独自開発「ブロックテンプレート」により大規模Webサイトに自由と使いやすさを―キノトロープのCMSソリューション
キノトロープは、1993年にWebサイト制作のビジネスに乗り出して以来、上場企業を中心に1,000社を超える企業をクライアントとしてCMSソリューションを提供している企業だ。「すべては問題解決のために」CMSを活用してクライアントのビジネスに貢献できるWebサイト構築を実践している。大規模CMS構築でも豊富な実績を積み上げ、100社を超える企業が、ブロックテンプレートを導入してWebサイトを運用している。
同社のCMSソリューションとはいかなるもので、何を目指しているのか。キノトロープのキーパーソンに話を聞く。
30年の歴史と実績により培われたCMSソリューションの中核技術
日本におけるWeb制作会社の草分け的な存在であるキノトロープは、1995年というきわめて早い時期からCMSの構築を手がけ、技術に磨きをかけてきた。その開発成果の1つであり、同社が提供するCMSソリューションの中心を成す仕組みが「ブロックテンプレート」と呼ばれる技術だ。この技術の開発に至った経緯について、キノトロープ 代表取締役社長の生田 昌弘氏はこう説明する。
「CMSは本来、コンテンツ(情報)とレイアウト(ページ構成やビジュアルデザイン)を一元管理し、大規模Webサイトの構築・運用を効率化・簡素化する仕組みです。しかし、一般的なCMSは、デザインやコンテンツの管理に『WYSIWYGエディター』や『テキストボックス』を使用しており、WYSIWYGエディターを使ったCMSはデザインの自由度が高すぎてガバナンスがとりにくくなるという問題が、テキストボックスを使ったCMSは、コンテンツの並び順の変更や新しい項目の追加が難しく、それを実現するために外部の制作会社にテンプレート更新を依頼せざるを得ないといった問題があります。こうした問題を解決し、CMSに対するお客様の満足度を高めるために開発したのがブロックテンプレートです」。
企業におけるWeb担当者やWebサイトの管理者は、多くがWebサイト運用を内製化してコストを抑えたいと願っている。生田氏によれば、ブロックテンプレートはその要求を満たすための仕組みでもあり、同社が展開しているCMSソリューションの中核として機能しているほか、他社のCMS製品にもOEMで採用されているという。
「ブロックテンプレート」がもたらす変革
ブロックテンプレートは、一般的なCMSのようにWebページ単位で更新・管理を行うのではなく「見出し」「本文」「キャッチ」「画像」といったページ要素単位で、コンテンツの更新・管理を行うための技術だ。この技術によって、ページ要素をブロックのように積み上げていきながら、Webページを構成することが可能となる(図1)。
また、ブロック化されたページ要素は、テンプレート内の指定個所に自由に挿入することができ、コンテンツ更新を行う担当者は、1つのテンプレートからさまざまなパターンの表示フォーマットを生成することが可能だ(図2)。
加えて、ブロックテンプレートでは、ページに要素を追加したり、要素の並び順を変更したりするのも容易である(図3)。
「ブロックテンプレートでは、ブロックの定義も、それを使ってページを構成するのも、ページ要素を追加したり、要素を並び変えたりするのもきわめて簡単です。HTMLなどの知識があまりない一般のビジネスパーソンでも扱うことができ、少しの学習でコンテンツの更新が行えるようになります。ゆえに、レイアウト変更のニーズが発生するたびに社外の制作会社にテンプレート更新を依頼する必要はなくなり、Webサイトの運用コストを低減させることが可能です」と、キノトロープ 執行役員 開発部 部長の髙橋 輝氏は説明を加える。
ブロックテンプレートでは、テンプレートの組み合わせによってページを作り、それを複製することで、オリジナルのテンプレートを作成することもできる。これにより、オリジナルのテンプレートを1から作る必要がなくなり、テンプレート数を必要最小限に抑えることが可能になる。
さらに、ブロックテンプレートを使ったWebサイトの運用は、管理者が定義したブロックを、コンテンツ更新の担当者が目的に応じて選択し、使用するかたちで行われる。そのため、Webサイト全体のデザインに統一性も持たせるガバナンスの手間も低減される。
大量のコンテンツを扱う大規模Webサイトで実績を上げる
ブロックテンプレートを使ったCMSは、大規模Webサイトを運営するおよそ50社の日本企業に採用されている。
「ブロックテンプレートは、Webサイトで扱うべきコンテンツが大量にあり、そのコンテンツをさまざまなページに表示させる必要があったり、コンテンツの更新が頻繁に発生したりするような大規模Webサイトの構築・運用に適した仕組みです。こうしたサイトを運営し、かつ、運用の内製化に取り組む大手ホテルチェーンや大手メーカーなどを中心に活用が進んでいます」(生田氏)
例えば、空気圧機器の製造・販売を手がける某メーカーでは、SKU(在庫における最小単位)にして28万点に及ぶ製品の情報やCADデータ、カタログデータなどを扱うWebサイトのCMSを、ブロックテンプレートを使い刷新。キノトロープが提供したCMS上で3万ページを超える製品詳細ページを展開し、内製で運用している。
また、多彩なIT機器を取り扱うソリューションプロバイダーも、ブロックテンプレートを使ったCMSによって多数のドメイン、ページ、コンテンツを一元管理し、一貫したブランドイメージを打ち出している。
技術とノウハウの融合でWebサイトの内製化をバックアップ
以上のとおり、ブロックテンプレートは大規模Webサイト構築・運用の効率化、内製化を支援する優れた仕組みであり、その存在が、キノトロープのCMSが多くの企業から支持される理由の1つになっている。
加えて同社には、大規模Webサイト構築において相当の実績と経験がある。それを通じて培ってきた大規模CMS構築のノウハウやドメイン統合、Webサイトガバナンスに関するノウハウも大きな強みといえる。また、同社の人員のおよそ半数がエンジニアで占められており、Webサイトのサーバインフラやセキュリティ対策、外部ツール連携などに関する造形も深い。そうした技術力も同社の優位性のひとつだ。
この点に関連して、キノトロープ 執行役員 制作部 部長の濱田 優氏は次のように付け加える。
「大規模Webサイトの構築を数多く手がけてきた当社には、多数の関係者を巻き込みながら、大掛かりなプロジェクトを淀みなく推進するためのノウハウが蓄えられています。数多くの関係者が関わる大規模Webサイトの構築プロジェクトでは、推進の過程でWebサイト構築の方向性が当初の計画からズレてしまうなど、さまざまな問題に突き当たります。弊社では、そうした問題を社内の人員だけでワンストップで解決することができ、それも当社の強みになっています」。
この言葉を踏まえながら、生田氏はこう話を締めくくった。
「プロジェクト推進の能力にせよ、技術面のサポート力にせよ、ブロックテンプレートの技術にせよ、当社のソリューションを構成するすべての要素は、お客様が大きな成果を手にするために提供されるものです。その成果の1つとして当社が追求しているのが、Webサイト運用の内製化によるコスト削減です。当社はその実現に向けて、必要な技術とサービスの提供に力を注いでいきます。ぜひ、これからもご期待ください」。
株式会社キノトロープ
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