2025年のSEOはどうなる? 専門家3人がQ&A形式で12トピックを解説(前編)
このところ「検索」はあまりに変化が激しく、ついていくのが大変だ。ほとんどのクエリではRedditのようなユーザー生成コンテンツ(UGC)プラットフォームが上位に表示され、大手企業はサイトのブランドを不正利用させたアフィリエイトから利益を得ている。さらにSERPは変動しやすく、すばやく適応するのが困難になっている。
これらの変化を理解するために、Mozでは主要な専門家3人によるQ&Aセッションを開催した。その専門家とは、次の3名だ:
- トム・カッパー(Mozのシニアサーチサイエンティスト)
- ドクター・ピート・マイヤーズ(Mozのプリンシパルイノベーションアーキテクト)
- アマンダ・ナティビダッド氏(SparkToroマーケティング担当バイスプレジデント)
このまとめ記事では、2025年に重要となる注目のSEO関連トピック12個について、3人の知見を詳しく解説する。次のような読者なら、この記事で実用的なヒントが得られるはずだ:
- AIにクリックを奪われてしまうことを心配している人
- グーグルによる最新のアップデートからなかなか回復できずにいる人
- トラフィック元を多様化する方法を探している人
扱うトピックは次のようなものだ:
- SERPにおけるRedditとUGCプラットフォームの台頭
- 企業はどのようなUGCを求めるべきか?
- ヘルプフルコンテンツアップデートのねらいは何だったのか?
- 小さなサイトは、どうすればヘルプフルコンテンツアップデートから回復できるか?
- 検索は、グーグルからTikTokやRedditなどのソーシャルプラットフォームに移っているのか?
- 従来の検索エンジン以外からのトラフィックを獲得するには、どのような戦略を用いるべきか?
- AI検索機能がクリックを奪う
- 2025年、マーケターはどうすればトラフィックソースを多様化できるか?
- ChatGPTのようなAIプラットフォームは、グーグルの検索市場シェアに追いつけるか?
- 大手ブランドを優遇するグーグル
- 寄生SEOについて話そう
- コンテンツアトリビューションはなぜこれほど難しいのか?
さっそく見ていこう!
SEOとUGC
トピック1SERPにおけるRedditとUGCプラットフォームの台頭
ユーザー生成コンテンツ(UGC)は今、大きな話題となっている。UGCが今後も定着するとしたら、企業はどうすれば自社に有利な方法で、かつユーザーに価値をもたらすやり方で、UGCを促進できるだろうか?

トム・カッパー:
グーグルがUGCに対して2つのアプローチを取っているのは興味深い。「Reddit」や「Quora」などのプラットフォーム上にあるUGCの場合、優先度は極めて高い。検索結果において、これらのサイトがディスカッションの場を独占しており、他のフォーラムや企業のコミュニティはほとんど上位に表示されない。
しかもグーグルは、企業のプラットフォームにあるUGCはあまり優先していないようだ。自社のサイトでディスカッションの場を設けても、「Reddit」や「Quora」ほど上位には表示されないだろう。
これは企業にとって、何を意味するのだろうか?
UGCをホスティングしさえすればいいわけではないということだ。代わりに、他のプラットフォームで君のブランドについてオーガニックに話題にしてくれる「ファン」「エバンジェリスト」「インフルエンサー」を育てる必要がある。特に小さなブランドには難しいことだが、それが今の現実だ。

アマンダ・ナティビダッド氏:
UGCについて、私が最も重要だと思うのは「ただコンテンツを求めるのではなく、何か具体的なものを求めよう」ということだ。
たとえば、物理的な製品を販売している場合に「ご意見をお寄せください」などと言ってはいけない。それでは漠然としすぎている。次のように頼んでみよう:
- 「開封の儀の様子を見せてください」
- 「この製品を日常生活でどのように使っているか教えてください」
- 「そもそも、なぜこの製品を購入しようと思ったのですか?」
こうした質問の1つひとつから、ブランドのメッセージや目標に沿ったさまざまなUGCが生まれる。そのため、質問は具体的にするべきだ。
トピック2企業はどのようなUGCを求めるべきか?

