評価指標主導型SEOのためのmozRankとPageRank(後編)
この記事は前後編の2回に分けてお届けしている。前編ではmozRankそのものに関して説明したが、今回は、mozRankやDomain mozRankとグーグルのツールバーページランクとの相関関係について見ていこう。
それで、PageRankについてはどうなんだ? グーグルがアルゴリズムに使用していないのなら、どうしていつまでもmozRankについて話しているんだ? もっともな疑問だ。グーグルがリンクを重要視しているという点は、僕らも確信しているし、多数のSEO専門家たちも同じ意見だ。グーグルは、あまりオーソリティの低いドメイン名よりも、オーソリティの高いドメイン名からのリンクを重視する。そして、いったんオーソリティの高いドメイン名からのリンクを獲得したサイトは、そこからの外部向けリンクも評価が高くなる。まさにこういう洞察を、僕らはmozRankとDomain mozRankに取り入れた。実際、多くの調査を実施してmozRankとPageRankを比較した結果、非常に心強い事実と、いささか驚くべき事実を見いだした。
上のグラフは、mozRankがどのようにPageRankと相関するかを視覚的に示している。X軸はあるページのツールバーページランクを、Y軸は同じページのmozRankを表す。参考のために完全相関の場合を示すy=xのラインが加えられている。統計好きな人たちのために言っておくと、ピアソンの相関係数は0.48だ。完全相関とは言えないが、まずまずの値ではある。
僕らはこの相関に満足している。だが、PageRank 4から上ではmozRankの方がPageRankよりも低くなる傾向が見られ、その差が1ポイント以内に収まらない場合もある。僕らの経験からすると、mozRankはPageRankの1、2ポイント差以内に収まるはずだ。このことは、多くの人たちが長い間持っていた信念を裏付けるデータとなる。つまり、ツールバーページランクは単なるページレベルのリンクに留まらず、サイト全体に及ぶオーソリティや信用度が及ぼす影響と相関するのだ。この事実は、評価指標主導型のSEOにとって難しい状況を生み出してしまう。使用する評価指標が複数の要素から影響を受けているとしたら、さまざまな順位決定要素を基準とした自分の現在位置や進歩の状況は、どう測定すればいいのだろう?
Domain mozRankとドメイン名のトップページのPageRankについて見てみると、ピアソン相関係数は0.71だ。これは、mozRankとPageRankにおけるページレベルの相関よりも、はるかに相関度が高い。こちらのグラフでは、完全相関を示す直線y=xの周囲に固まっている点が多いことに気づく。また、ページレベルのmozRankに見られた予測を下回る値はずっと少なくなっている。これは、ツールバーページランクが、ページレベルでのリンクのほかオーソリティや信用度など、複数の要素から成り立っているということを示すものだ。そして、こういった複数の要素が1つの数値にまとめられているのだ。PageRankだけを使用すると、自分のサイトの強みや弱みについて、わからない点が数多く残るかもしれない。
以上から、評価指標主導型のSEOについて、次のようなことが言える。
- あるページのツールバーページランクが高くても、そのページが必ずしも広く支持されているというわけではない。
実際には、ページ自体への外部リンクはかなり少なくて、単に強力なドメイン名(たとえば、Wikipediaのページなど)上にあるリンクから恩恵を受けているだけかもしれない。
- サイトレビューの最初の段階において、特定のページだけでなく、ドメイン名全体のプロフィールを分析すること。
新しい、あるいはよく知られていないページが、強力なドメイン名にあるというだけで高いPageRankを獲得する可能性がある。PROメンバーはSEOmoz labsのBacklinkAnalysisを使って、「ルートドメイン」あるいは「このページのみ」を選択し、両者のプロフィールを見ることもできる。
- サイト全体のパフォーマンスに取り組んでから、焦点を絞ること。
ドメイン名全体のオーソリティを高めてから、リンクのスカルプティングやページ上のキーワード要素、アンカーテキストを通じてその強みに注力していこう。
- 精度の高い評価指標を使用する。
適切ならば、mozRankやDomain mozRankといった評価指標を、競合相手と比較しながら使用することで、自分の強みや欠けている点などについて、目標を絞った説得力のある結論を得ることができる。実際僕らは、自分たちのコンサルティングで、これを数多く実践している。
オンラインマーケティングの分野には、解析、コンバージョン、CPC(クリック単価)など、さまざまな測定方法が数多くある。SEO業務の多くは、ハイレベルな技能を必要とするアートのようなものだ。だが、ここには測定が有効な部分もたくさんある。サイトのプロフィールを確認し、強いページと弱いページを把握しよう。サイトのオーソリティを計測しよう。わかっている強みと弱みに基づいて、作業の優先順位をつけよう。そして、関係者に自分が何をしているかだけでなく、なぜ、どのようにその変化が起こっているのかを示そう。
今の経済情勢の中、自らの作業を測定し仮定を実証できる人は、生き残れる。生き残るだけでなく、他の人々が掴み損ねたものを自分のものにして、成長していくだろう。
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