初代編集長ブログ―安田英久

漫画コンテンツのつくりかた:Webマーケッター瞳の舞台裏

企業のマーケティングに活用する前提での漫画コンテンツの作り方をざっと紹介。
Web担のなかの人

今日は、漫画コンテンツの作り方や舞台裏を紹介します。Webサイトのコンテンツとして文章やFlashは作ったことがあっても、漫画を作った人は多くないのではないでしょうか。結構大変なんですよ、これが。

ここでは、漫画雑誌に掲載するようなマンガ作品ではなく、企業のマーケティングに活用する前提での漫画コンテンツの作り方をざっと紹介します。

Webマーケッター瞳のネーム・下書き・完成品

関係者

漫画コンテンツには、次のような役割を果たす人が必要です。

  • 原案 ―― 原作のもとになるネタや情報、アイディアを出す役割。多くの場合は漫画の専門家ではなく、あなたのビジネスを知っている人になるでしょう。

  • 原作 ―― 原案のネタをもとに「原作」を作成する人。原作は、シナリオ(テキスト)の場合と、ネーム(ラフな下絵)の場合があります。漫画は登場キャラとストーリー展開が命なので、原作はプロに頼みましょう。

  • 作画 ―― 原作のネームをもとに作画したり、原作のシナリオをもとにネームを作って作画したりする人。いわゆる漫画家さんですね。最終的にユーザーが目にする「マンガ」として仕上げる人で、原作と同じぐらい重要な役割を果たします。もちろんプロに頼みましょう。

  • 編プロ ―― プロジェクトに対して適切な原作者や漫画家を選定してアサインし、全体進行をマネージする役割です。あなたが多くの原作者さんや漫画家さんを知っていて漫画作品の作り方に精通しているなら編プロは不要ですが、ほとんどの場合は自分でやろうとせずにプロの人に頼むのがいいですね。原作者や漫画家に対する権利関係の処理や支払いもまとめて担当してくれることも多いです。漫画雑誌を出している出版社の一部門や子会社が企業に対してこうした編プロ機能を提供することもあります。

身近にイラストを描ける人がいるからその人に頼んで……というのも不可能ではないですが、あまりオススメしません。私も書籍や雑誌やWebをずっとやってきた人間ですが、やってみてわかったことは、「良い漫画コンテンツを作るには、その道のプロに頼まないとダメ」ということです。

多くの場合は、まず漫画作成に明るい編プロさんに対して、「漫画コンテンツで達成したい目的」「対象読者のイメージ」「費用感」「スケジュール」を伝えて、そこから原作者さんや漫画家さんをアサインしてもらうことになるでしょう。

初回打ち合わせ

まず、プロジェクトの初期に次のようなことを決めます。

  • プロジェクトの目的設定
  • 全体の大枠・ページ数・方向性・ペース設定
  • 漫画家・原作者の方向性
  • ストーリー大枠と、キャラクタと役割の大枠

漫画コンテンツ制作

その後、次のような流れで漫画コンテンツが作られていきます。Webマーケッター瞳のような連載モノの場合、毎回以下のような流れが繰り返されていきます。

  • 取材またはネタ出し ―― 原作者が原案者に対してヒアリングしたり現場の様子を取材したりして、ネタを洗い出します。

  • 原作→チェック ―― 原作者さんがシナリオを作って、それに対して、あなたや編プロの人が流れをチェックします。

  • ネーム→チェック ―― ネームの段階では、コマ割りや展開をチェックします。絵に関する大きな変更はこの段階でしておきます。

  • 下書き→チェック ―― 漫画の下書きが出てきますので、セリフなどの細かい点をチェックします。

  • 作画→チェック ―― 作画したらもう大きな変更はできません。仕上がりをチェックしましょう。

  • セリフ入れ ―― 歴史的な経緯から、漫画ではセリフの部分は空いた状態で納品されることが多いので、その場合は、絵に対して台詞をテキストで追加します。漫画のフォントはかなが明朝、漢字はゴシックという独特のフォント遣いをします。

  • HTML化 ―― Webページで出すためにはHTML化しなければいけません。ここでセリフやシナリオ相当の内容を画像のaltテキストで入れておかないと、検索エンジンや音声読み上げブラウザからみてテキストが何もなくなってしまうので注意しましょう。また、絵をクリックするとページめくりできるようにするなどしておくといいでしょう。

ちなみにWebマーケッター瞳の原案の村上さんのブログで打ち合わせの様子が公開されていますので、そちらも参考にしてください。

漫画コンテンツのポイントや注意点

漫画コンテンツって、みなさんに楽しんで見てもらえるので、Web向けのコンテンツとしては優れていると思っています。「マンガ」というとB2C向けに思われるかもしれませんが、B2Bの領域でもマンガをうまく使えばファーストタッチをつかみやすかったり、ググッとお客さんを惹き付けたりできるのでいいですよね。

Web担でも人気が高い漫画記事ですが、実は次のような弱点があります。

  • 時間がかかる ―― 文章コンテンツなどは、完成までに1週間~2週間、早ければ全体が数日で完成する場合もあります。しかし漫画の場合、8ページ~16ページ作るのに1か月はかかります。64ページや80ページといったまとまった分量の漫画を作るには、やはり数か月はみておく必要があります。

  • コストがかかる ―― マーケティング漫画の編プロを通すと、1ページあたり数万円かかります(原作者さんや漫画家さんの分も含めて)。関わる人の数が多いので、仕方ないですね。

  • 伝えられる内容が少ない ―― 同じページ数で、文章の場合の10%程度のことしか伝えられません。仕方ないです。多くのことを伝えようと詰め込むと、漫画として魅力がなくなってしまいますから(クライアントの要望でそうなってしまうことも多いようですが)、本当に伝えたいポイントに絞るのが大切ですね。

マーケティング用の漫画というと1ページ~2ページで商品を説明するような漫画を想像するかもしれませんが、せっかくならWebマーケッター瞳のようなストーリーものがいいですよね。

時間もコストもかかりますが、キャラ・行動・ストーリー展開で共感を生み、読者の右脳に響かせるような漫画を増やせるといいな、と思っています。

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