数字でわかる最適レンタルサーバー

本当に必要なリソースの「数字」は?

レンタルサーバー選びの基本要素について理解したところで、ディスク容量、転送量、メールアドレス数といったリソースがどの程度必要となるかを、メールとウェブサイトの使用状況ごとに計算してみる。

メールで使うリソース量

まず、メールで使うリソース量を、例を使って算出してみる。ここでは、「条件一覧(メール)」に挙げたとおり、事業所の規模や利用頻度などによって分類し、それぞれの場合でメールを利用する際に消費されるリソースを算出する。算出する際の条件は「条件一覧(メール)」の「利用条件」のとおりとした。

条件一覧(メール)

事業所の規模

  • 大規模:従業員数200人
  • 中規模:従業員数100人
  • 小規模:従業員数10人

利用頻度

  • 利用多:1人当たり100通/日(平均)のメールを送受信
  • 利用少:1人当たり20通/日(平均)のメールを送受信

利用条件

  • 添付ファイルのないメールは20KB
  • 受信メールの10%は添付ファイル付きでメールのサイズは合計500KB
  • メールは22営業日に集中(土日は流量低)
  • 長期休暇により、最大10日程度は全員のメールがサーバーに保存されたままになる
  • 全社共通のアドレスが10個(送受信などの条件は社員と同じ)
  • 備を考慮して全社員数の1.5倍のアカウント数を用意

なお、200人を超える大規模な事業所も数多くあるが、この場合はスペック上の理由から専用レンタルサーバー以外に選択肢がないため、ここでは上限を200人までとした。

このような条件で、必要なディスク容量(全体でのディスク容量と、1メールアドレス当たりのディスク容量)、月間転送量、必要メールアドレス数を計算した結果をまとめたものが表1「事業所規模・メール利用頻度別のリソース利用量」となる。

表1 事業所規模・メール利用頻度別のリソース利用量
(1GB=1,000MB=1,000,000KBとして計算)

たとえば、中規模な事業所でメールの利用頻度が高い場合の必要なディスク容量と月間転送量の計算方法は、「計算式の例」のとおりとなる。

計算式の例(メール、中規模で利用頻度が高い場合の例)

必要なディスク容量
 =(100人+全社アドレス10個)
 ×(10通×500KB+90通×20KB)×10日
 =7,480,000KB
 ≒7.5GB

月間転送量
 =(100人+全社アドレス10個)
 ×(10通×500KB+90通×20KB)× 22日(送受信)
 =16,456,000KB
 ≒16.5GB

このように計算してみると、200人規模でメールを多く使う事業所の場合、実に14GBのディスク容量が、メールだけでも必要で、10人規模でもメールを多く使う場合は1.3GBを超える容量が必要になる。メールは意外とディスク容量を消費するものだということが、これで実感できたのではないだろうか。

もちろん、休暇期間中のメールのたまり方など、やや保守的に計算してはいるが、ディスク容量に制限があるコースを選ぶときは、メールの運用に十分気を使う必要があることは理解できただろう。たとえば、利用者にメールソフトでの「サーバーにメールを残す」設定を避けてもらったり、使わなくなったアドレスは削除するといった、メールがたまらないようにする工夫が必要になる。

ウェブで使うリソース量

次に、ウェブサイトで必要になるリソース量を、例を使って算出してみる。ウェブサイトの場合は、事業所の規模ではなく、サイト自体の規模で考えるのが妥当だろう。したがって、ここでは「条件一覧(ウェブ)」に挙げた条件にしたがって算出してみる。

条件一覧(ウェブ)

ウェブサイトの規模

  • 大規模サイト:総ページ数100
    (サイズ大のページ:80、サイズ小のページ:20)
  • 中規模サイト:総ページ数40
    (サイズ大のページ:25、サイズ小のページ:15)
  • 小規模サイト:総ページ数10
    (サイズ大のページ:2、サイズ小のページ:8)

アクセス数

  • アクセス多:5000PV/日
  • アクセス中:2500PV/日
  • アクセス少:500PV/日

運用条件

  • サイズ大のページは200KB程度
    (20KBの画像が10枚と仮定、テキスト部分は無視)
  • サイズ小のページは50KB程度
    (10KBの画像が5枚と仮定、テキスト部分は無視)
  • 画像含む全ページは前後各1世代のファイルをサーバー上に保存
  • すべてのページが均等にアクセスされると仮定

その結果をまとめたものが表2「サイト規模別のディスク使用量と転送量」になる。

表2 サイト規模別のディスク使用量と転送量(1GB=1,000MB=1,000,000KBとして計算)

たとえば、中規模でアクセス数が中程度(2500PV/日)のサイトでの必要なディスク容量と月間転送量の計算方法は、「計算式の例」のとおりとなる。

計算式の例(ウェブ、中規模サイトでアクセス数が多い場合の例)

必要なディスク容量
 =((25ページ×200KB)+(15ページ×50KB))× 3世代
 =17,250KB
 ≒17.25MB

月間転送量
 =(
   (5000PV ×(25÷40ページ)×200KB)+
   (5000PV ×(15÷40ページ)×50KB)
   )×30日
 =21,562,500KB
 ≒21.6GB

メールと比べると、必要なディスク容量はかなり少ないのだが、転送量はアクセス数によってはかなり多く必要になってくる。

もっとも、アクセス数が多い場合として想定した5,000PV/日という値は月間に換算すると15万PVであり、特に有名な企業や有名サイトではない限り、この値を気にする必要はないだろう。だが、逆にこれくらいのアクセス数を目指すサイトを作るのであれば、転送量の制限を気にせずに運用できるレンタルサーバーを選ぶべきだといえる。

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