「Think Visibility」カンファレンスを振り返る(後編)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。午前中のセッションについてまとめた前回に引き続き、後半に当たる今回は、午後に行われたセッションについてお伝えする。
SEO(デイブ・ネイラー氏)
講演でいつも人を楽しませてくれるネイラー氏は、SEOの基本に関する短くて魅力的なプレゼンを行った。
ネイラー氏は、SEOは安価ではないし、ランキングを保証するものでもなければ、4週間程度で効果が出るものではないと釘を刺した。同氏はまた、コンテンツがどれほど重要かを説明し、これといって検索順位を引き上げてくれそうなリンクもなしに、上質のコンテンツがあるという強みだけで、競争の激しいクエリで検索上位を獲得しているサイトの実例をどれほど多く見てきたかを語った。非常に興味をそそられる話題だった。
ネイラー氏はさらに、検索エンジンが今後トラフィックの出入りをWebサイトの評価基準として用いるようになれば、(SEOとしての)僕らの仕事は劇的に変化せざるを得ないだろうと述べた。
ネイラー氏はここまでの話を一通り済ませると、オフレコのトークに移り、興味深くて魅力的な各種の話題について語ったが、それだけでもカンファレンスの料金に値する内容だった。同氏は特に、「必殺」サイトについて時間を割いて語った。そういったサイトからリンクを購入すると、そこからリンクされているサイトが自動的にインデックスから追放されるというのだ。僕はこの話に驚いたが、なぜそんなことが起こるのかは大体理解できる。ネイラー氏が示した唯一の具体例(残念ながらオフレコなので明かせない)では、リンクの購入価格が非常に高かったが、とても興味深い分野だ。ただし、普通のなサイトでは心配しなくちゃいけないようなものではないということを理解できるほど、聴衆がSEOに精通していたのかどうか、僕にはわからない。
その後で僕は、Suma(英国の健康食品ブランドで、つい最近通販サイトを開設した)に勤めているエイミー・ビートン氏のとなりに座ったんだけど、英フェアトレード財団のような非常に強力なサイトからの(純正で自然な)リンクのせいでSumaのサイトがインデックスから追い出されてしまうのではないかと心配していた。僕はビートン氏をなだめて、これらのリンクはすばらしいもので何の害もないと説明したけど、同じようにネイラー氏の話で不安になった人が大勢いたんじゃないかと思う。
ネイラー氏のプレゼンからは多くのことを学んだし、持ち帰って考えるべきことがらも(ブラックハット的なものもホワイトハット的なものも)少しあった。
評判管理(僕!)
その後は評判管理に関する僕のプレゼンだった。僕はついうっかり、自分の名前で検索結果ページを管理する最も効果的な方法は、インターネット上で50ポンドを払ってタイ人女性と結婚し、名前を変えることだと言ってしまったかも。ここで改めて念を押したいのは、こうしたことは僕らが顧客に提供しているサービスではないということなんだ……(^^)。それでも、聴衆は僕のプレゼンを楽しんでくれたようだ。これについてTwitterでつぶやいてくれた人たちに感謝してるよ。
更新情報:Distilledのサイトに掲載されている、評判管理のプレゼン用のスライドで、僕が使ったスライドをすべて閲覧できる。
SEO(パトリック・アルトフト氏)
僕はプレゼンを控えたアルトフト氏と話したんだけど、これまでカンファレンスで本格的に話したことがないから落ち着かないと言っていた。これは僕にとって意外だった。だって、自分の専門分野について熟知した人物だし、実に話がうまいからね。遠からずスピーチに招かれる機会が増えるといいね!
