新型コロナが“追い風”になったのは「B2Bクラウド」業界、100サイト緊急調査で2極化が判明【WACUL調べ】
WACUL(ワカル)の社内研究所であるWACUL Technology&Marketing Lab.は、コロナ禍が業界に与えた影響について、調査分析した結果を発表した。B2Bクラウド(ECパッケージ、グループウェア、遠隔会議・テレビ会議、営業・マーケ、事務効率化、情報収集、HR-Tech)、ブライダル(フォトウェディング、プランナー、結婚指輪)、旅行(ポータル、レジャー施設、宿、旅行代理店)の3業界・14領域の100サイトが対象。2019年2月から2020年4月までの訪問数およびCVRの推移を追った(2019年2月を100とする形で指数化)。
B2Bクラウド業界は訪問数が激増、CVRが追いつかないほど
まず、今年に入りコロナ禍が発生。4月になると「緊急事態宣言」が発令されるなど、国内経済は大きな打撃を受けた。特に、飲食、イベント、芸能、娯楽など「密閉・密集・密接」の3要素が絡む「3密業界」は、大きなダメージを受けた。一方で、テレビ会議サービス、テレワーク機材、自宅オフィス化用品など、リモートワーク関連の一部企業は急成長を見せた。
まずB2Bクラウド業界全体のサイト訪問数は、2019年2月比で150%になり、2020年に入ってから増加し続けている。もともと成長領域ではあったが、コロナショックの“追い風”を受けた典型例と言える。
CVR推移では、2019年は正直低調だったが、2020年は増加。訪問数自体も大幅増となったため、CVRは微減傾向となった。2019年は4月に入ると大きくCVRが下がっていたが、今年は微減しても高い水準を保ったままだ。
なかでもB2Bクラウドのうち「遠隔会議・テレビ会議」領域は、2020年2月には2019年2月比で250%、2020年3月に500%、そして2020年4月には1,000%超と、10倍の訪問数に成長した。CVRは訪問者が急増しすぎたため、2020年3~4月は100%を切ったが、4月は3月より上昇しており、訪問数急増を超える勢いでニーズが高まっていると考えられる。
同様の傾向は「グループウェア」領域でも見られ、こちらは特に4月の需要が強く、CVR推移も100%超えを2020年は維持している。
このようにB2Bクラウド業界は、コロナショックの“追い風”を受けた業界とおおむね言える。そのため注目すべきは、需要への対応力としてのCVR推移であり、グループウェア領域はうまくニーズをすくい上げたと考えられる。
旅行業界は大打撃、とくに「レジャー施設」はCVRがゼロ水準まで落ち込む
逆に「旅行」業界は、コロナ禍の悪影響、とくに外出自粛の悪影響を大きく受けた典型例だ。交通、宿泊、アクティビティなどすべてのセグメントが大きな被害を受けている。
旅行業界全体のサイト訪問数は、2019年2月比で2019年12月は116%と増加していたが、今年に入り減少に反転。4月には40%水準まで下がった。2020年1月には増加を見せているが、WACULでは「キャンセルなどを含む情報収集だった可能性」を指摘している。CVRを見ると、2020年2月~4月は100%を切っており、減少傾向が見られる。
とくに悪影響を受けたのが「旅行代理店」領域で、訪問者数は4月に22%まで低下。CVRも4月は50%を切っている。訪問者数8割減、CVR約半減ということは、実質CVは9割減と算出される。
参考に「レジャー施設」領域を見ると、訪問数が3月62%、4月34%と急減しており、新型コロナの直接的影響より、外出自粛要請や緊急事態宣言の影響を見てとれる。施設予約やチケットの先行販売が難しいサイトが多いため、とくにCVRは敏感に反応し、ゼロ水準にまで落ち込んだ。
調査概要
- 【調査対象】「AIアナリスト」に登録された、B2Bクラウド(ECパッケージ、グループウェア、遠隔会議・テレビ会議、営業・マーケ、事務効率化、情報収集、HR-Tech)、ブライダル(フォトウェディング、プランナー、結婚指輪)、旅行(ポータル、レジャー施設、宿、旅行代理店)の3業界・14領域のサイト
- 【調査期間】2019年2月~2020年4月
- 【調査方法】調査ツールとしてAIアナリストを使用。CVRは、お問い合わせ、資料請求、無料トライアル、予約など、各Webサイトによって厳密には異なるが、本レポートでは単純合算で算出
- 【調査数】コンバージョンポイントが極端な事例ではない100サイトをピックアップ
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