「Think Visibility」カンファレンスを振り返る(前編)
僕は幸運にも、この週末に英国のリーズで開催されたカンファレンス「Think Visibility」に参加でき、そこで評判管理に関するプレゼンテーションを行った。
Think Visibilityは1日限りのカンファレンスで、謳い文句はこんな感じ。
(前略)1日だけのミニカンファレンス。取り上げる対象は、ウェブ開発およびマーケティングの制作プロセスにおいて通常後回しにされてしまう分野――SEO、PPC、収益化、ブロギング、アクセシビリティ、ユーザービリティなど
次回のカンファレンスは9月に開催されるけれど、今回はチケット代がわずか30ポンド(4,000円強)と格安だった。参加した講演者のリストを見れば納得するよ! ブログやSEOに興味のある人に、このカンファレンスに参加することを大いに勧めたいし、参加費用の安さを考えればなおさらだ(とはいえ、次回は値上がりしそうな気もするけど)。
僕が参加したセッションを簡単に紹介しておこう。
検索エンジンを作ろう(ティム・ナッシュ氏)
朝一番のプレゼンの冒頭で、ナッシュ氏は白衣と赤い液体の入った4つのバケツを持ち込んだ。そのころ会場の後方では、カンファレンス主催者のドミニク・ホジソン氏が、心臓発作を起こしかねないほど心配しているのが見てとれた。僕らもみな、バケツの液体は何に使われるのか、会場がその後使えなくなるんじゃないか、と気がかりだった。
ナッシュ氏の話の主題は、検索エンジンがどのような仕組みで動いており、どんな経緯で登場したのかについてだった。問題のバケツは、PageRankとはどんなものか、Webサイト間を結ぶリンクがPageRankにどのように影響するかを説明するために使用された。確かに楽しいプレゼンだったけど、今までわからなかったPageRankのことがこれを見て理解できたって人が何人位いるんだろうな。それでも、ナッシュ氏は愉快な講演者だし、聴衆の入りも上々だったので、朝一番にしては励みになるスタートだった。
検索エンジンについて話した後で、ナッシュ氏は検索の将来へと話題を転じた。十分に興味深い内容だったが、僕の意見としては、特に目新しい話はなかったと思う。簡単に言えば、ナッシュ氏の意見は、SearchWikiやTwitter、あるいは同様のサイトのいずれかを通じて、検索の将来はソーシャルに向かうというものだ。
プレゼンの最後で、ナッシュ氏は参加者たちに対して、「that bloke in a white coat」(白衣を着たアイツ)というフレーズをグーグルで検索するよう求めたが、それは会場にいたデイブ・ネイラー氏のせいで初歩的な失敗に終わった。ネイラー氏は急いでブログ記事を作成し、このフレーズで数分の間にランクインさせてしまったんだ。まったくSEOマーケターの連中ときたら!
ブログの認知度向上(クリス・ギャレット氏)
次に登場したクリス・ギャレット氏は、ブログの認知度を高める方法について話した。彼が紹介した25のコツは、他のブログへのコメント投稿(基本)から、ポッドキャストの配信(より高度)まで、多岐にわたった。全体として、プレゼンは首尾良く行われたが、より高度なテクニックのいくつかについては時間が足りなかったかもしれない。ギャレット氏が説明したアドバイスのほとんどは、僕の知っているものだった。とはいえ、基本を聞く機会は決して多くないものだし、広い範囲にわたって貴重なアドバイスを網羅していた。
ギャレット氏が紹介した最も興味深いコンセプトは、「他のブロガーと協力してプロジェクトを展開する」というものだ。互いの興味や取り組みを組み合わせることにより、単独で行う以上に幅広いネットユーザーに到達できる。彼は、仲間のブロガーとともに「良い警官・悪い警官」を演じた興味深い例を示した。この中でギャレット氏は、相棒のブロガーが巻き起こした議論の静め役を演じている。どうやら、その役割を見事にこなしたようだ!
