古い記事は削除すべき? 検索順位を維持するコンテンツ管理の仕方(後編)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。→ まず前編を読んでおく
この記事では、ニュースサイトなど膨大な量のコンテンツを抱えているサイトが、古いコンテンツを管理するうえで、SEOの効果を確認できる枠組みを紹介している。
前編では、「コンテンツ評価基準の策定方法」や「コンテンツの優先順位を決める採点システムの作成」などを紹介した。
後編となる今回は、戦略的な削除プロセスについて見ていこう。
戦略的な削除プロセス
コンテンツ監査
採点システムを導入している場合でも、戦略的なコンテンツ削除プロセスでは、まず包括的なコンテンツ監査を実施する。監査は棚卸しの役割を果たすもので、既存のコンテンツの全体像を把握したうえで、
- 古くなったコンテンツ
- 重複しているコンテンツ
- パフォーマンスの低いコンテンツ
などを特定するのに役立つ。
すべての記事、ブログ投稿、時間的制約のある更新を確認して、評価のための基本的なリストを作成しよう。監査が完了したら、採点テンプレートを適用し、次の点に基づいて各コンテンツを評価する:
- 維持コスト
- ユーザー価値
- 歴史的意義
- コンテンツの種類
このテンプレートによって、微妙に異なる評価が可能になり、「保持」「更新」または「削除するコンテンツ」の優先順位付けに役立つ。
パフォーマンスのベンチマーキング
採点が完了したら、コンテンツを削除する前に、次のような主要指標を測定してパフォーマンスのベンチマークを設定しよう:
- オーガニックトラフィック
- 直帰率
- クロール効率
- キーワードランキング
この基準データを使うことで、削除した後のパフォーマンスを比較し、「変更が有益だったか」「有害だったか」あるいは「どちらとも言えないか」を評価できる。
ベンチマーキングをしなければ、当て推量でやることになる。しかし、事前にデータを取得しておけば、コンテンツ削除後の数値と比較することで、次のことを明らかにできる:
- クロール効率が高まったか
- 検索のビジビリティが変化したか
- 特定のセクションのトラフィックが減少したか
これらの知見を活用してコンテンツ削除戦略を調整し、情報に基づいた意思決定をしよう。
ステークホルダーとのコミュニケーション
コンテンツの削除は、「編集」「マーケティング」「SEO」「法務」「コンプライアンス」など複数のチームに影響を与えるうえ、保持する価値のあるコンテンツや必ず保持するべきコンテンツについての見解はチームによって異なる。
Switch Key Digitalの共同創設者で検索担当責任者のジョージア・タン氏は、次のようにアドバイスしている:
意思決定にはすべてのステークホルダーを関与させ、各段階を通して明確なコミュニケーションを図ることを忘れないでほしい。読者のエンゲージメント拡大がもたらすメリット、SEOパフォーマンスの向上、サブスクリプション契約者の増加など、変更すべき根拠を明確に示そう
削除の優先順位についてステークホルダーの意見を一致させることで、次のことを保証できる:
- 価値のあるコンテンツを早まって削除しない。
- ブランドの評判や法令順守に不可欠なコンテンツを維持する。
- SEOとユーザー体験の目標を達成する。
技術的なコンテンツ削除
何の計画も立てずにURLを削除すると、リンクの価値(リンクエクイティ)を失うおそれがある。コンテンツを削除する目的は、単にDeleteキーを押すことではない。サイトの資産を分配し直してサイトの基盤を強化することだ。
技術的なコンテンツ削除のベストプラクティス:
目的を持ってリダイレクトする: 対象を絞った301リダイレクトを使い、削除したURLを関連コンテンツに送る。リンクの価値を保ち、被リンクの完全性を維持することになる。
サイト内リンクを維持する: 削除したコンテンツへの参照を更新または削除し、サイト構造を整理された状態に保つ。
- 削除後の指標をモニタリングする: 次のような問題をいち早く明らかにするためのチェック項目を設定する。
- クロールエラーの急増