アマンダ・ナティビダッド氏:
何を必要としているかによって異なる。私は常に、まず自分たちに欠けている重要な要素を明らかにすることから始める。
たとえば、SparkToroでは最近、主催するカンファレンスについて顧客の推薦文が必要になった。そこで私たちは、「肯定的な顧客の推薦文」を求めるのではなく、次のように考えた:
- 顧客がウェイトリストに登録する主な理由は何か?
- その理由を最もよく裏付けているのはどのような意見か?
ウェイトリストへの登録は簡単だが、メールアドレスが必要なため、私たちには次のような推薦文が必要だった:
- 短く、ざっと読むだけで内容を把握できる
- 熱がこもっていて説得力がある
- カンファレンスの価値について明確に述べている
具体的には、次のような推薦文を探した:
- 「昨年参加したカンファレンスの中で、これがいちばん良かった」
- 「予算的に行けるイベントが1つだけなら、これに行く」
具体的で説得力のある推薦文に焦点を当てることで、その価値がわかりやすくなり、登録もしやすくなった。
ヘルプフルコンテンツアップデート(HCU)
トピック3ヘルプフルコンテンツアップデートのねらいは何だったのか?
ヘルプフルコンテンツアップデート(HCU)のねらいは、本当に「有益なコンテンツ」だったのか? それとも、他のねらいとして、企業やその他の何かがあったのか?

トム・カッパー:
この話題について注意して見ていなかった人たちのために説明しておこう、HCUは2年かけて導入された。この名前で最後にアップデートされたのは2023年9月で、それ以降はコアアップデートに組み込まれている。Mozの調査では、HCUで「ブランド」が非常に大きな順位要因となっている(リンク先は日本語記事)ことが強く示唆されている。

昔に実施されたグーグルのパンダアップデートを思い出す。このアップデートでは、「“ブランド力”と比較して、検索での“パフォーマンス”が上回っているサイト」の順位が引き下げられた。
ブランドオーソリティを高める手段は「有益なコンテンツ」なので、コンテンツが重要でないわけではない。しかし、ブランドシグナルは大きな役割を果たしており、「HCUが純粋にコンテンツの品質を重視している」とは思えない。
トピック4小さなサイトは、どうすればヘルプフルコンテンツアップデートから回復できるか?

ドクター・ピート・マイヤーズ:
グーグルの特許や流出した内部文書から明らかになった重要な情報の1つは、「ブランド力に比べてサイトの獲得リンク数が異常に多い場合は危険信号になる」ということだ。
SEOでは、シグナルのバランスが重要性を増した:
ソーシャルメディアでのメンションは大量にあるのにリンクがない場合は、不自然に見える。
リンクは大量にあるがブランド認知度が低い場合、グーグルは「順位を操作しようとしている」と推測する。
あるランキングシグナルが群を抜いて高い値を示している一方で、他のシグナルが存在しない場合、それは危険信号となる。
ヘルプフルコンテンツアップデートへの対応は、「構造化データの追加」「HTMLタグの調整」「サイト内リンクの微調整」などでなんとかなるものではない。コンテンツ戦略全体を見直す必要があるかもしれない。
修正に近道はないため、大変な作業だ。
大量のコンテンツを公開している場合は、低品質なページを削除する必要があるかもしれない。
不自然なリンクを大量に構築している場合は、整理する必要があるかもしれない。
ブランドシグナルが弱い場合は、従来のマーケティングと信頼性の構築に重点を置こう。
SEOによる手っ取り早い修正を望んでいる多くのサイト担当者にとっては、耳の痛い話かもしれない。しかし、「HCU対応はCMSのプラグインやオンページの微調整で何とかなるものではない」ことを理解してほしい。
時にはグーグルも間違えることがある。自分のコンテンツが本当に価値のあるものだと思うなら、次のことに焦点を当てよう:
- ブランドを強化する
- 複数のチャネルでマーケティングを展開する
- 他のシグナルを自然な方法で構築する
SEOのベストプラクティスは、もはや1つだけではない。1つの戦術だけに集中しすぎることなく、バランスの取れたマーケターになる必要がある。
この記事は、前中後編の3回に分けてお届けする。中編となる次回は、「検索の変化への対応」をテーマに、3人の専門家の意見を紹介する。(中編は6/2公開予定)
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