ラストクリックだけを評価していませんか?
ラストクリックだけを評価していませんか?
有園 さて、あらためてアトリビューションを一言で説明するとどのように言えますか?
田中 「アトリビューションとは、顧客獲得、コンバージョン増加のためのチャネルと予算の新しいマネジメント方法」って感じですかね。チャネル導線と予算配分の最適化をやることですかね。
有園 コンバージョンに複数の広告が貢献していた場合は、それぞれの広告に貢献度を割り振ることがアトリビューションの考え方で、その後に、予算配分などいろいろ最適化していくことがアトリビューションマネジメントなのかなと。
田中 はい。
有園 野球でいうと9人いて、バントが上手い人がいればシングルヒットを打つ人もいる。チームとしての得点力を上げて適切な評価をして選手に給料を払うことがアトリビューションですね。結果的に総得点が上がるように野球チームのフロントは考えるわけです。
田中 総合的にということですね。
有園 どの広告がどれだけコンバージョンに貢献したのか。貢献した度合に応じて広告費予算を最適化しましょうよと。ラストクリックだけを評価することは、4番打者にだけ給料を払っているようなものです。
田中 たしかに。
有園 非常に偏った評価をしていますね。4番打者だけ集めても野球は勝てません。チームとしてのコンビネーションを考えなければなりませんね。
田中 そうですね。サーチも、ディスプレイも、もはやひとつのチームで、強いチームをチームビルディングするようなものですね。
アトリビューションモデルとは
有園 ところで、アトリビューションモデル的にいうと、「初回」「中間」「ラスト」とあった場合、ラストだけに100%の重みづけをするのがいままでのやりかたです。
田中 そうですね。いわゆる「ラストクリック評価」モデルですよね。
有園 アトリビューションの均等配分モデルという基本的なモデルでは「初回」「中間」「ラスト」に均等に貢献度を割り振ることを考えます。なかには、初回に重きをおくモデルもあります。
田中 いろいろありますね。
有園 たとえば、認知されていない商品サービスの場合は、まずは知ってもらうこと、クリックしてもらうことが重要だよねと。コンバージョンも大切ですが、まずは知ってもらうこと。プロダクトライフサイクルの導入期にあるような商品サービスは初回に100%配分して評価すべきだという考え方もあります。
田中 そこからが難しいですね。均等配分をすべきか、しなくてもよいのか。ビューを評価すべきか、クリックを評価すべきか。ベンダー次第ですね。
有園 おっしゃるとおりです。
田中 僕らはビューは大事だと考えていますが、経路はあまり意味がないと思っています。「A媒体」「B媒体」「C媒体」と3回見たとします。それでC媒体からコンバージョンしたとします。もしくは、C媒体からサーチでコンバージョンしたとします。そうすると、C媒体はけっこう偉いけれどA媒体とB媒体って偉いんだっけ? ということになってきて、そこら辺が謎めいていしまいます。
有園 たとえば、バナーAがインプレッションして見ただけでクリックはしませんでした。そのあとに、バナーXをクリックしたけれどサイトから離脱したとします。次に、バナーBがインプレッションして見ただけでした。その後にサーチをしてコンバージョンしたとします。この期間が1か月だとします。このような流入経路があった場合、最後に発生したバナーBのインプレッションはコンバージョンにつながっているのでビュースルーコンバージョンとして数えるんですか?
田中 数えます。
有園 その他は数えないんですか?
田中 第三者配信エンジンの多くはバナーAを数えません。機能として数えられる・数えられないのと分析するための数字は、評価は違うのですが、たいてい数えません。
有園 バナーXはクリックスルーコンバージョンをしていると考えるのですか?
田中 考えます。ただ1か月超えている場合は微妙です。バナーXの貢献度はあると思いますが、バナーを複数見て複数クリックする人は全体の10%くらいです。ヘビークリッカーという議論もありましたよね。90%はほぼかぶりません。ビュースルーコンバージョンとしては、バナーを見て短期間でコンバージョンしたものの評価が高くなります。
有園 期間も評価基準にしているんですか?
田中 特定の期間できります。たとえば、30日間とかできっています。
有園 確認しますが、バナーAは30日以内に発生していたとしても、ビュースルーコンバージョンにはカウントしないんですね?
田中 カウントしません。
有園 アタラでは、バナーXのクリックはサイトへ誘導しているので評価はきちんとしています。田中さんの話だと、バナーXの貢献度はあるかもしれないけれど、あまり評価していないんですよね?
田中 短期間のクリックスルーコンバージョンであれば評価します。それは直接コンバージョンなので。ただ、30日以内に違う媒体で同じバナーに触れることはほとんどないんです。その中でさらにクリックを両方する、ということは90%の人に起きていません。こういう事態ってあまり起こっていないんですよ。
有園 ここに貢献度を振るべきかどうかということなんですよね。
田中 ここは完全に分けていますね。
インプレッションは間接コンバージョンとして評価する?
有園 インプレッションは間接コンバージョンとして評価するんですね。ブラインドになっている、つまり、見られていない可能性が高い場合はどうするんですか?
田中 その場合は間接コンバージョンの評価ポイントを減らします。「アドネットワークは何%くらいがブラインドだよね」「純広告は何%くらいがブラインドだよね」というようにざっくり判断します。厳密に機械で測っているわけではないので。
有園 見られる可能性が高い媒体である場合、コンバージョンに近ければ近い媒体を評価することは大賛成です。バナーAをどうするかは迷うところですが。バナーBやバナーXをしっかり評価しなければならないと考えています。このサーチが指名検索だとします。この指名検索を発生させたバナーBやバナーXがあるわけですから、指名検索の評価を下げてバナーBやバナーXにつけてあげなければならないというようなことをやっています。
田中 バナーBとバナーXが逆だと分かりやすいんですよね。インプレッションもクリックも両方やるわけですから偉いです。サーチもしてコンバージョンもしたから、間違いなく評価は高いです。バナーXはクリックしていて、バナーBはインプレッションだけだというケースは困るパターンですね。
有園 だから聞いてみました。現実にこのようなケースのデータがあるんですよ。認識を共有しておきたかったのは、ビュースルーの定義はベンダーによってまちまちなので。直近のビュースルーコンバージョンをまずカウントして評価することが大事だよということを共有しておきたかったです。
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