- トラフィックの変動
- リンク切れのパターン
XMLサイトマップを更新する: アーカイブ化した記事や古い記事を定期的にサイトマップに含め、検索エンジンにその重要性を示す。
これらの要素をモニタリングすれば、問題を早期に特定してタイミングよく調整し、サイトのSEOの健全性を維持するのに役立つ。
削除リスクの軽減
コンテンツ削除のリスクを軽減するには、SEOやユーザー体験を損なわないように慎重に取り組む必要がある。効果的な戦略の1つは、価値のあるコンテンツを削除するのではなく、アーカイブ化することだ。コンテンツの価値について判断に迷う場合は、アーカイブ化するのが安全な選択肢となる。
古いコンテンツは、次の3つごとにグループ化した専用のアーカイブセクションに整理しよう:
- 日付
- カテゴリ
- トピック
図書館で古いコンテンツ用の棚を作るようなものと考えればいい。このようにコンテンツを構造化することで、ページが孤立するのを防ぎ、ユーザーや検索エンジンが引き続きアクセスできるようにしておく。
くり返しの多いコンテンツや冗長なコンテンツについては、コンテンツを統合し、複数の類似コンテンツを1つの高品質なリソースにまとめることを検討しよう。重要な情報を保持し、重複を減らし、ユーザー体験を向上させるのに最適な方法だ。
利用しやすくするための最適化
クロールの経路が非効率だと、重要な記事がサイト構造の奥深くに埋もれてしまったり、ビジビリティやSEOの効果が低下してしまったりする可能性がある。

このリスクを軽減するためのヒントには、次のようなものがある:
1. ハードコードしたページネーションを使用する
カテゴリページやアーカイブページに、「次」「前」「最後」のリンクを含めよう。「最初」と「最後」のリンクがあれば、検索エンジンはコンテンツの最初または最後にジャンプできるようになる。それによって、クローラーのリソースを節約し、コンテンツを見つけてもらいやすくできる。
2. JavaScriptのみのナビゲーションを避ける
「もっと見る」ボタンのような要素は、JavaScriptを利用しているものが多く、検索エンジンにとってはクロールしにくいかもしれない。代わりに、次の2つが有効だ:
- 従来型のページネーションを使う
- 「もっと見る」機能によって独自のクロール可能なURLが生成されるようにする
「もっと見る」機能を維持する場合は、動的に読み込まれたコンテンツから固有のURLやリンクが生成されるようにして、検索エンジンがたどれるようにしよう。たとえば、アンカータグ(<a href>)を使って特定のセクションやページにリンクできる。
持続可能なレビュースケジュールを設定する
持続可能なレビュースケジュールを設定することで、コンテンツの評価を1回限りのタスクではなく継続的なプロセスにできる。これにより、進化するニーズや目標に沿ったサイトにしておける。
持続可能なレビュースケジュールを導入するための3つの方法:
毎日のレビュー: 非常に動的なサイトであれば、日々の編集ワークフローによって、古くなった告知や暫定的な更新などの明らかな候補をすばやく削除できる。頻繁にチェックすることで、コンテンツの鮮度を保ち、早い段階で余計なものを減らせる。
四半期ごとのレビュー: 中期的に関連性があるコンテンツの場合は、四半期ごとにレビューを実施する。役に立つかもしれず、すぐに削除する必要はない最近の過去記事を判断しよう。
年次監査: 包括的な年次監査を実施し、古いコンテンツを徹底的に見直す。「関連性」「歴史的価値」「SEOのパフォーマンス」を評価し、「保持」「更新」または「削除すべきコンテンツ」を特定しよう。
結論: 継続的なコンテンツ管理でニュースサイトの有効性を保とう
トレンドやユーザーのニーズが進化するなか、ニュースコンテンツを定期的に評価することで、サイトの評判やパフォーマンスを支える高品質なアーカイブを維持できる。考え抜かれた継続的なコンテンツ管理によって信頼とオーソリティを築き、この先何年にもわたってニュースサイトの有効性を維持できる。
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