PR 2.0の現場から

Facebookはファンづくり、公式サイトは販売。役割が違えば運営の方法論も異なる/全日空の場合

2011年1月には日本語版でのfacebookページを立ち上げるなど、ソーシャルメディアを活用

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PR 2.0の現場から
ネットPR時代を生きる広報&マーケティングパーソンへ

多くの企業ウェブサイトのオーナーが広報部であるというのは、ご存知のとおりです。

従来の広報の仕事に新しくサイトの運営が増えたと同時に、インターネット時代のPR活動としてマスメディアが対象の広報活動からインターネットを通じたあらゆるステークホルダーとのコミュニケーションへの変化にも対応しなければなりません。

広報のプロフェッショナルがウェブサイトのオーナーのプロフェッショナルになるためには、大きな意識改革が必要です。

この連載では、試行錯誤の中、成功のルールを発見しつつある企業の広報担当者から、成功のルールを導き出すまでのプロセスやノウハウをレポートしてきます。

神原 弥奈子(株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役社長)

ANA SKY WEB(全日本空輸株式会社)
http://www.ana.co.jp/

インターネットの普及でビジネスモデルに大きな変化があった業界のひとつが航空業界。現在は航空券だけでなく、ホテルからレンタカーなどを組み合わせたダイナミックパッケージへと、インターネットの普及とともに、航空会社の販売戦略は変化と成長を続けています。

そんな中、全日空(ANA)では、PC版はもちろん、次から次に登場するケータイやスマートフォンなどの新しいデバイスへも早くに対応し、顧客のニーズに応えてきました。また、2011年1月には日本語版でのFacebookページを立ち上げるなど、ソーシャルメディアを活用した顧客とのコミュニケーションにおいても新しい挑戦を続けています。

わずか10数年で最大の販売チャネルに成長したANA SKY WEB。今回は、これらの取り組みを推進してきた営業推進本部WEB販売部の高柳氏に、ウェブマーケティングの現状と今後についてお話をお聞きしました。

公共交通機関として24時間の情報発信できる体制を

全日空が運営しているANA SKY WEBは、国内線航空券全売上の約6割がWEBサイトからということで、どうしても販売チャンネルとして考えがちですが、同時に公共交通機関としての情報発信の役割も担っています。

社内のWEB担当は約50名。営業推進本部 WEB販売部は、国際線や国内線の販売を担当する「国内チーム」「国際チーム」、新しい案件を担当する「WEB企画チーム」、そしてお客様とコミュニケーションをとる「顧客チーム」という編成になっています。

ウェブチームは、既存の組織の中からどのようなスキルを持ったメンバーが集められ、運営されているのでしょうか? 

全日本空輸株式会社
営業推進本部 WEB販売部
WEB企画チーム リーダー
高柳直明氏

たとえば私は、広報担当をして、セールスもしました。98年からWEBを5年間担当した後、5年ほど羽田のカウンターの接客をし、4年前にWEB販売部に戻ってきました。

また、チームには、旅行代理店を回る営業を10年以上担当していた者もいます。全日空という企業はサービス業でもありますので、(ウェブ担当においても)接客部門での経験は、お客様の立場にたって考えられるといういみでも重要です」(高柳氏)

実際のウェブサイトの更新自体は関連会社が担当しているそうですが、通常のお問い合わせ対応はもちろん、緊急性の高い情報はどういうスピードでサイトに反映されるのでしょうか?

公共交通機関ですから、お客様に運航情報を24時間発信する部門があり、緊急性の高いものは(制作を担当している)関連会社を通さずに自社でサイトを直接更新して反映できるようにしています。

また、コールセンターの中に、インターネットデスクというインターネット専用のデスクがあります。そこから、フィードバックが毎日入ってきます。その中には、即日対応のものもあれば、参考のものもあり、情報の重要度によって対応は分かれています」(高柳氏)

公共の交通機関として、現場での対応とあわせたウェブサイトのアップデートは必須です。インターネットと現場が確実に連動しているからこそ、お客様からの声にもしっかり対応できるのです。

新規ユーザーはまだまだ伸ばす余地あり
増え続けるチャネルへの早期対応

ANA SKY WEBのユーザーには、マイレージ会員と非会員のお客様があります。すでにインターネットユーザーも飽和状態でサイトへのアクセスも伸び悩んでいるのかと思っていたのですが、実は、サイトのアクセスは今でも約120%の伸びを示し、非会員からのアクセスも約120%の成長があるとのこと。どのような施策で、非会員の新規ユーザーを獲得しているのか、その施策についてお聞きしました。

旅行はまだまだウェブ比率が増えているんです。いまは、ダイナミックパッケージのニーズが多く、このカテゴリは110%を越える伸びになっています。

また、スマートフォン、アンドロイドなど(販売の)チャネルが増えています。これらには、どこよりも早く対応しています。スマートフォンのアプリも、すでに13万件ほどダウンロードされていますし、携帯電話からの利用は現在も100%を越えて伸びています」(高柳氏)

Android端末向けアプリ「ANA旅の情報『旅達空間』」

オンラインマーケティングの部分ではどのような取り組みをされているのでしょうか。

ショッピングをするとマイルもたまり、相手先のポイントが付くショッピングサイトとのアフィリエイト(ANAマイレージモール)など、プロモーションの種類が増えてきています。ANA SKY WEBは男性の比率が多いのですが、このマイレージモールでは楽天市場やユニクロ、MUJI、ベルメゾンなどと提携しており、女性が多いのも特徴です。

うちのチームは新しい技術をどうやっていくかを考えなければいけない。継続した仕組みを作っていくのが役割になります」(高柳氏)

PCから携帯、そしてスマートフォンへと拡大するデバイスに確実にチャネルを広げていく。これが「日常的に来ていただく戦略の仕掛け」(高柳氏)となり、成長の源になっているのですね。

用語集
CSR / アフィリエイト / キャンペーン / クチコミ / スマートフォン / ソーシャルメディア / ダウンロード / フィード

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