ」は、お客様のリアルな声をもとに、質の高いクチコミを獲得できるクチコミ獲得サービスだ。来店のきっかけや目的、オーダー内容などの具体的な利用状況・感想について「自由記述形式」のアンケートでヒアリングし、AIがクチコミ文章作成をアシストする。
アンケートシステムを採用した理由は「ユーザーのインサイトを引き出しやすいため」だと島津氏は語る。同社の調査によると、「アンケートとクチコミのどちらが面倒か」という質問に対し、「クチコミが面倒」と答えた人は「アンケートが面倒」と答えた人の約2倍と、アンケートに答えるほうがハードルが低いと感じる人が多かった。また、約4割の人は、「アンケートの回答中に以前は意識していなかった事柄に気づいた」という。
キキコミを利用していただくことで、クライアントの皆様は「クチコミ」と「アンケートデータ」の2つの資産をもつことができます。ビジネスの改善やサービスの向上、マーケティングにおいて、持続的に収集されるデータは重要な資産です(島津氏)
キキコミが“クリーン”なサービスを実現した4つのポイント
キキコミが、ステマ規制やGoogleポリシーに違反しない、クリーンなサービスを実現しているポイントとして、島津氏は以下の4つを挙げた。
ポイント① 選択式ではなく「自由記述形式」を採用
キキコミは選択式ではなく「自由記述形式」のアンケートを採用している。利用者の感想がない場合は空白回答として処理し、クチコミとして文章化されない仕組みだ。あくまでユーザー自身の言葉をつなげて文章化するためのAIツールであり、実際には書いていない感想が反映されることはない。
ポイント② 最後にユーザー本人が文章を編集できる
アンケート内容から生成されたクチコミ案は、最後にユーザーが編集できるステップが設けられている。Googleのクチコミページへ遷移した後はキキコミ側は一切関与できず、利用者本人が「星をつける」「コピーした文章をペーストする」「投稿ボタンを押す」といった操作を行う。
ポイント③ 中立性が担保されたアンケートを作成
アンケートの質問項目は、店舗や事業者側ではなく、全てユニヴァ・ジャイロンが作成している。店舗側が質問を作ると、どうしても「良いクチコミを書いてもらおう」という意識が働き、誘導するような質問になりがちで、レビューゲーティングにつながる恐れがある。
たとえば、「一番おいしかった料理はどれですか?」という質問は、料理がおいしかった前提で質問しており、誘導とみなされてしまうためNGだ。
同社では、特定の回答に誘導しないよう、質問内容を精査するほか、中立を保つポイントとして、改善点を尋ねる設問を必須項目としている。
およそ20問ほどの質問を用意し、その中から7問がランダムに表示される仕組みです。必須で聞く項目も設定できますが、ランダム性を取り入れることで似たり寄ったりのクチコミばかりになることを防げます。サービスの中立性を保ち、より深みのあるインサイトを引き出すため、アンケートのチューニングにはとことんこだわっています(島津氏)
ポイント④ 法律やクチコミの専門家が監修
ユニヴァ・ジャイロンは自社だけでこうしたサービスを作り上げたわけではない。キキコミの中立性について、事前に複数の法律家やクチコミの専門家に監修をしてもらい、専門的な知識を踏まえた、“クリーン”なサービスとして作り上げた。
Googleビジネスプロフィールダイヤモンドプロダクトエキスパートである永山氏だけでなく、景品表示法に詳しい消費者庁出身の弁護士先生や、クチコミマーケティングの専門家などにあらかじめサービスを確認してもらい、「この内容なら問題はないでしょう」とお墨付きをいただきました(島津氏)
実のところ、島津さんから「クチコミとAIを使ったサービス」と言う言葉を聞いたときは、「そのサービス、大丈夫かな?」というのが正直な感想でした。現在において生成AIの活用はまだ課題が多いですし、気づかないうちにガイドラインに抵触してしまう恐れがあるためです。実際にAIを使い、問題視されるようなサービスを展開している支援企業もあります。しかし、実際に完成したキキコミの内容を見てみると、非常にフラットで公平性のあるサービスであることがわかり、安心しました。
ともすれば、今回のようなAIを活用するツールは、意識せず悪い方向に行く可能性があります。アンケートを記述式にすることで公平性を担保するなどの工夫は、AIをうまく活用するひとつの正解例を作られたのではないでしょうか(永山氏)
後発の類似サービスもいくつか存在するが、キキコミはオリジナル製品として、現在、特許出願中だという。
事例:ヤマハバイクレンタルが2ヶ月で20件以上のクチコミを獲得
キキコミの導入でクチコミ獲得に成功した事例を1つ紹介しよう。
全国に80店舗を展開する「ヤマハ バイクレンタル」の大森店では、「良質なクチコミを増やす」ことを目的にキキコミを導入。レンタルバイクの返却時にQRコードを通じたアンケートを依頼し、クチコミまでスムーズにつなげるフローを確立したことで、サービス導入からわずか2ヶ月で20件以上のクチコミを獲得できた。
クチコミが1件しかなかった状態から、中身のある良質なクチコミが一気に20件も増えました。数を増やすというだけでなく、消費者のインサイトをきちんと引き出した結果です。
キキコミは小さな店舗でも導入可能な金額でご提供しており、短期間で成果を実感できます(島津氏)
クチコミのあるべき姿とは? 公平な評価を実現するために
ここまで説明してきたように、クチコミ獲得サービスには、危険なツールも多くまぎれているのが現状だ。島津氏は、「景品表示法やGoogleポリシーに準拠したクリーンなサービスが、この業界のスタンダードになるよう、私たちも使命感をもって取り組んでいます。皆様には、今選ぼうとしているサービスが道徳的に正しいかどうか、一度立ち止まって考えていただきたい」と呼びかけた。
お客様・お店側・プラットフォームの三方よしのサービスを作るためには、全員が意識を変えていく必要があります。今回の記事が、クチコミの在り方やAIの活用について、改めて考えるきっかけになれば嬉しいです(永山氏)
キキコミは今後、自社でECサイトを展開する企業向けのクチコミ獲得サービスの提供も計画している。リリース間近とのことなので、気になる方はぜひチェックしてほしい。
ユニヴァ・ジャイロンが提供する「キキコミ」は、自由記述形式のアンケートによって得られたユーザーの具体的な感想を、AIが文章として“つなぐ”ことで、文章を書くハードルを下げ、手軽にクチコミを投稿できるツールだ。AIが文章を生成するサービスとは異なり、捏造・改ざんにはならない。
景品表示法やGoogleポリシーにも準拠しているため、法律違反やポリシー違反になることもなく、安心して利用できる。
- クチコミの数がなかなか増えない
- 内容が薄い、参考にならないクチコミが多い
- 悪いクチコミが目立ってしまう
- 検索流入を強化したい
- アンケートとクチコミ、2つの資産を同時に蓄積したい
そんな悩みを持つ店舗・事業者は、「キキコミ」で集客力や信頼性の向上を目指してみてはいかがだろうか。
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