ギャレット氏は話し上手で、ところどころで愉快な文句が飛び出し、楽しませてもらった。1つだけ批判すべき点があるとすれば、ブログの露出を高める手段としてテキストリンク広告を推奨していたことで、これは多くのSEO業者たちも推奨しないと思う。事実、ブローカーを使ってリンクを購入することを推奨するSEOマーケッターなんて、最近ではそんなにいないんじゃないかな。
更新情報:ギャレット氏が連絡をくれて、リンクの購入を推奨したわけではないと語った。こちらのコメント欄に彼の書き込みがある。
アフィリエイトに関する話(アル・カールトン氏)
カールトン氏はとても愉快な人物で、アフィリエイト・マーケティングに関するすばらしいプレゼンを行った(その後、セッションの合間にパブで一杯ひっかけていた)。どういうわけか、彼のスライドがうまく表示されなかったせいで、僕らは一番上に「最適化」と書かれた真っ白なスライドを延々と眺める羽目になった。カールトン氏の名誉のために言っておくが、彼はなんとかプレゼンをうまくやり遂げ、以下のようなすばらしいコツを披露してくれた。
- アフィリエイト・プログラムを実施している場合は、アフィリエイト提供元の連絡担当者に、歩合の引き上げを要求してみよう。特に、大量のトラフィックを送り込んでいるのなら、依頼するだけでうまくいく可能性がある。
- ブログでアドセンスを利用している場合、どのような広告主が表示されるか(そして、ブログの内容と関連性があるか)を見てみよう。その広告主のWebサイトを訪れ、アフィリエイト・プログラムを用意しているか確認してみる。もしプログラムを提供しているなら登録し、アドセンス広告の代わりに、そのアフィリエイト・プログラムによる広告リンクを載せるといい。こうすれば、アドセンスを通じて広告を掲載するよりはるかに高い報酬が得られるはずだ(言うまでもなく、ページのレイアウトなども、もっと管理しやすくなる)。
- 運営しているサイトに複数の収入源がある場合、必ず、最も収益率の高いリンクをいちばん多くクリックしてもらえるようにすること。たとえば、カールトン氏のブログ「Coolest Gadgets」では、すべての投稿記事にアフィリエイト・リンクを掲載しているわけでなく、アドセンスやバナー広告なども利用している。アフィリエイト・リンク付きの記事を投稿する際、カールトン氏は他の広告を表示しないことが多く、時にはナビゲーションさえも非表示にして、できるだけ多くの人がアフィリエイト・リンクを使用するよう工夫している。
また、楽しい質疑応答のコーナーもあって、トラッキングやFacebook広告などに関する興味深い質問がいくつかあった。このプレゼンはとても有意義だと思ったけど、僕自身はアフィリエイトに関して初心者に近いんだよ!
ミステリー・トーク(ピーター・クーパー氏)
残念ながら、僕はこのプレゼンの冒頭を聞き逃してしまったので、「ミステリー・トーク」よりもっとましなタイトルがついていたのかどうかわからない。だが、「情熱!」というようなタイトルの方がふさわしかったと思う。情熱こそ話のテーマそのものであり、個人によるブランド構築と事業に対する情熱をどのように見出し利用するかについての話だったからだ。
クーパー氏はすばらしい講演者で、大胆にもスライドを使わず、首尾良くやってのけた。同氏は、オンラインビジネスの分野で自分自身が高く評価している人々について語り、その人たちがどのようにして成功したのかを説明した。特に「人が何を言うかではなく、何をするかに注目せよ」という言葉を重視していたが、これはもっともなアドバイスだ!
情熱を事業に転化し、それでいて楽しむことも失わずにいるにはどうしたらいいか。その輝かしいお手本として、クーパー氏は2つの実例を挙げた。ワイン情報をポッドキャストで提供しているゲーリー・ベイナーチャック氏と、Webサイトやソフトウェアのユーザーインターフェイスレイアウトツールを提供しているBalsamiq Studiosだ。
クーパー氏の話は刺激的で興味深く、確かに彼の熱意が聴衆にも伝わっていた! スライドを使用しなかったことはすばらしいと思うが、その一方で、クーパー氏が話題にしたサイトやコンセプトの一部については、もっとよく理解できたら良かったのにとも感じた。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。前半に当たる今回は、午前中に行われたセッションについてお伝えした。次回は、午後のセッションを見てみよう。→後編を読む
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