アルトフト氏の話の主題は、ホワイトハット的手法によるリンク構築と、3つに大別できるリンクの種類についてだった。
- TrustRankを向上させるリンク――BBCやGuardianからの外部リンクなど
- PageRankを向上させるリンク――自分のニッチ分野における良質なサイトからのサイトワイドリンク(サイト内のページすべてからのリンク)など
- キーワードに的を絞ったリンク――リンクのアンカーテキストをきっちりと管理できる、記事サイトやディレクトリなどからのリンク
アルトフト氏は要点を明確に説明し、これら3種のリンクすべてを獲得するために実践できる良い例を挙げた。また、リンクを構築する際に必要なのは、以下の2ステップの手順に従うことだけだという重要な点を指摘した。
- 自分のサイトが必要とするリンクのタイプを特定する
- その獲得に向けて行動を起こす
アルトフト氏は、99%の人は第1のステップを行わないと言っていたけれど、それはおそらく本当だと思う。ただし、第2のステップを実行していない人も大勢いる!!(みんな、とにかく行動だよ!)
最後にアルトフト氏はQDF(Query Deserves Freshness:話題の新鮮さ優先の検索)アルゴリズムについて述べ、最新ニュースを真っ先に取り上げれば、同じ話題を扱う大手サイトより上位を狙えるだけのPageRankが与えられていない場合でも、最新のクエリによる順位獲得について途方もなく有利な立場に立てると説明した。
アフィリエイト・マーケティングで生計を立てる方法
(キーロン・ドノヒュー氏)
ドノヒュー氏のプレゼンもアフィリエイトに関するもので、先に行われたカールトン氏のプレゼンの内容と似ていたが、まったく異なる題材を扱っていた。実際、2人の話は互いがうまく補完しあうような内容だったんだ。
ドノヒュー氏は、貧弱ではない、内容豊かなアフィリエイトサイトの構築について語り、これまでに意外なものから儲けた方法(そして、彼のやり方を真似る方法)について、実体験を例に説明した。これについてはここで詳しく書けないけど、すばらしいことにドノヒュー氏は、聴衆が話の内容を具体的に理解できるよう、スライドの中で実際の数字を示していた。
ドノヒュー氏が指摘したポイントのうちとりわけ興味深かったのは、決してコンテンツを削除するなということだ。同氏は、古い投稿の検索順位がいきなり再浮上して、大きな収益をもたらすのを経験してきた。これは、特に季節的な要因で検索頻度が変化する検索語(ブランド名+「セール」など)を考える場合、役立つポイントだ。
ドノヒュー氏も一番乗りの優位性(これについてはパトリック・アルトフト氏も触れていた)を強調し、アフィリエイト・マーケティングにおいて、どうやればそれを自分に都合よく利用できるかについても語った。
まとめ
全体として、質の高い話がたくさん聴けて、実に楽しい一日だった。だから、このカンファレンスを主催し、僕を講演者として招いてくれたドミニク・ホジソン氏に感謝したい。本当にありがとう!
建設的なフィードバックとして、次回に向けて改善できそうだと思うポイントをいくつか挙げておこう。
- スケジュール情報の改善――スケジュールを印刷したものが配布されなかったので、かなりの人数が困惑していた。僕自身もこの日のうち数回、何時にプレゼンが始まるのか、どの部屋で誰が講演を行うのか、わからなくなることがあった。
- プレゼンの内容に関するより詳細な情報――今回のカンファレンスにおいて、アフィリエイトとSEOに関するプレゼンがそれぞれ2回ずつ行われた。内容が重なることはなかったので、実際はうまく行ったが、各プレゼンで独自の視点を提供すればもっと良かっただろうと思う。そうすれば、参加者はどちらのプレゼンに参加したらいいか、もっと簡単に決めることができただろう。
- オンラインでプレゼンを見られるようにする――これはSMXに関して僕がとても気に入っている売りで、カンファレンス終了後にサイトを訪問すれば、その日あったあらゆるプレゼンをダウンロードできるコーナーにログインできるんだ。これはすばらしい機能で、聴衆は無理してノートを取る必要がなくなるし、見逃してしまったセッションの情報も得られる。
すばらしいカンファレンスだったけど、僕はすでに次回を楽しみにしている。英国でSEOに関わるあらゆる人たちに、参加することを強く推奨するよ。
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