[マンガ] クライアントの耳はロバの耳 #1 とりあえずイイ感じでお願いします!
クライアントの耳はロバの耳
制作会社とトラブルを起こさない発注の心得
TEXT:益子 貴寛(サイバーガーデン) SCRIPT:加藤 さこ ILLUST:田中 斉
ウェブサイト制作会社にとって、クライアントはいわば王様的な存在。その要望を可能な限り叶えるのがウェブディレクタの使命なのだが、ときにはクライアントのトンデモナイ要求に対して、「クライアントの耳はロバの耳!」と叫びたくなることもあるのだ。
この連載では、ウェブサイト制作の現場で起きるさまざまなトラブルを紹介し、その原因を探り、解決法を紹介していく。
今回の登場人物
上辺さん(34歳)
ウェブ好きで、技術能力、コミュニケーション能力の高い、やり手ウェブディレクタ。ストレスを顔に出さないように気を付けている。路端くん(37歳)
勤めている会社でウェブサイト関連の仕事を担当しており、制作会社とのやりとりを任されている。上司に言われたことをそのまま伝えてしまう、ちょっぴり考えが足りないお調子者。押野課長(43歳)
路端くんの上司で、部下に厳しいゴリ押しタイプの中間管理職。ウェブの知識は自分では持っていると思い込んでいるが、実はシロウトレベルだ。社長(60歳)
炉端くんが働く会社の社長。しっかりとした企業理念を持っているが、ウェブの知識はほとんど皆無。まれに押野課長に鋭い突っ込みを入れることもある。
- 押野課長: わが社のウェブサイトは若々しさがないと不評なようです。 このリニューアルでイメージを一新しましょう。 社長のお好きな青で統一したらどうです?
- 社長: うむ、いい感じだね。よし、青でいこう。 カッコ良くしてくれよ。
- 路端くん: そうですねー。 イイ感じですねー。
- 路端くん: 色は青で、イイ感じにお願いしますー。
- 上辺さん: あの……青といっても、具体的には、どんな青を使いますか?
- 路端くん: えーと、イイ感じの青です。 社長が青、好きなんで。
- 上辺さん:だ、か、ら、イイ感じの青ってどんな色なんだよ!!!
- 路端くん: えっ、とりあえず、イイ感じでお願いしますー。
マンガの中で、路端くんの耳がなぜロバと化したのか。そう、「イイ感じ」というのがトンデモな表現だったのだ。
ニュアンストークは、もっとも危険なミスコミュニケーション原因の1つだ。路端くんは、どんな青なのかを具体的に表現していなかった。色だけでなく、ウェブサイトを「イイ感じに」では、手のつけようがないというのが制作会社のホンネである。
この場合、Web担当者としての対処法は2つある。まず、会議の中でイメージに近いサイトを選び、制作会社に伝える「論より証拠法」。1つのサイトに絞る必要はなく、いくつか選んでもいい。とにかく実際のサイトを見ながら検討すること。それが会議の過程で会話が食い違うことを防いでくれるだけでなく、制作会社に対してはっきりとしたイメージを伝えることにもつながるのだ。この方法を取れば、制作会社からもイメージに近いサイトや、過去の案件実績を紹介してくれるかもしれない。
次に、制作会社に協力してもらい、YES/NO形式のチャートを作ってイメージを落とし込む方法もある。「こういう感じならこういう色、こういうデザイン」というセオリーがあり、YES/NOチャートでうまく当てはめることができるのだ。今回マンガのように決定権を持つ上司や、インターネットリテラシーが低い社長の場合YES/NOチャートでざっくりとイメージを落とし込む方法が特に有効だ。
- 実際のサイトを参考にイメージを固める
- YES/NO形式のチャートをつくり、イメージを落とし込む
- イメージに近いサイトを選んで、制作会社に伝える
- ニュアンストークをそのまま制作会社に伝える
- 「赤」「青」「緑」といった漠然とした色で会話を進める
- サイトの目的がはっきりしないままイメージについて話し合う
コメント
この連載でいうところの路端と同じポジショ...
#2 も読みましたが、酷い内容ですね。
これ、本気で「路端」たちに変わって欲しいと思って書いてるんですか?
製作側の目線で書いても、愚痴にしか見えませんよ?
こんな一方的に人を小馬鹿にしたもの読まされたら「自分が悪かったのか」と反省する前に怒りますよ、よっぽどお人好しでもない限り。
こんな連載企画、誰が通したんですか?
目的は「知ってもらい」「わかってもらう」...
編集部の安田です。
厳しいお言葉のコメント、編集部として真摯にとらえたいと思います。
まず、この連載についての解説ページで、「クライアントの耳はロバの耳」の狙いなどの記述を、もう少しわかりやすく追加しました。
そのうえで、まさに読んでいただきたかった方からのこのご意見について。
この連載の目的は、「制作会社はこんなことがあると困ってしまう」ということを、まず知ってもらって、そのうえで、どうすればいいかを理解してもらうことです。
そういった意味で、「知ってもらう」部分に関しては役割が果たせているのは認識できました。
さて、問題は「どうすればいいのかを、わかってもらう」部分ですね。
マンガだけでなく、そのあとの解説まで読んでいただければ、小馬鹿にするのが目的ではないことはわかっていただけると思うのですが、そこに行くまでに腹がたってしまったということですよね。なるほど。
「制作会社はこんなことで困っている」という内容をさらっと文章で出すだけだとピンとこないだろうということで、わかりやすくマンガにして、せっかくマンガにするのならばマンガ的なストーリーでと考えたのですが、少しその方向に強く行き過ぎたかもしれませんね。
コメントではなくメールでいただいている他の方からのご意見も併せて、関係者の方々と相談してみます。
厳しいお言葉ではありましたが、こういったことを編集部にお伝えいただけるのは、非常にありがたいです!
同じポジションで同じ思考回路なんじゃない...
結局、クライアントで金払ってんだから何でも言う事聞けとか、そんな連中が多いのは「事実」。
制作会社にシロートが間違ったことを押し付けた所で結果的に成功なんてしえない。
制作会社側はデータ掲示したり、数理論理的に説明しても、感情論振りかざされて押し切られ、デタラメがまかり通る。
Re: 同じポジションで同じ思考回路なんじゃな...
編集部の安田です。コメントありがとうございます。
これはウェブサイト制作に限らず、SIerでも広告代理店でも、それこそ洋服やでも同じことはあるんですよね。
特にウェブサイトの場合は、たとえばホームページビルダーでちょっと作ったり、ブログサービスを使ってブログを書いたりとかをウェブの素人でもやろうと思えばすぐにできちゃうので、発注側が「自分はわかっている」と思いこみやすいんですよね。
そのあたりの「うっかり発注側が勘違いしたままになってしまいがち」な部分を、この連載で明らかにして、どうすれば良い方向に物事を進められるかをわかりやすく説明したいと思っています。
発注側も、受注側も、良い仕事をして良い結果を得られるようになっていくといいですよね。